きょうは　あさはやくでかけるから

そろそろ起きないとなぁ

そう思って　寝返りをうち

となりにねむる　むすめのようすをうかがう

早起きするには　彼女の熟睡しているタイミングに

すぉーーっと、しのび足で出ていかなければならないから

くるりと　寝返りをうつと

ねぼけまなこのむすめと目があった

ぱちっ

うつぶせで　こちらに首をむけながら

ほぼほぼ　寝ています　そんなかおをしながら

なぜかこのタイミングで　目をあけてしまい

わたしが起きていることに気づくと

そのまま　うーうー　うーうー　言い出した

起きちゃったよう　眠れないよう　

とでも言うように

そのまま　はいはいで　こちらに突進

おもわず　うでを　さしだすと

いつものように　ゴロンとまわって　どさっ

重たいあたまを　母にたくして　うでまくら

そのまま　すうすうと　ねむりだす

やれやれ　落ち着く場所に　たどりついた

ここなら　あんしん

とでも言うように

きょうは　早起き　するんだから

かたく決心している　母のほうは

とつじょ　目の前にさしだされた

むすめの　無垢な　ねがおに

しばらく　うごけずにいる

（できるなら　ずっとこうして　見ていたい）

すう　すう　すう

ちいさな　はないき

すう　すう　すう

安心しきった　むぼうびな　ねがお

すう　すう　すう

にのうでにかんじる　たしかな重み

すう　すう　すう

つたわってくる　ぬくもり　におい

（できるなら　ずっと　こうして　見ていたい）

でも　きょうは　

きょうは　早起き　するんだから

そうおもいながら

うごけずに　

くらがりのなかで　

一秒　一秒

しっかりとそのねがおを　

目にやきつけて　

にのうでが　しびれてきたころ

むすめが　ふたたび　寝入ったのをみとどけて

すぉーーっと　ぬけだした

ふとんと　まくらに

母のぬくもりをのこして