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新発売『カプセルストーリー青/緑』と会話と擬音について思ったこと

草間です。

6月23日、田丸雅智さん監修、坊っちゃん文学賞とショートショート大賞の受賞者による完全新作アンソロジー『3分間のまどろみ カプセルストーリー』が、学研より電子書籍で2冊同時刊行されました。

草間もそれぞれに一編ずつ、クラシカルな児童文学を寄稿しています。
安房直子、岡田淳、富安陽子、あまんきみこ、神沢利子といった児童文学を読んで育ったので、少しでもあのちょっと不思議で夢中になれて最後は「明日もきっと幸福である」と信じられるような作品に近づくことができればと思って書きました(安房直子作品は、死の匂いが強いものも多くありますが……)

カプセルストーリー(3分間のまどろみ)青/緑(Gakken)

どういった作品を書く作者が参加しているかは、著者のお一人である霜月透子さんがこちらの記事でまとめてくださっているので、ぜひご覧ください。

私は坊っちゃん文学賞の受賞者として、『猫の膝、いかがですか』(緑)と『わがままな野菜たち』(青)という短いお話を書きました。
猫と鳩がちょっと変わった商売をする話と、ラーメン屋のがんこ親父が喋る野菜でスイーツを作るお話です!

第一印象でわたしが好きだったのは、『セミな〜る』『魔法の言葉』『万年筆』(以上、緑)『をかし売りの少女』『怪談箪笥』『責任者』(以上、青)などです。
きっと読み込めば読み込むほどもっと好きな作品があると思います。
『人喰い沼の水、全部抜く』なんてタイトル、もう気になって読むしかないじゃないですか……!

物語を書くにあたって、最近思っていることなどを書きます。
会話や擬音を道具立てにしないために何ができるか、ということをよく考えます。

会話は登場人物の感情が言葉として発現したもので、限られた文字数の中で読者へテンポ良く状況を説明し登場人物の行動を定義づけるのに欠かせない要素であり手段です。
擬音もまた作品のリズムを作り、臨場感を演出するためには良い手法といえるでしょう。
ただ、では文学が映画やドラマ、舞台といった媒体とどう差別化されるのか或いは独自性を主張できるかと考えたとき、会話や擬音はむしろ障壁となることもあるのではないか。会話の登場によって、登場人物の主体性がある意味相対化されてしまうのではないかという危惧をおぼえます。

会話劇という言葉もあるように、会話によって構成される文脈が驚くべき効果を生むことも確かです。スピーチがなくては成立しない物語があるように。それに、会話が多用されることによる読みやすさ、伝わりやすさという点も忘れてはいけない要素です。

だからこそ、今後会話を作中に用いる際は、会話だからこそ成立する場面でのみ覚悟を持って慎重に使うこと、会話に逃避しないことにしようと決めました。擬音については、常にここは擬音なのか、この擬音なのかということを疑いながら書いてゆきたいと思います。
いかに文章によって感情を活写するかという点については引き続き考えていこう。

そういえばLitLinkカードを作りました。


カードにスマホをかざすとプロフィールページへ飛ぶので、名刺がわりに活用します。

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