背後で投資関連の話が聞こえてくるまでは、静かなカフェだった。僕は東京都現代美術館からつぎの用件にむかうまでのわずかな隙間を縫って、そこに入店し、今日眼にしたものを整理しようとしていた。じぶんで何かをつくりあげたり、でっちあげたりするのは好きなのだけど、事実をまとめあげるということを、僕は不得意にしている。じぶんなりの言葉で形容したとして、その事実は、じぶんなりの言葉によって脚色されていやしないだろうかとひどく不安になってしまうのだ。