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仕事として、文章を書く。

こんにちは! ホットリンクのインハウスエディターで、広報などを担当しているピーターです。

先日配信された「ホットリンク社員メルマガ」で、いいたかさんから掛けていただいた「ピーターはこだわりが強いね」という言葉について書きました。

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何に対するこだわりかを細かく確認したわけではありませんが、執筆や原稿チェック、進行管理など、業務に対するものだと思っています。

では、それらはどうやって生まれたのか。

ホットリンクへ入社する前に在籍していた、編プロでの経験が大きいかもしれません。今回はそのなかから、「これが私の原点かも」と思えるエピソードについて書いてみます。


仕事と趣味の違いとは。

私が新卒で入社したのは、音楽雑誌の編プロでした。専門学生の頃にインターンとしてお世話になり、そのまま採用していただきました。編集・執筆にまつわるあれこれや、社会人としてのイロハを叩き込んでもらった大切な場所です。

数え切れないほどの学びがありましたが、強く深く残っているのが「仕事として文章を書くことと、趣味で書くことの違いはなんだと思う?」というお話でした。清水編集長との会話だったと記憶しています。

インターンを始めた数日後、私はライブレポートを書く機会をいただきました。名刺交換も分からないまま一人で参加したライブ取材と中打ち……今ではいい思い出です。

ライブレポートの初校を提出した際にいただいたのが、編集長からの「仕事と趣味の違いは何だと思うか」という問いかけでした。私は「人から頼まれて書くか、自分の意思で書くかの違い」もしくは「お金をもらうかもらわないか」と答えた気がします。

それに対して、編集長からいただいた答えは「締め切りがあるかどうか」でした。

当然、締め切りがあるのが仕事です。締め切りを守って初めて仕事として成立する。つまり、締め切りを守っていない時点で仕事として原稿を書いたことにならないと言われました。

その時の私は、仕事として初めてライブレポートを書き、なかなか指定の文字数に収めることができず、ライブの感動もうまく表現できず、仕上げるのにかなり苦戦していました。「まだ私はインターンだから、ちょっとくらいしょうがないよね」みたいな思いもあって、言われていた日時よりも後に原稿を提出したのです。だからこそのお話だったのだと思います。

正直なところ、当時は締切の有無が仕事と趣味の違いだと言われても、理解できませんでした。よっぽど自分の中で出した「報酬の有無」であったり「依頼されたものかどうか」の方が、仕事を仕事たらしめている気がしました。

しかし、「締め切りを守って初めて仕事として執筆したことになる」という考えは、編集者としての経験が長くなればなるほど、すごく大事で本質を突いてると思えました。

"編集者として"と書きましたが、きっと編集者という職業に限らず、さらにはビジネスかプライベートかに関わらず、「この人、約束守ってくれないんだよな」と思っている相手に、大事な何かを任せたりお願いしたりはできないですよね。

どんなに素敵な文章だったり、文字数の多い超大作であっても、締め切りに間に合っていなければ「仕事をした」「約束を守った」とは言えないのです。印刷や書店への配送が発生する紙媒体であれば、スケジュールに間に合わないと白紙のページを作る場合だってあります(さすがに経験はしてないですが)

執筆に限らず、プロとしてクリエイティブな仕事をするなら、いかに期限内で最大限のパフォーマンスをするか。締め切りという制約がある状態で、一番高いクオリティの作品を納品できるかが腕の見せどころであり、こだわるべきポイントなのだと考えるようになりました。

お金を払ってでも、時間を割いてでも。

締め切りを守った上で、という前提でもう一ついただいたのが「お金を払ってでも読みたいと思える文章か」という目線を持つようにというお話でした。

私は中学生くらいの頃からブログを書く習慣があったので、「自分は文章を書ける」とか「文章を書くことが得意」と思っていました。学生時代に作文のコンクールで賞を取ったことがあったので、それも相まって、私は文章が上手いと思っていたのです。

しかし、「自分の文章を(それだけが目当てではないにしても)お金を払って読んでもらう立場」になったのは、編プロに入って初めて経験したことです。

無料で読める文章がSNSやWeb上に溢れている中で、 わざわざ本屋さんに行ってその雑誌を手に取り、購入し、記事を読んでいただく。その人の時間を私の文章に使っていただく。そして、書いた内容でそのアーティストや楽曲のことを好きになってもらう。

そこまでの文章を私は書けているのか。

せめて、胸を張って自分自身で、「お金と時間を割いてでも読んでいただきたい文章を書きました!」と言えるだけのものを書いたのか。

単に「書けと言われたから書く」とか「ページを埋めるために書く」ではなく、読んだ人に何かを感じてもらうための文章でないと、仕事として書いたことにはならないのだと、編集長との会話から感じました。

では、どんな文章ならと金を出してでも読みたいと思うか――。感覚的すぎるので全てをきちんと言語化するのは難しいのですが、最低限、誤字脱字はゼロであってほしいと思いました。

誤字脱字があると、人に読んでもらう状態になっていない、おもてなしされてない状態だと判断して、すごく気持ちが萎えてしまいます。それに、誤字脱字に気をとられて、内容が全然入ってこないこともあります。

後は、読む人を選ぶような原稿は(媒体の特性にもよりますが)書くべきではないと思っていて。誰にでも読めてスっと理解できて楽しめる。そんな原稿を目指そうと思うようになりました。

知ってる人だけが分かればいい、分かる人だけが読めればいいという文章は、インターン先の雑誌では求められていませんでした。

だからこそ、いかに読者と同じ目線に立って、手元に資料がない読者が読んでもわかるレビューの書き方、インタビューでの表現ができるかを突き詰めるようになりました。

おわりに

以上、私の「こだわりの根源」と呼ぶべきエピソードでした。実はさらにもう2つくらいあるのですが、これはまた次の機会に(書いてたらめちゃ長くなりました…!)

ピーターでした!

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