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タピオカ日記①「日本国民の脳の主成分をでんぷんへと再構成させ私たちをIQ3に仕立て上げた魔の物体編」

おそらく、タピオカ日記は、「タピオカが引き起こす虚無感編」と「真のタピオカ探し編」の豪華(?)3本だてになる予定です。あくまで予定。

現在、日本のみならず世界中で、話題はコロナでもちきりだが、少し前まで、いやかなり前か??「タピオカ」が日本社会を震撼させていた。当時の社会状況を未来の子供たちが、石油ショック時にトイレットペーパーを買いに走るスーパーの写真と同列で、半径一キロ圏内に乱立するタピオカ屋とそこに群がる若者たちの写真を見て、あざ笑うかもしれないが、とにもかくにも、黒くて丸い物体をめがけてたぴらーたちが駆け巡った時代があったのだ!

タピオカ専門店は少ない初期投資からでも始められるビジネス形態で、(だって原価も安いうえにドリンクに丸いぶち込むだけというシンプルな制作方法、テイクアウトメインなので場所も大して取らない)、ブームにのかった全員がこれはあくまでブームであることを認識していて、過ぎ去れば次の話題の商品に着手すればいいだろうくらいの感覚だったのだろう。だからこそ、手を出しやすく、専門店だけでなく、大手飲食チェーンも片手間に軒並み参入していった(不評なところも多かったが)。

ドリンク自体よりも、ボトル等その見た目にこだわる店が増え、インスタ映えスペースを店内に設けるなど、ただの液体と丸い物体に付加価値がどんどん加算され、長時間並んだ末、500mlにも満たない飲み物に500円、時には800円を払うこともいとわない人間を量産していった。一日に何件もタピオカ専門店をはしごする女の子たちを生むなど不思議な社会現象が起こっていたにもかかわらず、誰もそれを奇妙だとはあまり捉えていなかった。ユーチューバーは、ひたすらタピオカを大量に購入し、飲み比べなる高貴な遊びを楽しみ、大衆はそれを視聴し、自分も全種類買ってみた!なんて企画やってみたいものだと、財布の中身を眺めたに違いない。

ただ飲むだけのタピオカドリンクに収まらず、食べるタピオカと称し、次々とコンビニを中心に、タピオカ入りの新商品が開発され、今も商品棚や町中の至る所にその面影が残っている。無論、ブームの際に乱立したタピオカ専門店の多くは、私が住むような地域では、すでに閉店済みだ。今ではもうやっているのかよくわからない、大不評の東京タピオカランドができたり、自分の好きなドリンクをカスタマイズしてつくるタピオカ屋さんができ、ミルク系の液体より原価の安いタピオカを大量にカップに詰めさせ、「タピオカ盛り放題」と善良な人間のふりをし、子羊を集め一儲けしようとした輩が溢れかえるなど、コロナ自粛の今、当時を振り返ると、どうやら私たちのあたまはでんぷんを主成分としたIQ3くらいで構成されていたのかもしれない。

ある大手ネットニュースサイトで、どっかの誰かがタピオカ一杯のカロリーは700calであると暴論を叩き出したせいか、「知り合いがタピオカとラーメンっておんなじカロリーらしいで!」と騒ぎ立てていた際は、このようにして無根拠な情報は一瞬にして広まっていくのだなと、大手飲食チェーンの食品成分表示一覧を見ながら実際のカロリーを調べた記憶がある。確かに、甘すぎるドリンクにふんだんにトッピングを載せた特大サイズであればそれくらいは裕にいきそうな気もする。にもかかわらず、タピオカダイエットなるものが爆誕したりと、やはりわたしたちは知らぬ間にキャッサバに犯され思考力を奪われていたようだ。

私が一番、タピオカブーム中に驚いたことは、各社が多様な場面でタピオカを広告にここぞとばかりに使うのだが、ある大手美容予約サイトがネイルサロン予約の宣伝に、タピオカミルクティーを背景としたネイルのイラストを使っていたことである。タピオカミルクティーだぞ???茶色の飲み物に黒い粒が入ってるだけだぞ???さすがに、キラキラネイルに茶色を背景とする黒玉模様は映えないだろ!っと、ツッコんでやりたくなった。それくらい、盲信的に、日本はタピオカで湧いていたのだ。

実を言うと、今回、タピオカが引き起こす虚無感について一人語りしようと思い、書き始めたところ、思いのほか、長く思い出に浸ってしまい、前置きが長くなってしまったので、今回はこれでお暇するとして、久しぶりに、タピオカドリンクのみたいなぁなんて思っていただけましたでしょうか?(笑)。かなり過去のものとしてタピオカについて書き連ねた気もしますが、ブームは過ぎ去ったとはいえ、ブーム以前よりは数多くのタピオカ店がまだ街に残っており、完全に風化したわけではなさそうです。では!またね!

私なんぞにご支援いただける方がこの地球上におりましたら、もう控えめに言ってあげみざわエクスプローションします。