李香院/ゆりえ

李香院/ゆりえ

最近の記事

死人に口なし

百合の花の香りに含まれる毒に窒息して 美しい死体になりたいと思ったものの、 現実的ではなくって、 優しく弱い心が邪魔をして、 結局今まで生きながらえてきました。 人は死んでからも 好き勝手に言われて、 想いだって決めつけられて、 別人のような自分が実体を伴わずに生きていくことがあります。 それならば誰もが美しい物語を紡いでしまうような そんな死体になれば 死んでからの鬱陶しい他人の気持ちをコントロールできるのではないでしょうか。 部屋はわたしの棺桶。 棺に

    • 里塚村健康体操第一

      古くから伝わるものが 令和のこの時代に役立つこともあります。 「元氣」と書いた御札を顔に張り付け、午前七時に東を向きながら正確に歌い体操することで内臓が鍛えられ、3日もすれば肌艶は良く、10日すれば声に張りが出て、ひと月経つ頃には骨が丈夫になり不老不死になれると言われています。集団で行うことでさらに効果が高まり医者を青くします。 これから寒さが本格的になり、風邪(ふうじゃ)にやられてしまうことだってあるでしょう。 ですが、未病を防ぐことはいちばん易しいです。 これをご

      • 部首採集に行こう!

        5月も終わりに差し掛かり、天気の良い日はもう夏のようですね。 夏は子ども時代を思い出します。 なので今日は懐かしい「部首採集」に出掛けようと思います。 皆さんも小学校の頃によく部首を捕まえに出掛けたかと思いますが、おさらいもかねて部首採集の基本から採集した部首まで書き残しておこうと思います。 部首採集の基本 部首は昆虫の一種。 紀元前1300年前の中国、ちょうど殷王朝の時代に発見されました。 日本には弥生時代になって大陸から伝来し、日本全土に繁殖したといわれています

        • 【あ】

          こんにちは。 大切に育てていた桜の盆栽の花が散ってしまいました。来年も可愛らしい花が咲くよう、水やりや剪定をしていたのですが… 得体のしれないものが生えていました。 いったいこれは何なのでしょうか? 【あ】のようにも見えますが、あああ… 「桜 盆栽 あ」を手掛かりにネットで調べたところ、園芸に詳しい方のホームページが出てきました。 読み進めていくと、 本当に、【あ】のようです。 平安時代から親しまれる寄生植物で、放っておくと養分を吸い取り意味を持った言の葉を咲か

          爪切り 幼稚園の頃、先生に 「夜に爪を切ると親の死に目に会えないんだよ」 と言われて、私はそれから夜に爪を切れなくなりました。 ちょっと調べてみると、 夜(よ)爪(つめ) 世(よ)詰(つ)め こんな語呂合わせで親より早く死ぬことを連想させるそうです。 小さな刀で爪を切っていた昔は、子供が本当に爪切りで手を切り破傷風で死んでしまうことがあったとかなかったとか。 どうなんでしょうね。 ただの迷信、ただの語呂合わせといえばそうですが、確かめようと夜に爪を切る気にはなれ

          沈む

          言葉にすると、ぎゅっと気持ちに枠ができて、はっきりとして、大きさが見えて、その思いの果てに気が付きます。 やっかいなのは漠然とした不安です。 ぐるぐるぐるぐる、まるで軽いみたいに浮遊するくせに、どんどん重たい何色とも言えないような靄でいっぱいにします。 靄なんて重さがないはずなのに、どうしてあんなにずっしりと下を向くしかなくなるような気持にさせるのでしょう。 すべてを言語化できたなら、ふっと軽くなって言葉の通りどんな気持ちも昇華できるのでしょうか。

          無題

          夢は眠っている間に見るもの。 ですが、起きていて意識がしっかりあるときに見る夢もあります。目標とも言いますね。 目標  【意味:目印、的、気力がなくっちゃ見れない夢】 そうではなくて、私は起きているときに、寝ているときに見るものと同じ意味の夢を見たいと思いました。 どうしたら見れるでしょうか? 誰が方法を知っているでしょうか? それは幻覚で、見れてしまったら病院に連れて行かれるのかな。 やっぱりゆめは、眠らなくちゃ見れないのかな。

          人間と桃

          冬は夏のことを考えてしまいます。 暑いのは嫌だけど、縁日だとか風鈴だとかノースリーブのワンピースだとか、そういう概念は好きなのです。 それに、夏には桃があります。 暑い夏の日には、もう汗でべたつく体を捨てて桃になってしまいたいと思います。 桃になればかわいいし、瑞々しいから涼しくなると思います。 昔の人が、花のようになりたければ花を食べればよいと言っていました。花を食べれば肌艶が出て、頬は染まり美しくなるようなのです。 でも、そんな同物同治を鵜呑みにして桃ばかり食

          花はどうして

          「すべてのものに命が宿っている」 そう考えるならば、すべてのものから妖怪は生まれるのではないだろうか。 ふとそんな考えが、私の中に湧いてきたのです。 古代中国の幻想怪奇なお話の中、 昔助けた鹿に恩返しされるだとか、 一目見た天女のようにうつくしい女を忘れられずに飢え死ぬだとか、 あの世とこの世、夢と現実とがパラレルワールドなんかではなくって、おんなじ世界に存在する、そんなお話が多くあります。 そんな中でも私は、人間に化けた花、つまり「花妖」のお話が大好きです。

          花はどうして