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原始人から学ぶ最高の睡眠。

「リケジョのコンディショニングコラム 011」


このコラムは東工大出身のリケジョが、科学の視点も踏まえて、ベストパフォーマンスを発揮するためのヒントを考えていきます。

今月のテーマは、「自分に適した睡眠」

理想の睡眠時間や就寝時間について様々な説がありますが、最近では人によって最適な睡眠は異なることが示唆されています。

それを決める一つの要因は遺伝子。

現代も狩猟採集生活を送る部族の睡眠パターンから、最適な睡眠を考えてみたいと思います。

24時間、誰かしら起きている。

電気やスマホ・テレビ・仕事のアレコレ…と睡眠を妨げるものと無縁な生活をしている人は、人にとって最適な睡眠をとっていると思いませんか?

そこに目をつけたカナダ・トロント大学の研究者が実際に狩猟採集生活を送る部族を調査しています。

すると、特徴的だったのは、常に誰かしらが起きていた(1)こと。

なぜでしょうか?

それは、野生動物に襲われないよう見張り番が必要だから。

朝型・夜型を決める要因

近年の研究によれば、朝型か夜型かは遺伝子によって50%程度決められています。(2)

朝型遺伝子を持つ人、夜型遺伝子を持つ人、と睡眠パターンの多様性を保つことで、私たち人間は外敵から身を守っていたのですね。

このように、朝型・夜型を決める要因の半分は生まれつき、変えることはできませんが、残りの半分は、年齢や季節、生活習慣などで決められるとか。

一般的に、子どもの時には朝型、思春期に入ると夜型、歳を重ねていくにつれ朝型へ戻っていくパターンが多いようです。

部族の睡眠時間は日本人と同じ

寝る時間や起きる時間は、遺伝子による個人差があることがわかったところで、睡眠時間はどうでしょうか?

やはり狩猟採集生活を送るアフリカの2部族と、南米の1部族を調査したところ、毎日の睡眠時間は平均6.4時間だった(3)そうです。

想像よりも少ないですよね。

それでも、彼らは”睡眠不足”という言葉・概念を持たず、日中にうとうとしてしまうこともなかったとか。

なんと羨ましい…。

日本人は世界と比較して「睡眠時間が足りていない」と議論されることが多いですが、2021年の調査では平均6時間43分(4)で、睡眠不足知らずの部族とほぼ同じです。

ショートスリーパー・ロングスリーパー

しかしこの調査から、「7時間寝ればOK」と一律に決めてしまうのは早計です。必要な睡眠時間もやはり個人差があるのです。

ナポレオンが3時間しか寝なかったという話は有名ですよね。一方、アインシュタインは「9時間しか眠らなかった日は、どうも頭が冴えない」と言ったとか。

ナポレオンのように、6時間未満の睡眠でも大丈夫な人のことをショートスリーパー、9時間以上の睡眠を必要とする人をロングスリーパーと言います。

性格が睡眠時間を左右する

ショートスリーパーとロングスリーパーの人を比較すると、性格に大きな違いがあるとか。

ショートスリーパーの人は楽観的であまり悩まないタイプ。ロングスリーパーの人は失敗した時にくよくよ悩むタイプ。

"悩み"や"考え事"は脳を疲れさせるので、それをあまりしない人は短時間睡眠、たくさんする人は長時間睡眠が必要になる、ということですね。

最適な睡眠には個人差がある

さて、今までの話をまとめると、寝る時間・起きる時間・必要な睡眠時間ともに"個人差がある"ということがわかりました。

理想の睡眠は、人ごとに異なるのです。

問題は、現代の生活は9-17時に仕事をする、というスタイルが一般的だというところ。

大部分の人が活動しやすい時間帯に設定されているわけですが、遺伝子的に超夜型の人やロングスリーパーの人にとっては、適応するのが難しいです。

9-17時の勤務が辛い人の戦略

「勤務時間を変える」というのは中々難しいですが、工夫することで少し働きやすくなるかもしれません。

遺伝子的に夜型の人の戦略

前述したように半分は遺伝子によって決まっているので工夫の余地はありませんが、残りの半分は年齢・生活習慣・環境などで決まります。

朝日を浴びる夜に光を浴びすぎない、といったことに気をつけて体内時計を毎日調整すると、「朝が辛い」を少し解消できるはずです。

ロングスリーパーの人の戦略

毎日8時間労働をして、さらに9時間以上の睡眠をとるのは中々難しいと思います。

そこでオススメなのが瞑想です。

長時間睡眠が必要な理由は"脳の疲れ"と考えられています。瞑想は、脳の疲れをとる効果が期待できるのです。

まとめ

睡眠のパターンは、本来、人それぞれの最適解が異なるという話でした。

しかし、現代では「朝の弱い人=ダメな人」とレッテル貼りしてしまったり、ロングスリーパーの人が睡眠不足に悩まされて、本来のパフォーマンスが発揮できなかったりしています。

睡眠に関する研究によると「6時間寝ないと生産性が下がる」と明らかになっていますが、これはあくまでも集団の平均

この中には全く生産性が下がっていない人もいるかもしれないし、6時間ではなくて8時間睡眠を切ったところから生産性が下がっている人もいるかもしれません。

個人のバラツキを隠してしまうという点は、研究にも限界があるのですね。

睡眠に関して、「○○した方がいい!」という情報は巷に溢れていますが、「あなたにとって最適なのか?」は分かりません。

自分自身のことをよく観察し、どんな睡眠パターンが最適なのか、今一度考えたいですね。


<この記事を書いた人>

ととのえサポーター
ヨガインストラクター

ととのえでは働く皆さんの「身・心・場」をととのえ、パフォーマンスを上げて社員のQOLと業績向上を同時に目指す様々な商品、サービスをご提案しております。
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