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別れ際の女と男の品格 | 官能小説 carpe diem



 振り返ると女は、手を振っていた。それから満面の笑みのまま、その場に正座して、三つ指をついて深々と頭をさげた。遊んだ後の女に愛しさを感じた。


 ハッキリ言おう。今日の女は私の好みの女ではなかった。選ぶときに見た写真の顔とは、ほとんど別人という感じで、第一印象は「ハズレ」だった。

 しかし、お互いが服を脱ぎ始めようとしたとき、私は女の尻に魅了されてしまった。
 下尻が見える丈のスカートは、これから私がインする妄想を掻き立てた。

「お兄さん、今日はお休みだったの?」

 洗い場で私のあそこを洗いながら、女が尋ねた。

「休みだからここに遊びに来たのですが」

「ははは、お兄さん面白い。もう大きくてカチカチだね。すごく嬉しい。じゃあ先にお風呂にお入りくださいね」

 私が風呂に入ると、女は洗面器にローションを注ぎ、お湯を入れながらかき混ぜはじめた。

「じゃあ、これ」

 女はイソジンを薄めた紙コップを手渡した。私はそれを口に含んでうがいした。

 女はマット敷くと、洗面器のローションを全身に浴び、裸体で広げはじめた。女の尻がマットの上で泳いだ。

 これから、あの尻に…私のあそこは…

 あの女の無毛地帯なる秘境は…

「じゃあ、どうぞ。滑りやすいから気をつけてくださいね」


 顔こそ好みではなかったが、プレイには大満足であった。
 ヌルヌルを落とすのに一苦労したが… …それもまた、やがて、よい思い出となるであろう。


 このような場所で遊ぶ男は、2つのタイプに分かれると言われる。

 第一印象で好みの女ではなかった場合、それだけで今日は「ハズレ」で次回別の女にすることを決意して、今日を捨て次回に賭けようとするタイプ。
 もうひとつのタイプは、「今この瞬間」を楽しむことを考えるタイプ。

 以前の私は前者であったが、今の私は後者のタイプだ。

 好みの女であることに越したことはないが、たとえ好みの女ではなかったとしても、これも何かの縁だと思い、楽しむことだけを考える。

 前者のタイプは「女を買う」ということに「客」という意識をもち、女に接するのだろう。
 しかし、後者のタイプである私は、一緒に時を過ごす「同志」として、「いま・このとき」を存分に楽しむことだけを考える。そして、別れ際に「楽しかった」と言いたくなる気持ちになれたとき、次回は事前に指名予約を入れて今日の女と二度目の逢瀬を楽しむことを願う。

 これこそ、風俗遊びの品格というものなのだ!
 同じ女と二度遊んでこそ、粋というものなのだ!!
 そう考えて、私はきっとまた、ここ、吉原に遊びに来るのを心待ちにする。

 



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