★  東出珈琲店ひがしでコーヒーてん

金沢に戻って来て、さすがにお腹が空すいて、すぐ近くにある近江市場関係者おうみいちばかんけいしゃに大人気という珈琲店コーヒーてんに入る。古めかしい木の店内、珈琲を豆まめから丁寧に挽ひくスタイル。平日へいじつの午後なのに、地元客じもときゃくとガイドブックを手に来る観光客とで、もういっぱいだ。

☆  ホテルパシフィック（素泊まり）

チェックイン。近江市場おうみいちばのすぐ裏手うらて、抜群ばつぐんの立地りっちにある1階がカフェのリノベーションホテル。シンプル➕清潔だけの安い宿だが、エレベーターは辛かろうじてあり、スタッフは親切。

私はスタイリスト伊藤まさこの旅の本からピックアップ、かなり前に1番広めの部屋（と言っても狭せまい）を予約しておいた。でも外国人バックパッカーもよく知ってるもんですね、ほぼ満室でした。

★  近江町市場おうみちょういちば

街の真ん中にあり、とても行きやすい。物欲ぶつよくにスピード感が伴ともなわない私には、この宝物たからものが混在こんざいする迷路めいろのような市場いちばでの買い物には、なかなか慣なれない。

目めが忙いそがし過ぎて「うわ、うわぁ」つい気後きおくれして結局全部買かいそびれて、後悔する性格タチ。今回は、かなり頑張って予習よしゅうして来ました。

近江町市場おうみちょういちばは、金沢の台所だいどころ。鮮魚せんぎょ、蟹かにに野菜やさい、乾物かんぶつ、生花せいか、味噌みそ、果物くだものに各種かくしゅの惣菜そうざい、場内じょうないはセクションが大まかに分かれていて、威勢いせいの良い声こえで活気かっきに満みちている。

何とか気合いを入れて、ノドグロの乾かわき物ものに、富山の氷見ひみうどんをパパッと購入こうにゅうは出来た。

「私は一生いっしょうに一度いちど、もう浴あびるほど、もうイヤ！って思うほど、蟹かにが食べてみたいの」

鼻息荒はないきあらく豪語ごうごしてたのに、場内の短い時間で馴染なじみのない高額こうがくな蟹かにを選えらんで、クール便の手はずは、私に壁かべが高すぎた。

「ん〜〜やっぱりいいかな。蟹かには、どこかお店みせで食べよっかな」

威勢いせいのいい店には、完全に尻込しりごみ。結局蟹かには選べなかった。
もう。

甘エビのコロッケは買えた。

◎  市場へのアメリカ人ツアー客に遭遇そうぐう♡ホッコリ

そう、こんなことがあった。
狭い歩道ほどうで、市場いちばにこれから向かうアメリカ人観光客かんこうきゃくの団体だんたいと出くわした。

先頭せんとうにいるバイリンガルの厳しそうな女性ガイドは、小柄こがらな盲目もうもくの女性とつなぐ紐ひも（伴走者用ばんそうしゃよう？）のようなものを短く持って片腕かたうでも絡からめて、もう片方の手てには、ツアーの旗はたを掲かかげている。

「いいですか。ここからは大変混こんでいます。迷路めいろみたいなので、絶対はぐれないように、気をつけてください」

ガイドの強い口調に、列れつの後うしろに並ぶ人達にまで緊張きんちょうが伝染でんせんするのか、妙みょうに険けわしい顔かおに皆みななっている。大丈夫か。

ですがその時、先頭せんとうに並ぶ小柄こがらの、その盲目もうもく女性（50才くらい）だけが、頬ほおをピンクにして、1人ひとりニッコニッコ嬉しそうにしているのだ。
そう、街まちの匂においが変わっていくのが、彼女にだけは、もうわかるのだろう。

「市場いちばの中なかはもっと、も〜っと良いい匂においがしますよ。よく来きたぞ！来きた！
ウェルカムトゥー JAPANジャパーン！
LOVEラブ カナザワ！
うんと楽たのしんでってね〜！」

嬉うれしくて私は、大声おおごえで叫さけびたかった。
そうだ。そうなのだ。
私たちは、いつだって待まってちゃいけない。
前まえに！前まえにだ！GO GO〜！

★  金沢21世紀かなざわにじゅういっせいき美術館

オープン当初、その建築でもかなり話題になった美術館で、かなり年月が経った今も客のほとんどが県外から、チケットを買う長い列れつが出来るという。

あちこちかなり足繁あししげく通う「美術館フェチ」な私が、遠方とはいえ、こんな有名どころに
「え、行った事がないの？」
毎回 聞き返されていた。

雑誌や本で、ほぼ全部の見どころは頭に入っていたが、それらをまぁ今回は確認かくにんする感じ？と思いましたが、やっぱり初めての肌はだで感じる美術館は心こころが踊おどり出します。

