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書店本事 台湾書店主43のストーリー

"台湾の特色ある書店について執筆するにあたり、まず思い浮かんだのは、本と人の間の物語だった。だが実際に取材を進めると、直接本を読者に届けるというシンプルな行為をはるかに超えたコミニュケーションが、独立書店には存在した"2019年発刊の本書は43の独立書店文化を紹介した刺激的な一冊

個人的には【台湾好きで何かしら文化交流を図りたい】気持ちがある一方で、自身の運営する本屋の運営や言葉の壁もあって【なかなか直接に関われないでいる】もどかしい気持ちを抱える私にとって、台湾の方々自身によって取材され、また本自体を紹介する魅力的なテキストと映画監督ホウ・チーランによる3、4分程度の短編映像のQRコードによる動画リンクも加わって"まさに行ったつもり"の書店巡りに誘ってくれる本書は【夢の様な一冊】で、まず本書を日本に紹介してくれた出版社、サウザンドブックス、そしてクラウドファンディングを支援してくれた人達に感謝の気持ちを伝えたい。

さて、そんな本書は前述の通り、日本と同じく読書離れや出版不況の続く台湾全土の個人経営の町の本屋43店舗を【老舗書店、経験を積んだ中堅書店、新世代の書店、本以外にも魅力のある書店】と世代や立場の違いを越えて紹介しているのですが。同じく台湾の書店を【日本人が取材、紹介した本】としては『本の未来を探す旅 台北』なども既読ですが、比較してやはり本書の方が【書店主の心情に寄り添った丁寧な取材をしている印象】があって、より深く台湾の本屋文化、そして歴史や社会について理解できた気がしました。

また、何より、大規模資本による大規模書店やいわゆる業界の方々からすれば店としては吹けば飛ばされるように小さく、また稚拙と笑われるかもしれなくも【文化発信拠点】の場所としての本屋を何年も【自分なりの矜持をもって運営している】私にとって、本書で取り上げられている方々それぞれの言葉は、まるで【台湾の同じ立場、志の仲間からエールを送られているような熱さと刺激があって】思わず涙が出そうになりました(笑)

台湾好き、本屋好きな方へ。また商業施設としての意味以上『文化発信拠点としてのプライドをもって』本のある場所を運営している全ての人へオススメ。

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