東京ラブストーリーじゃない
義母のことで、あちこち用事を済ませに行った。
路肩に停めた車で待っていると、夫が戻ってきたので、
「この坂道、上ってみてくれる?」と言った。
車が急なカーブを上りきりると、大きく開けたグランドの横に出た。
錆びたサッカーゴールがある。
グランドの遠くを指さす夫が、「マウンドはそのままだな」とポツリと言う。
校舎の入り口には柵があり、1階の窓は板で覆われていた。
「ここにいつもO先生が座っていて『オイ!やまだー!ちゃんと取らんかー』って言ってたんだよね」
そう言った途端、涙が出そうになって
「カンチー!」と叫びたくなった。
全然関係ないけど。
田舎のラブストーリー。
もっと書くつもりだったけれど、懐かしさが言葉にならず、それより恥ずかしすぎて、もう書けない。
続きを書いたらエッセイに、やっぱならないなぁ…。
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