【#素敵な日本語で言葉遊び】神姫の微睡み

雪の縁取り 理の誓いの下に 萌黄の芽 薄桜に頬を染め 微睡む春の神姫

雪深い山で、新しい命が萌える。

萌黄色のフキノトウは、厳格な女神を見送り、新たに訪れた者の足音を確かに聞いたので顔を出す。

厳粛なる冬の女神は大いなる自然の理(ことわり)の誓いのもとに大地を離れ、新たな主に世界を明け渡した。

しかし未だ微睡(まどろ)む春の神姫。新たな主としては未だ小さい貴女。

微睡む幼子の頬には、うっすらと薄桜色が差している。

フキノトウは、古来より彼女を起こす役割を担う。

「春の姫君、お目覚めなさい」

その声と共に、小さな新しい芽吹きが増え、声は目覚めの詩になる。

新しい芽吹きがいや増すと共に、春の女神は幼い子供から、蕾のような少女から、大輪の花を咲かせる女性へと姿を変えてゆく。

そして、彼女は謡う。

声なき声、詩なき歌、それでもすべては彼女の歌を聞き届け、雪の世界は薄桜に満たされる。

人よ、麗らかな春を伴う神姫が高らかに謡う言祝ぎを受け、新しき年を祝いたまえ。

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萌黄色と薄桜色

百瀬七海さんの企画に突発参加いたしました。

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