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ミュージカル『ヴェラキッカ』の感想(ほぼネタバレありです、ご注意ください)

さて、今回はちょっと趣きを変えて、今年の最初にミュージカル『ヴェラキッカ』を観た時の感想を上げたいと思います。(こちらは観た直後の感想になります。。)
https://verachicca.westage.jp/

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ヴェラキッカを見てきた。

TRUMPシリーズという毎年やってるシリーズの15(?)作目というという事だったが、何の予習もなく行く事になった。

予備知識は公式webサイトの情報のみで見たが、感想を一言で言うと最高に良かった。

静かな始まりから緊張の初対面、から一転して賑やかで華やかな歓迎。この人達はいつものメンバーなのかな?と思って観つつ、賑やかで楽しそう。

そして、そこで女主人ノラの登場。ここでまずノラの格好良さ、優雅さ、優美さ、存在感に圧倒され感動した。

いやぁ凄いな、登場の仕方からその動きから主感(あるじかん)が満ち溢れてる。歌とダンスも素晴らしい。

幕間に調べると、元宝塚のスター(美弥るりかさん)との事、大いに納得。恐らくそうかな、と思ってたらやっぱりそう。まず、なんせノラが素晴らしかった。

で、話はヴェラキッカ家の家訓、ノラを愛する事を中心に動いてゆく。

皆ノラを愛している。家訓通り。いや、家訓が無くても。ただ家にいる人々個々で愛し方に違いがあり、この舞台のシリーズ特有のワード「繭期」とも関連し、それぞれの行動や想いの違いが大きくなってゆく。そして、その中で数人が違和感を感じ始める。

この辺りから、もう既にすっかりこの世界観に没入していて、違和感があるの?どんな?という気持ちでどんどんそれぞれの考え・想いを知りたくなってる。

そして、それぞれの考えを聞く毎に、そうなのか、でもそれはどういう事?とより謎で分からなくなる。ただその謎の渦中でもミュージカルとしての散りばめられている歌・ダンスは凄く素晴らしく、感動する。

この舞台は、1つの場面で登場する人物が多いと自分的には思えて、セリフの多人数連携も多いので、合わせて1つの作品として完成させるのは大変な稽古だろうなあと思ったりもする。

そして、ノラはもちろん素晴らしいが、それ以外にもシオン(松下優也さん)の歌もとても上手くて素晴らしいと思った。

雑務役の人も笑わせながらもとても上手くて凄いと思った。そしてキャンディ(平野綾さん)も優しく強くて素晴らしいと思った。もちろんその他の方々も皆素晴らしかった。

そして、物語は進み、謎の理由が分かる。

ノラの謎、家訓の謎の理由が。それは、悲しい悲しい出来事があり、その出来事をカバーして今の枠組みを維持する為にある事を行い、その結果起こった歪みをカバーする為にある事が拡大され、その結果、女主人ノラを愛する世界が誕生する事になった、と。

なるほど、そうなのか、それは悲しすぎる。

でも、そうなったらこうなるのはとてもよく理解できる自然な成り行き。

でも、そこでお話は終わらない。

女主人ノラの秘密とノラを愛する家訓の秘密が分かった所で、その世界は終わる事になる。

ノラの希望で。

この世界を作ったシオンの辛さを理解して。

この世界を作ってこの世界に皆を巻き込んでしまった事の責任を感じて限界になりつつノラのために世界を終わらせたくないシオン。

シオンにはノラのこの世界を終わらせたい希望は聞こえない。

でも、ノラの声の聞こえる皆からの願い、ノラの望みを聞いてこの世界を終わらせる。

シオンはノラの望みを叶える為にこの世界を作った。だからこの世界を終わらせたくなかった。ノラを愛していたから。

でも、ノラはこの世界の終わりを望んだ。この世界を作った苦しみからシオンを開放したかったから。ノラもシオンを愛してたから。

そうなのか、そうだったのか。ノラの愛の向き先が分かった。でも、叶わない。叶わなかった。悲しい、悲し過ぎる。

でも、まだ物語はこのままでは終わらない。

この世界が終わっても皆ノラを愛している。そして、シオンの愛、ノラの愛を分かって、カイ(古屋敬多さん)がシオンにシオンとノラの世界を作る。

家訓はなく、ノラを愛するかどうかはシオン自身で決めろ、と。悲しみの末の、悲しみの上にある、悲しい幸せな世界。

この頃には、劇場の至る所ですすり泣く音が聞こえる。両隣のお客さんも泣いているようだった。

あまり泣かない自分も、目が潤んだ。悲しいけどいいお話だなって。そしてキャンディの優しく強い声が行く末を語り、物語は終わる。悲しいけど、よかったな、って思える。

そして、フィナーレ。心の底から拍手、そしてスタンディングオベーションした。

終わってから色々調べて、キャストの方々がどんな人達か、や、これまでのシリーズとの繋がりはあまりなく、今回だけ見ても分かるようになっている事も分かった。

そして劇作家の方(末満 健一さん)も知った。とても素晴らしいストーリーを作る方だと尊敬する。他にもたくさんの有名なシリーズを作っていることも知った。完全に納得できる。

とにかく、素晴らしいストーリー、素晴らしいキャスト、素晴らしい歌とダンス、の素晴らしいミュージカルでした。

DVDやBluRayもある(2022/9/21発売日)ようなので、ぜひ、ご覧になられる事をお勧めします。



以上、ミュージカル『ヴェラキッカ』を観劇した感想でした。

今回はちょっと好きなことの話題にしてみました。

お読み頂き、貴重なお時間を使って頂き、ありがとうございました。

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