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【パーティへようこそ】あんのん インタビュー

あんのん 個展「A PARTY」を、2024年3月6日(水) – 3月17日(日)の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。

今回は、あんのんさんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。


ー 自己紹介をお願いします。

「あんのん」という名前で活動しています。イラストやアニメーションの制作を行なっています。
好きなものは紅茶とつぶあんです。

ー 現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。

大学のゼミで「絵を描く行為は精神療法で、精神を整えるためにするもの」という話題になったことがひとつのきっかけだったように思います。それ以降、少しずつ自分がどうして絵を描くのかということを意識するようになりました。
もともとは自分の感情の吐露という形だった気がするのですが、今は好きなものを集めている箱庭のような行為に近いかもしれません。

あとはそういう好きなものを収集したりすることで自分の城というか、居場所を作って守ってきた、という実感があるので、自分の作品も、誰かの居場所においてもらえたり、そういうお守りみたいな存在になれたら嬉しいなと思いながら制作しています。

ー 今回の作品はどのように作られたのでしょうか。

シルクスクリーン

今回は主にシルクスクリーンで制作しています。もともといろんな印刷技術に興味があり、シルクスクリーン以外にも活版印刷やリソグラフなどを使用して制作してきました。
普段はデジタルで作画していますが、それをアナログに起こすとき、ある程度出力をコントロールしたい気持ちと、少し予期できないところがあってほしいという気持ちがあり、一度版を作る工程を挟む印刷技術が好きなんだなろうなと思います。

特にシルクスクリーンはインクが紙の上に載っている質感がわかりやすいので自分に合っている気がします。箔押しとか、物理的にモノがそこに存在している感じがわかりやすいものが好きなんだと思います。

手作業ならではの難しさもあって、特に小さいものは、刷るときの細かな調整が必要です。若干のズレやインクのかすれなどを味と見るのか、失敗とするのか、もう一回刷るかどうか毎回めちゃめちゃ迷います。何枚か刷ってみてその中からこれがいいかなと選んでいます。

でもやっぱり自分のコントロールできない範囲にある表現はすごくおもしろいです。デジタルで描いたイメージを製版すると細かい描写は潰れてしまうこともあるのですが「ちょうどいい感じになったな〜」と思うこともあり、ある程度の簡略化を任せている部分もあります。刷る素材との相性でインクが不思議な透け感になることもあり、そういうところを楽しめるのがシルクスクリーンの好きなところな気がします。

木製パネル

今回はじめて支持体に木製パネルを使用してみました。木製パネルにはジェッソ(発色を補助する地塗り剤)を塗る必要があります。最初は展示テーマに合わせて「ケーキのスポンジに生クリームを塗る」イメージで始めたのですが、塗り始めたら意外と楽しかったです。

ジェッソを塗ったあとはやすりをかけるのですが、書道の前に墨を磨る(する)精神統一に近い感覚があって、その何かを磨き上げている工程が「祈り」のようでもあり、自分の精神面との親和性を感じました。
木製パネルにジェッソを塗ることで明るい発色に仕上がります。紙の場合はインクが少し紙に浸透して落ち着いた色になり、それはそれで可愛いのですが、ジェッソの上でパキッと発色する感じも今回のテーマに合っているなと感じました。下地の準備工程がとても楽しかったのでまたやりたいです。

金箔・銀箔

今回のテーマ「パーティ」の雰囲気を出すために金箔や銀箔を使っています。基本的にはシルクスクリーンが刷り上がったあと、最後の行程で箔押しをすることが多いのですが、今回は木製パネルにジェッソを塗り終わってからテクスチャとして箔を貼り、その上からシルクスクリーンで絵柄を刷っています。
画用紙みたいな配色に金箔や銀箔が合わさるとちょっとチープなおもちゃとか、折り紙みたいな雰囲気があって、良い感じの可愛さになった気がします。

普段、何からインスピレーションを受けていますか?

いちばんはファッションかもしれません。宗教や神話にも興味があります。あとは自分の思い出からです。
映画や漫画に触れる機会も多くあります。今回の展示にあたり、ピカレスクの松岡さんにおすすめしていただいた映画『ユニコ 魔法の島へ』を観ました。その中で崩壊していく建物の描写を見て、大友克洋作品にも崩壊する建物の描写ってたくさんあるな...と思い、改めて『AKIRA』や『童夢』を読みました。

ー 影響を受けたアーティストや、作品はありますか?

作家活動としてアニメーションの制作をはじめたのは、久野 遥子(くの ようこ)さんの短編アニメーション「AiryMe」を見たことがきっかけです。
あとは小さい頃に読んでいた漫画が、手塚治虫作品や水木しげる作品、『あさりちゃん』や『ガラスの仮面』だったので、そのあたりからも少なからず影響を受けている気がします。


ー 今回の個展のコンセプトを教えてください。

「特別な日に悲しい出来事が起こったら、ぜんぶ台無しになっちゃうんじゃないかな」みたいな不安から、誕生日やハレの日が苦手な時期がありました。
なんにでも正解があると思っていて、全てに正しい形があると信じていて、素晴らしい日は素晴らしい日でなくてはいけないと思い込んでいました。
でも本当はその一日だってただの一日で、無理に頑張って最高の一日を演出しなくても大丈夫なのかもしれないなって最近は少し思います。
アリスのお茶会じゃないけど、なんでもない日おめでとう!みたいな。ただのパーティー。別にうまく踊れなくても楽しくなっちゃっていいし、みたいな。

そういうちょっと苦手だったお祝いごとの記憶とパーティーのイメージを組み合わせながら、作品のイメージを膨らませました。
いろんなことを楽しんでもらえたらうれしいです。

ー ご出展いただく作品のコンセプトを教えてください。

「FAKE CAKE」

浮遊する女の子、その手にはメインのケーキ。浮かれてるだけかもしれないし、つまずいて転んじゃうのかもしれないし、ケーキはフェイクかもしれません。

「バラとガレキ」

プレゼントのバラと裏腹に、背景で崩壊していく世界をイメージしています。ガレキのインクもバラのインクも、とても可愛い質感になっているのでお気に入りです。

「1996.2.16」

記憶のコラージュです。過去の写真を見返しながら要素を抜き出し、再構成しています。「誕生日のことがちょっと苦手なのはなんでだろう」と考えながら制作していたシリーズです。もったりしたインクに、銀色がピカピカしています。

ー お客さま、ご来場予定の皆さまにメッセージをお願いします。

きっと楽しいパーティーになったらいいなと思っています。よかったら遊びに来てくださいね。

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あんのんさん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。

皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?
パーティーと聞いて純粋な「楽しみ」をイメージされる方が多いかもしれませんが、同時に、楽しみだからこそ守り抜きたい緊張感を経験されたことがある方もいるのではないでしょうか。でも、あんのんさんの作品は「失敗しても、台無しにならないよ。大丈夫だよ」と語りかけてくれて、リラックスしながらパーティーを楽しめそうです。

あんのんさんの展示作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。

あんのん 個展「A PARTY」

〈会期〉2024年3月6日(水) – 3月17日(日)

〈詳細〉https://picaresquejpn.com/unnone_exhibition_2024/

〈あんのん 公式SNS〉
X(旧Twitter) https://twitter.com/un_nooone
Instagram https://www.instagram.com/un_nooone/
HP https://unnone.myportfolio.com/

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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561

■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/

■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/

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