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ガケ書房の頃 完全版 ――そしてホホホ座へ

"僕は本屋は勝者のための空間ではなく、敗者のための空間なんじゃないかと思っている。誰でも敗者になったときは、町の本屋へ駆け込んだらいい。"2021年発刊の本書は京都の個性派書店『ガケ書房』から"バンド"『ホホホ座』へ。店主の生い立ちから始まる大人の青春グラフティー。

個人的には、同じ本屋としてのリスペクトはあるも結局は訪れることが出来なかったガケ書房、またいつの間にかホホホ座になった過程を知りたくて本書を手にとりました。

さて、そんな本書は実家に一番近い本屋『こま書房』での立ち読み小僧であった幼少期、家出同然に向かった関東での『何者か』になるために様々な仕事を体験した20代話を経て、父親の死と対面しての2004年のガケ書房開店、それからの11年間の試行錯誤、閉店・改名からの"本屋を名乗らない"現在のホホホ座に至るまでが【赤裸々なエッセイ】として、エピソードや心情を交えながら描かれているのですが。

残念ながら一度も著者とは未だ面識がなくも、世代が近く、また自分も紆余曲折を経て、中年期に結局は立ち読み小僧だった幼少期に戻ったような気持ちで『フリーペーパー&古書店』を現在も続けていることから終始感情を寄せて、また自身の活動のヒントをいただきながら読むことができました。

また、いわゆる『読書すべき』とか、書店、業界とは『かくあるべし』といった気負ったり、カッコつけた感じではなく、あくまで【自身の言葉を大切にしながらつぶやいている】ような、やわらかい言葉の選び方が心地よく、本屋をしていない人でも、それぞれの青春時代に響くのではないかと思いました。

かって、京都は左京区にあったガケ書房を懐かしく思う方、現ホホホ座ファンの方はもちろん。1970年代生まれの青春記としてもオススメ。

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