Poetic Mica Drops音担当茂野です。
1月1日に起きた能登半島地震の被害状況は、日々報道でその甚大さが明らかになってきています。
この日、私は新潟県新発田市にいました。ここは新潟県の下越地方。地震の震度は5。かなり揺れた上、3メートルの津波警報が出された地域に新発田市は入っていました。
幸い新発田市内における地震や津波の被害はそれほど大きくなかったのですが、自身が居るところに津波警報が出されたのは人生初めての経験でした。

3.11の記憶

そのとき、13年前の記憶が蘇ってきました。
2011年3月11日、Tsang Tsui Shan監督「大藍湖」(Big Blue Lake)の音楽レコーディングのために港区のスタジオに着いたと同時に激しい揺れに襲われた記憶。
地下のスタジオ、様子を見ながら開始時間を少し遅らせ、余震が続く中でチェロのレコーディングを決行したあのときの記憶。
香港でニュースを見ていたTsang Tsui Shan監督はすごく心配していたそうです。
映画「大藍湖」はその後無事完成し、その年の11月に完成披露試写が香港で行われました。

映画「大藍湖」

「大藍湖」は、私にとって忘れられない作品になりました。
その音楽を聴くと、今でもいろいろなことが思い出されます。
あの日レコーディングしたチェロ。震災の記憶です。

映画オープニング

エンディング

3月11日、あの状況の中で素晴らしいチェロを演奏していただいた岩永知樹氏には、今でも本当に感謝しています。

「一天」

香港映画には、映画の音楽とは別に、映画プロモーション用にテーマソングを作るという、日本にはあまりない慣習があることを知りました。
映画が完成した後に監督から頼まれ、「大藍湖」でもテーマソングを作っています。
福島で起きた原発事故の影響で、東京電力管内における計画停電の可能性が叫ばれる中、香港サイドとやり取りをしながら作った記憶があります。
歌は、主演のLeila Tong、Lawrence Chou。二人は歌手ではなく俳優ですが、歌がとても上手でした。

映画「大藍湖」テーマソング「一天」

震災の記憶

映画「大藍湖」は、私にとって東日本大震災の記憶につながっています。
そして、能登半島地震。また一つ震災が記憶されることになりました。
いまだに全貌が見えない被害状況ですが、早く復興されることを祈りながら、自身ができることは何かを考えていきたいと思います。