狭間
夜と朝の狭間
はじめて出会った時刻を
異なる季節のなかで懐かしむ
噛みついて刻んだ傷はそのままに
それでもこの手を握り返してくれる指先は
一層深く私を探り、澱みを払って
常夜灯の下
待ちわびるのは暗順応
五月蝿い羽音がまどろみを遮断する
いつだって種を撒くのは粘着と騙り
蹴散らさない優しさが憎くて
棘だらけの蔓で締め上げたいのに
指を絡めて、潤んだ瞳で
声帯を震わせられたら
身動きできなくなるのはこちらで
生まれたての悪意は緩やかに死んでいく
夜と朝の狭間で
薄く張った瘡蓋を
かじかむ指先で撫でながら想うのは
いつか巡り来る同じ季節
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