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No.62 2023年4月15日 今年もすべてのメジャーリーグ選手・監督・コーチ・審判は故ジャッキー・ロビンソン氏の背番号42で出場

 前回、第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が世界一を奪還した背景にはメジャーリーグで活躍している日本人選手の存在と私のわずかな関りの話題を提供しました。その関連で今回はメジャーリーグ初の黒人選手(歴史的にもっとさかのぼると違う説もありますが)ジャッキー・ロビンソン(Jackie Robinson)氏についての話題です。次の写真は1954年当時のロビンソン氏です。背番号は42です。1954年は私が生まれた年です。

        ジャッキー・ロビンソン選手(1954年)Wikipediaより

 2023年4月15日(土)のメジャーリーグのすべての選手・監督・コーチ・審判が背番号42を付けてプレーしました。
共同通信からの記事です。
「【ボストン共同】米大リーグは15日、初の黒人選手として活躍したジャッキー・ロビンソンのデビューした日を記念する恒例の『ジャッキー・ロビンソン・デー』を開催した。エンゼルスの大谷翔平ら全選手が、全球団共通で永久欠番となっているロビンソンの現役時代の背番号『42』のユニホームでプレーした。
レイズ戦で2勝目を挙げたブルージェイズの菊池雄星は「いろいろな方々の歴史があって、ここにいられる」と実感を込めた。ロビンソンは人種差別を乗り越え、1947年にドジャースでメジャーデビュー。新人王や最優秀選手に輝き、62年に米国野球殿堂入りした。」

レッドソックス戦の6回に中前適時打を放つエンゼルス・大谷。米大リーグの「ジャッキー・ロビンソン・デー」で背番号「42」をつけた=ボストン(共同通信より)

 背番号42にはどのような意義があるのでしょうか。Wikipediaから要約してみます。
 ジャッキー・ロビンソン氏(1919年~1972年)はアメリカ合衆国ジョージア州カイロ出身のプロ野球選手(内野手)でした。1890年頃から有色人種が排除されていたメジャーリーグでアフリカ系アメリカ選手としてデビューし、様々なタイトルや賞を獲得し輝かしい功績を残したことで有色人種のメジャーリーグ参加の道を開いたとされます。
 1947年4月15日にブルックリン・ドジャースの選手として背番号42を付けてメジャーリーグにデビューを果たしました。メジャーリーグのオーナー会議ではドジャースを除く全ての15球団でロビンソン選手がメジャーでプレーすることに反対していました。さらに、開幕前、チームメイトの中にはロビンソン選手とプレーするのを嫌がって移籍した選手もいたそうです。そのシーズンでは一塁手として打率2割9分7厘、本塁打12本、打点48、盗塁29という成績を残しチームの優勝にも貢献し、その年より制定された新人王を受賞しました。
 1949年には自己最高の打率3割4分2厘、盗塁37を記録して、首位打者と盗塁王を記録し、MVPに選出されました。1949年から1954年まで6年連続でオールスターに出場しました。

ロビンソン氏の伝記映画「ジャッキー・ロビンソン物語」(1950年)がアメリカで公開。Wikipediaより


雑誌の表紙を飾るロビンソン氏(1951年)Wikipediaより

 1954年は自己最小の105試合の出場で、打率2割5分6厘、本塁打8本、
打点36と自己最低の成績でしたが、ワールドシリーズではニューヨーク・ヤンキースを破り、球団史上初のワールドチャンピオンの一員となりました。1956年の終了後ニューヨーク・ジャイアンツへの移籍が持ち上がりますが、「ドジャースにいられないならば」と1957年の1月に現役引退を表明しました。
 引退後は公民権運動に積極的に参加しました。その頃ロビンソン氏は糖尿病により視力の低下が見られ関節炎などに苦しんでいました。1962年に野球殿堂入りを果たし、1972年に背番号42がドジャースの永久欠番に指定されました。永久欠番の式典に出席した時には杖なしで歩くことはできず、右目は失明していたようです。1972年10月24日、ロビンソン氏はスタンフォードの自宅で死去しました。
 ロビンソン氏のメジャーリーグデビュー50年目にあたる1997年4月15日ロビンソン氏の背番号42が全球団共通の永久欠番となりました。2004年4月15日にメジャーリーグはこの日を「ジャッキー・ロビンソン・デー」と制定しました。2007年のロビンソン・デーでは希望する選手全員が背番号42の付いたユニホームを着用して試合に出場しました。2009年のロビンソン・デーではすべての選手・監督・コーチ・審判が42番のユニホームを着て試合に出場しました。
 このことが現在につながっているのです。

ロビンソンの背番号「42」。MLB全球団の永久欠番に1997年に指定。Wikipediaより

YouTubeでもロビンソン氏の業績について知ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=LCbAGk-bS3Q&t=11s
 
ロビンソン氏の業績については次のホームページも参考になります
ジャッキー・ロビンソン: 米国の歴史における重要人物
https://magickabab.com/ja/28764.html
黒人初の大リーガ― ジャッキー・ロビンソンが夢見たものは
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/318600.html
 
 2013年4月12日にはジャッキー・ロビンソン氏を主人公にした伝記映画『42~世界を変えた男』」が公開されました。私はこの映画を3度観ました がとても感動しました。
 映画の情報については次のホームページが参考になります。
https://eiga.com/movie/58340/
 
 他にもメジャーリーグを題材にしてのアメリカ映画には次のものがあります。
「メジャーリーグ」
https://eiga.com/movie/50066/
「フィールド・オブ・ドリーム」
https://eiga.com/movie/25998/
「マネーボール」
https://eiga.com/movie/55274/
「人生の特等席」
https://eiga.com/movie/77444/
ミスターベースボール
https://eiga.com/movie/49854/
 
 日本語で書かれた書籍としては、波部優子氏の『背番号42 メジャーリーグの遺産 ジャッキー・ロビンソンとアメリカ社会における「人種」』(文芸社、2009年)があります。おそらく絶版になっていると思います。私はAmazonで入手して読んでみました。「メジャーリーグでの成績」「ジャッキー・ロビンソン年表」も掲載されており興味深く拝見しました。

 4月15日にメジャーリーグのすべての選手・監督・コーチ・審判が背番号42を付けてプレーすることの意義は、「全員42番を着れば違いが分からない」ということになるのでしょうか。
 ジャッキー・ロビンソン氏の行動を通して人権がいかに大切かをすべての人が考える日なのです。アメリカの問題と捉えるのではなく、日本でも考える日にしたいものです。

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