日常。

 

近所のスーパ。

 

ほどほどに混み合う

昼下がりの店内に

ひとり

 

車椅子を漕ぎながら

カートを押す

女性

 

狭い通路で

行き交う人が

通り過ぎるのを

じっと

待つ

 

「手伝いましょうか?」

「押しましょうか?」

 

いくつかの言葉が

頭の中に生まれて

消える

 

両の手は

自らのカートを押している

 

女性は

器用に

車椅子を漕ぎながら

進み

買い物を続ける

 

それは

彼女の

日常

 

わたしのものと

そう変わらない

日常

 

わたしの方が

買い物は早く

済ませられる

 

ただ

それだけ

 

彼女の方が

早く済ませられることなんて

きっと

いくらでもあるだろう

 

速さなんて

もしかしたら

大した価値では

ないかもしれない

 

彼女にできて

わたしにできないことなんて

いくらでもあるだろう

 

空は

久しぶりに

晴れていた

 

それぞれの

日常がある


いつも本当にありがとうございます。大切な人をちゃんと大切にすることは、とても労力のいることです。お気持ちや、その手は、どうかお近くの大切な人へ。あと言葉も、是非。