楽しい。
人気の建築は、やはりトキメキがある。周辺しゅうへんのムードを掌つかさどる魅力みりょくがある。
古都・金沢に文化の新風しんぷう。街に開放かいほうしていて、とびきり明るい。
明るいって、ホント素晴らしい事だ。

◎  さぁ、美術館の中に入ってみましょう。

○  美術館びじゅつかんスタッフの制服せいふく

斬新ざんしんな明るいコスチュームは、やっぱり！ミナペルホネンの皆川明みながわあきらデザイン。こんなカジュアルな感じでも、彼の店でこの服ふくを買うと、20万円とか（ヒーッ）平気でするんです。ふらりと立ち寄っては、毎回必ずビックリする私あたし。
目めも脳のうも全然慣なれない、この相場そうばに。時代じだいに。

◎   フォトジェニックな館内名所スポット

〇　切り取られた夜空よぞらが、作品アート。

♫ 見上げてごらん〜夜の星を〜…
僕らのような、名もない星が〜 ♬

好きだ、このフレーズ。つい口くちずさんでしまう。

〇  ウサギ椅子

以前の記事で「私が持ってる建築家・中村好文なかむらよしふみのウサギ椅子（ラパン）の方が可愛い」と生意気なまいきに言ってしまった、美術館のマスコット的なウサギ椅子。
あら、御対面ごたいめーん！あはは、失礼しました。

〇　美術館の建築

名誉めいよある世界的建築家せかいてきけんちくかに贈られる「プリツカー賞」を2010年受賞。現在も世界各地からのオファーで引ひっ張ぱりだこだ。

妹島和世せじまかずよは、私の記事「ドライブホリデイ」に出て来た、海の上のシースルーな日立駅ひたちえきの建築家でもあります。（茨城県出身）

◎  ミュージアムショップ

とにかく美術館の売店って、楽しくて大好き。初めての美術館なんて、もうウキウキだ。

○  「途中とちゅうでやめる」のワンピース

私「あ、これ買う！」
夫「えっ、美術館で洋服ようふくまで買う？」

なかなか、特に洋服ようふくを気に入って買うことがない私が、ふらりと夜のミュージアムショップで
「お！」
試着しちゃくもしないで即断即決そくだんそっけつ。厚めコットン生地きじの白しろとブレードリボンの赤あかのクルンクルンが、絶妙ぜつみょう。自分でミシンも使うので（下手です）、この仕上がりが、どれほど大変か、身みに沁しみてわかる。まじリスペクト。

「途中とちゅうでやめる」ってアーティストのブランドで
「私も買いました」という売店スタッフから説明される。

へぇ初耳はつみみ。
確か¥7800、安やす！上がる♫

赤あかと白しろが好き。ちょっと若い？
大丈夫。娘むすめもおりますから。

黒地くろじと水色地みずいろじの渋い色のシャツ（くるんくるん）もラックに、2枚まだ掛けてあって、私が会計しようとすると

夫「え、じゃあ、僕もシャツ、これ買おうかな」
私「それ、色がダメ。可愛くない」

一瞬で、スパッと却下きゃっか。ひど。
私あたしって、そゆそういうとこある。（笑）

★  近江町市場おうみちょういちばの居酒屋いざかや

夜遅よるおそくなると、開いてる店は少ない。ホテルの近くの店で、地元のメニューをあれこれ頼んだ後に

私　「あ、蟹かには、なんかありますか？」
店　「¥9800のなら、ある」
私　「ん〜ちょっと（注文したのを）食べてからにします」

また逃のがしてしもた。　だって、そんな、いきなり¥9800のメニューって。そんなのサラリと注文した経験ことないし私あたし。
蟹かに、もうビビる。

高級魚こうきゅうぎょのどぐろは刺身さしみよりも、調理ちょうりしてこそ光ひかる魚さかなだな。

この時、チャラリーン♪Paris在住の友人カップルがスキーリゾートにいて、LINEが来た。友人のミニッツステーキや、フランス人爺じいさんの好物こうぶつの（グロい）臓物ぞうもつソーセージなんかのランチ写真が届いたので、
「よーし！」
ビックリさせようと（上の）居酒屋メニューの写真を送ってみた。

「僕たちって、同おなじ地球にいるけど、ホントに全然違ちがうもんを食べてるんだね」
返信が来た。

あはあは。
ま、いつも白子しらこや荒汁あらじるは、食べてないけど。

ほろ酔い気分で、金沢の夜♫