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技術士ラボの強みとは?_サラリーマンが研究所を創ってみた_#4.Materials and Methods (2)

 前回まで、「子供の頃の知的好奇心の延長線上にサラリーマンがバイオ系の研究所を創ってみたら、知的好奇心を満たしただけでなく、知識や人脈を広げ、収入もアップし、新しい研究者像を確立できそうな気がしている!」という話をしました。また、「ラボづくりのお勧めの方法は、公的機関に登録されたラボ(事務所の甲板)が貰える技術士の資格を取得すること」だとお伝えしました。気になる方は是非そちらも読んでくださいね。

技術士ラボの強みとは?

 さて、普通研究所というと、博士というイメージがありますよね?なぜ、博士になるよりも技術士になるほうが、研究所をつくる上で意義があると考えられるのでしょうか?この記事では、技術士ラボの強みについて分析していきたいと思います。

 その前に、まず個人が研究所を創ろうとするとき、アドバンテージになることは何か考えてみましょう。ポンヌフは下記のように、分析しています。

①お金をかけずに、研究できること
②一緒に協働してくる人と出会うこと
③個性による差別化を図り、アピールすること

①お金をかけずに、研究ができること

 まず、私設ラボでは、通常、高額な機器を購入できませんし、実験キットを気軽に購入できません。また、自宅で実施できる生物や化学の実験は限られており、試薬の保管等の問題もあります。そのため、より安価に安全な実験を実施できる人、あるいはコンピューターを使った解析を実施できる人が有利です。さらには、共同研究を前提にしたときに、実験以外の部分で研究に貢献できるかという視点が必要です。技術士はコンサルを生業にする職業ですから、研究の計画やスケジュール化、軌道修正、使用する最先端の技術とのマッチングなどに定評があります。技術士取得に向けた勉強や、技術士としての経験により、こうしたコンピタンシーを開発できる点が有利です。

一緒に協働してくる人と出会うこと

 私設ラボでは実施できない実験を行う上で、パートナーとなる研究者の存在が非常に重要です。また、研究所として、仕事の依頼を受けるうえで、様々な領域に人脈を形成していく必要があります。どうしても、博士の場合は、人脈が同じ専門領域の方に限定されてしまう傾向があると思います。しかし、研究所をしていく上で個人の強みは必要であるけれども、多種多様な要望に応える専門性をカバーするのには限界があります。また、領域が本業と被るほど、棲み分けが難しくなる場合があります。

 一方、技術士は、日本技術士会に所属し、セミナーやイベント等への出席を通じて、産官学の様々な技術者・研究者との人脈を形成できます。そのため、技術士は博士よりも、案件ごとに最適な専門性を持つパートナーと繋がりやすいというメリットがあります。さらに、技術士同士はお互いに強い信頼感と連帯感を持っている場合が多く、技術士であるからという理由だけで連携が取りやすいというケースが少なくないのです。一方、博士同士には、そのようなものはないように感じています。これは、技術士を目指してきた人が「技術を応用して社会の役に立ちたい」などの共通する志を持っていることや、技術士法に基づく秘密保持の義務を負っていることから、本音がしゃべれるというメリットがあるからだと思われます。技術士資格のメリットについては別記事でまとめる予定です。

③個性による差別化を図り、アピールすること

 博士は、毎年15,000人もの人が取得していますので、世の中にありふれているので希少性が低いです。また、一般的には、組織に属して研究する場合が多く、個人が研究所を創るというケースは殆どないと思います。例外的に、その道の大御所の研究者がリタイアした後に、コンサルタントのための研究所を創るケースはありますが、中途半端な業績の若手博士が研究所を構えるのはハードルが高そうです。

 一方、例えば生物工学部門の技術士は、毎年10名程度しか、取得しておらず、知名度が低いので希少性が高いのが特徴です。さらに、もともと事務所を創るのが一般的な職位ですから、違和感なくビジネスのための研究所を構えることができます。こうした特徴はブランディングにおいて価値を生みます。今、世の中ではスキルや特性のかけ算で、自分自身をアピールしていく時代です。技術士資格を持った上で、自身の分野で重要な資格を取れば、その2つの資格を持っているのは地球上に1人だけとなる可能性も高いのです。

 以上の個人が研究所を構える上で、具備することが望ましい重要な要素を、技術士は元から備えていると言えるため、研究所を創る上で最適な資格であると思います。

まとめ

 技術士が研究所を創る上で博士より優れている点は、①お金をかけずに、研究ができること、②一緒に協働してくる人と出会うこと、③個性による差別化を図り、アピールすることという個人が研究所を創ろうとするときに必要な要素を満たせることにあると考えています。

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