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短編 | 先生と私と(最終話、大団円)

今回は「先生と私と」の最終話です。
第1話、第2話はこちら(↓)。

第1話 

第2話


短編 | 先生と私と(最終回)

(14)

 僕は誰もいない家の中へ入っていった。『秘密のカルネ』にいる父と先生、その店の前に佇む母。僕はいったいどうすればよいのだろう。
 考えてみたが、妙案はなかった。僕はとりあえず風呂に入り、ベッドに横になった。

 先生と父親が『秘密のカルネ』で行なっているだろうことを想像した。そして、それが終わるまでひたすら待ち続ける母はどういう気持ちなのだろう?僕は眠れなくなった。

(15)

「雄大、雄大!」
 僕は母の声で目を覚ました。どうやら、いつの間にか眠っていたようだ。

「雄大は、弟か妹をほしいと思ったことはある?」
 母の突然の質問に僕はとまどった。
「兄弟がいれば楽しいだろうな、と思ったことはあるけど」
「だろうな、じゃなくて、本当に兄弟をほしいと思う?」
「どういう意味?」

(16)

「実はね、あなたのお父さんと、あの小娘先生との間に、あなたの兄弟ができたようなの。お父さんと先生の意思はかたい。なんでこうなっちゃうんだろうねぇ。私はお父さんと別れるつもりはないけど、雄大はお父さんとお母さん、どっちについていきたい?」

(17)

 どっちに?、と言われても僕は途方に暮れるしかなかった。
 
 口うるさいとは言っても、今まで育ててくれたのは母だ。率直に感謝している。 
 短い間ではあったが、架純先生のことは大好きだ。その先生の子どもが僕の兄弟になるのは、うれしいことだ。しかし、社会的に許されるだろうか?

 自分自身、意外だったのは、僕が父親に対して何の感情ももたなかったことである。怒りもない。感謝もない。
 いろいろな感情がぶつかり合って、互いに打ち消し合ってしまったかのような、妙な気分だった。

(18)

 それで、結局どうなったのかというと、僕たちは全員、同じ屋根のもとで暮らすことになった。
 もちろん母と架純先生は犬猿の仲だが、僕に対しては、二人とも何事もなかったように接してくれた。
 また、父は、全く僕と話すことがなくなったが、先生と僕との関係性を喜んでいる様子だった。
 来年には、僕の弟か妹が誕生する。高校3年生の夏だから勉強が忙しくなる時期だが、きっと僕に活力を与えてくれることだろう!


(19)補遺

 ひとつ大きな「伏線回収」を忘れていた。
 雄大の母親は、なぜ父親と先生が「秘密のカルネ」に入ったと確信したのか?
 いろいろと考えてみたが、どれもパッとしなかったので割愛した。
 一応次のようなことを考えた。

①以前にも尾行したことがあった。
②「秘密のカルネ」のレシートやマッチ箱が、背広或いは財布に入っていた。
③「秘密のカルネ」は、若かりし頃の二人の思い出の場所だった(ちなみに雄大の「仕込み」はこのホテルたった)。

などなど。
またいつか、気が向いたら「再構成」した小説を書くかもしれない。


おしまい

フィクションです。


全く「ベタ」ではない話になってしまった😱。
たまには、「ハッピーエンド」にしたいと思ったので、少なくても「僕の目」からは、「ハッピーな状態」に見えるようにしてみました😄。
「かなり無理スジだ」という自覚がある。あまり、突っ込まないでくださいね😄。


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