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最近の音楽シーン、好き?

 お疲れ様です。

 前回はグラミー賞について触れました。その続きとして、最近の音楽シーンについて、Z世代が勝手に思うことを話します。まずは近年のグラミー賞をベースに。例によりU.S.中心の話となっています。かなりおこがましいですが許してください!


批判—不透明なグラミー賞

 2020年、チャートを席巻したThe Weekend

 誰もが耳にしたことがあるだろう、'Bliding Lights'は、年間のBillboard Hot 100で、他を寄せ付けない圧巻の1位。翌2021年の年間チャートでも3位にランクインするなど、歴史的ヒットを記録。

 しかし、グラミー賞を受賞するにはいたりませんでした。これだけでも波紋をよびそうですが、なんとノミネートすらゼロ。唖然というか呆れというか。

 グラミー賞には、アーティスト自身、その周囲の人生を左右するような影響力を持ちます。

 The Weekend はノミネーション直後にコメント。「グラミー賞はいまだ崩壊したままだ。僕と僕のファンと音楽産業のために、透明性を要求する」。「秘密委員会」という当時選考に携わっていた不透明な組織を批判。  

 彼は、今後一切グラミー賞に作品を提出しないと宣言。The Weekendに加え、ドレイク、フランク・オーシャンらがグラミー賞のボイコットを続けています。

 「これは、僕だけの問題ではない。グラミー賞が人種差別的かどうかと言ったら、その答えは、この62回で黒人アーティストが10人しかアルバム賞を取っていないことにあると思う」

 遡って、2015年のグラミー賞。当時最優秀アルバム賞が有力視されていたのがビヨンセ。しかし蓋を開けてみれば、獲得したのはオルタナ系のベック。2016年の最優秀アルバム賞では、テイラー・スウィフト '1989' がケンドリック・ラマ― 'To pimp a Butterfly' を。最優秀楽曲賞ではエド・シーラン 'Thinking Out Loud' がケンドリック・ラマ― 'Alright' を凌ぐ結果に。

左:テイラー・スウィフト 中央:ビヨンセ 右:ケンドリック・ラマ―

 選考委員は白人高齢男性が多く、R&B、ラップスタイルのアーティストは冷遇される傾向に。そのことがグラミー賞自身の価値を下げることに繋がってしまったのです。


変化

 批判を受け、グラミー賞は「秘密委員会」を廃止。それからは、以前と比べると、黒人アーティストも正当な評価をされるように。2022年にはジョン・バティステが最多ノミネート。昨年もLizzo、サマラ・ジョイらが躍動。

 でも「ジョン・バティステってそんなに活躍したっけ?」「サマラ・ジョイが新人賞?マネスキンじゃないの?」という意見もあったことかと思います(私は忖度なく両者とも大好きです)。

 で、今年のグラミー賞。Morgan Wallen。

 アルバム'One Thing At Time'が2023年間Billboard 200で1位。'Last Night'はHot 100でこちらも年間1位と大ヒット曲に。年間チャートで2冠だったわけです。

 しかしグラミー賞ノミネートされず。正確に言うと、カントリー楽曲賞にはノミネートされているものの、主要部門では無視。このくだり、身に覚えが...はい。The Weekendと似た状況。

 もちろんグラミー賞っていうのは商業的成功は関係なく、作品の内容を重視します。でもカントリーかつ誰もが親しめるポップなメロディで、大衆の心をつかんだモーガンが、主要部門から外されるとは。(彼の差別用語使用は擁護できない…)

 私は生粋のロックファンのひとりで、流行の音楽についていくことに困惑することも。アイドルやhiphop系は好んでは聴かないし。ロックやR&Bに関しても、とても抽象的な表現でわかりづらいと思いますが、音楽の質感が変わったなと。

 それでも時代は変わります。私は聴かず嫌いにならなかったことで、チャイルディッシュ・ガンビーノ、ジョン・バティステ、サマラ・ジョイらの素晴らしいアーティストにも出会えました。


中和へと向かうか

 最近のハリウッドのあからさまな「ポリコレ」。行き過ぎた配慮によって、作品、物語そのものへの尊重がなされていないのでは。(演じられている方々に罪はない)

 「時代だから」といって、本来の意義を失い、むやみな「多様性への配慮」を行っていないか、少数派の尊重に躍起になっていないか、と感じることもあります。

 音楽界では、R&B、hiphopがトップシーンを占領するなか、「ロック最高!」て言ってもいいわけです。なのに、それを良しとされなくなるかもしれない。

 白人発祥のカントリーで、尚且つ男性のMorgan Wollenは今回グラミー賞で不遇の評価を受けている。世間の目を気にするあまりなのでしょうか。単純に選考委員の好みでは無かった、というのも好き嫌いで選んでいるということで問題アリです。

 今回のグラミー賞で、テイラー・スウィフトが最優秀アルバム賞を受賞する可能性は十分にあります。もしそうなると史上最多、4度目の栄冠となります。「彼女はスティービー・ワンダーを超えたことになる!」「白人贔屓は変わってなかった!」と物議を醸すでしょうか。はたまた、「女性が史上初の快挙!女性の地位向上の立役者だ!」と崇められるでしょうか。私は彼女の功績を素直に讃えたいと思います。

 もちろん多種多様性を理解、尊重し、誰も取り残さない社会であることを望んでいます。今までの差別や暴挙を許すことはできません。

 "批判の批判"にまでたどり着くと、「なんかもう、個人の趣味趣向が、一つの賞、多数派の評価に影響受けなかったら良いじゃん!」ってなる。果たして、今のグラミー賞に意味はあるのでしょうか。その権威が再び正当なものとなるまで待ちましょう。


リバイバルの暁に...

 本当に流行の音楽を追う必要があるのか。再び壁にぶち当たります。

 音楽というのはその時代の鏡。音楽を聴くことで、社会や文化、時代のメッセージを、身体でダイレクトに感じることができる。でも音楽に社会性は必要なのかといわれると、そうではない。

 ロックファンとは言いつつも、R&Bに魅了されてきた私。現に、今年のチャートを見ても、黒人アーティスト、女性アーティストの勢いが素晴らしいです。

 ロックが覇権を握っていたのは過去の話で、ポピュラー音楽は再び黒人音楽のものに。そしてまた、それらの黒人音楽に影響されたものたちが、また新たに挑戦し、ニューウェーブを巻き起こしていくのかも。「ロックは死んだ」と言われますが、今は花を咲かせるときを、新たな要素を蓄えながら待つ期間としましょう。

 リバイバルが繰り返された暁には、「黒人の音楽」「白人の音楽」なんて関係なくなってほしいですね。いや、私が遅れてるだけで、すでにそのバイアスは存在しないのかもしれせん。


編集後記

 Z世代が感じる最近の音楽について、好き勝手書かせてもらいました。

 今回はU.S.をメインに語ってしまったので、今度はU.K.シーンについても話したい。

 今日もありがとうございました。

 お疲れ様でした。

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