見出し画像

五感をひらくこと -release the five sences.

あ、最近五感が閉じているな、と思い立って、散歩にでかけることにした。PCとスマホは置いていく。これ肝心。

個人単位で働き始めるようになってからは、どこへ行くにもいつもPCと一緒だ。自宅よりカフェの方が仕事が捗ってしまうので、平日はもちろんのこと、休日でもすきま時間があれば集中できる環境でいろいろ進めたい、とついPCを持ってでかけてしまうことが多い。

PCさんとスマホくんは、私が朝目覚めてから夜眠りに落ちるまで、まさに常時、仕事もプライベートも含めて苦楽をともにしていると言っても過言ではない。そのくらいの存在になってしまっている、と思う。

だからときには距離を置くことが必要だと思っていて、ふとした合間に、意図的にそういう時間を持つようにしている。仕事でひとやま越えたときとか、久しぶりに予定がない日とか、そんなときに唐突に思い立つ。

ああ、最近五感が閉じているなぁ、と思うことはときたまあって、例えば、ずっとPCに向かって数日間ひたすらに仕事を続けていて、ひとやま越えてよし自由な時間ができた!と思うのに、書きたい文章が何も浮かんでこないときとかそんなときだ。これはまずい、五感のインプットが枯渇しているのだと自分で勝手に危機感を抱く。

前回のnote「1年という単位」で「環境を変えると人は変わる」という話をしたけれど、これは短期的な日常の生活環境でもそのとおりで、毎日同じ部屋や同じカフェ(人によってはオフィス)にしかいないと、頭がその環境の中だけに適応していってしまうのだと思う。

そのため、私が五感をひらくために行う方法はまたこれもいたってシンプルで、周囲の環境を変える、とくに「自然の中に行く」だ。

街でショッピングしたり、美術館やイベントへでかけるのも楽しいが、これはどちらかというと、ときに企画やコピーやプロモーションなどに目がいって、仕事の脳みそを働かせてしまう。面白いし好きだけれど、五感をひらくという目的のときはちょっと違う。

ということで、その日はカメラだけ持って、PCさんとスマホくんには家で留守番をしてもらい、ふらりと海へ散歩へでかけた。

波の前の砂浜に座って、ただじっと時を過ごしてみる。

目の前に広がる壮大な海と空。180度何もさえぎるものなく、ただひたすらに海と空だけがそこにある。その空にただよう雲の合間からベールのようになって差し込む、やわらかで荘厳な日差し。

視覚でたっぷり堪能したあとは、そっと目を閉じて、他の感覚もひとつひとつ、脳内で意識してみる。

ざぁぁん、とも、ごぉおお、とも聞こえるざわめきとともに、絶えず寄せては返しを繰り返す波の音。ほのかに漂う、潮の香り。指先と手のひらに感じる砂の感触と、顔をなでていく海の風。ひとつひとつ、自分の感覚がちゃんとそれを捉えていることを、再確認してみる。

そうすると、凝り固まって閉じていた自分の五感が、するするとほどけていくような感覚になる。ああ、開いてきたな、という感じ。体の細胞たちから、開いてくれてありがとう、と言われているような感覚にさえ陥る。

そうやって五感をひらくと、ああ、なんだこんなに書きたいことあったじゃないか、やりたいことあったじゃないか、と脳みそがまた動き出してくれる。

PCもスマホも閉じて、ぼーっと脳みそを開放して、五感をひらく時間が、どうしても必要なのだ。眠るのではない。ちゃんと起きていて、「ぼーっとして五感をひらく」を意識的にする時間が。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。