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注目集める「環境配慮ビル」。新たに「環境性能」が入居ビルを選ぶ基準に

三井住友信託銀行㈱と㈱住友三井トラスト基礎研究所は、7月20日に『不動産の環境認証の取得状況および経済価値の調査』の調査結果を発表しました。

「賃料負担が大きくても環境性能の高いビルへの入居を希望する」傾向があることが分かり、ESGを意識した不動産取引が活発化するだろうという見解を示しています。
不動産業界の新トレンド「環境性能」について詳しく見ていきましょう。

「環境認証」とは?

同調査では、CASBEE、DBJ Green Building認証、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の3種類の認証制度のことを「環境認証」として定義しています。
この3つについて、それぞれ簡単に説明します。

①   CASBEE
省エネや環境負荷の少ない機材の使用、室内の快適性や景観配慮などの品質を総合的に、SからCランクで評価する制度。

②   DBJ Green Building認証
ESGに基づく5つの観点(環境性能や防災など危機に対する対応力、情報開示などステークホルダーとの協働、多様性・周辺環境への配慮、テナント利用者の快適性)により総合的に5段階別で評価する制度。

③   BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
建築物のエネルギ―消費性能について評価・認定する制度のことで、5段階評価でその省エネレベルを表す。

34%の都心5区の賃貸オフィスビルが環境認証を取得

本調査では、東京都心5区の賃貸オフィスビルのうち、延床が1,000坪以上で1981年以降に竣工された1,946棟のビルを対象とし、行われました。
調査結果によると、東京都心5区の賃貸オフィスビル全体の34%が環境認証を取得していることが分かりました。
更に、評価レベルが評価4,評価5は全体の88%を占めることが述べられています。

更に興味深いのは、「賃料への経済効果」です。
なんと、評価レベルが評価3のビルと、評価レベルが評価5のマンションを比較すると、賃料が4.7%も高いことが判明しました。

また、同一ビルで環境認証を取得する前後の賃料を比較すると、評価レベルが評価5のオフィスビルは賃料が約4.6%も上昇したとの結果も出ています。

三井住友銀行はこの調査結果について、企業が入居ビルを選ぶ際に立地、築年数と並んで環境性能を重視する傾向が背景にあると見解を述べています。

今後オフィスビルのみならず、住宅やホテル、物流倉庫にも環境性能を意識する物件や入居者・テナントが増えるかもしれません。

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