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第371号『以前と言ってることが違うじゃないですか』

ルールとは克服すべき弱点の羅列

立場上、多くの判断を求められてその都度決定をしながら「なぜそうあるべきなのか」ということを説明する機会が多い私です。

ゲーム開発会社サイバーコネクトツーの代表という立場上、ゲーム開発における様々な判断&決定は勿論のことですが、会社経営&運営においても多くの判断が求められます。

これまでにも25年以上に渡ってサイバーコネクトツー社内には様々なルールが存在して、それはゲーム開発を行う上での流儀だったりお約束だったりと多岐にわたって定められたルールというものが設定されています。

まだ10数人しかいなかったスタジオが少しずつ大きくなって人数が増えてきて、そうしたスタッフ全体を効率よく管理するために作られてきたルールというわけです。

しかし、それでも、そうしたルールがコロっと変更になることもあります。

そりゃそうです。

ルールというのは「より良い環境や制作を行うために定められたルール」ということですから。

時代が変わればそりゃ「あるべき姿」というものも変わっていきます。

そもそもルールというものが存在する理由なんてハッキリ言って「出来ていないからルールを定める必要がある」ということなんですよ。

最初から問題なく出来ているのならルールなんて必要無いんです。

ルールというのはある意味での『克服すべき弱点の羅列』なんです。

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スタッフや部下に何かを尋ねられた時に、私は瞬時に物事を判断して決定して指示するようにしています。

決して大げさではなく時間にしておよそ1秒程度です。

悩んでいる時間なんか無い、というのが正直なところですが。これって恐らくは世の中の経営者の多くがそういう傾向にあると私は思っています。

判断が求められるという立場上の性質もあるとは思いますが、一番は「悩んでいる時間が一番の無駄」という考え方によるものだと思います。

トップが悩んだり決定が遅れたりすると組織全体の遅れとなりますし、そんなことでは迅速な仕事は出来ませんからね。

ある意味では言い換えると「その瞬間でのベスト」のみを判断しているとも言えるというわけですね。

将来的にはどうなるかはわからないけれど、「少なくとも今この時点でのベストは恐らくきっとこれであろう」という判断なんです。

だからそのうち判断も変わってくるんです。

その時によって価値基準は違って当たり前なんですから。

しかしそれを「あー、以前は違うこと言ってたしなー、今更まったく違うことを言うと責任者としてブレてると思われたりしないかなー、どうしよっかなー」なんて考えてしまうと私は最悪であると思っています。

前にどんな判断をしたのかなんて関係が無い。

最新の今の判断で「どうあるべき」と感じているかが大切です。

「え、だって社長?以前と言ってることが違うじゃないですか」

って言われたとしても

「うん、違うよ、今はそうじゃないと思うよ、だから違う」

そう言えることが大事だと思いますし、自分のプライドとか体裁とかそういうのに囚われないことが大切だと思うわけです。

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ただその時その瞬間では間違いないベストを判断し続けているということだけはご理解くださいね。

決してその場その場で適当に判断しているというわけではありません。

いや、ある意味というか文字通り『適当』であるとも言えるわけです。

テキトーではなく『適当』であるということ。

だからこそ「なぜそうあるべきなのか」と問われても瞬時に「なぜならば」と答えることが出来ますし、それに対して異論や違和感があるようであれば議論を交わせばいいですし、より良い意見や提案が出てくるようであればそちらを採用すれば良いだけの話です。

なんか企業の代表の多くが『自分の非を認めないプライドの塊のような頑固オヤジ』みたいな印象があるかもしれませんが、少なくとも私の身の回りにいる代表はみんなかなり柔軟で割と簡単に自分の非を認めて他者の意見やアイデアを採用するタイプの人が多いように感じています。

私自身も含めて。

前に指示した内容と違うことを言っていたとしても「スマン、ありゃウソだった」と言える人間が非常に多いと思います。

以前と言ってることが違うじゃないですか

割と最近の具体的なエピソードを紹介したいと思います。私は最近はオンラインで実施している学校講演の質疑応答パートを動画で撮影しておいてそれを切り抜いてTikTokでショート動画としてアップしています。

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