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「白痴とは何ぞや」と思いながらドストエフスキーの「白痴」を読んでいます

いま、ドストエフスキーの「白痴」という小説を読んでいます。

「白痴」という題名に惹かれて4巻までAmazonで買ってしまいました。

今のところ名前と照らし合わせて筋書きを追うのが精一杯。
小説の深さを味わう所まで全然行き着きません、、話の流れはドタドタして面白いけど、みんな感情激しすぎる~(泣)
今までロシア文学を最後まで読めたことがないのです。今回は最後まで何とか行き着くかな。

なぜ苦手なロシア文学が読みたくなったかと言うと「白痴」という言葉が好きだから。私のお守り言葉なんです。


私が結婚したのは38年前、25歳のときでした。

3年間小学校教諭を勤めましたが、パニック障害になり(あの頃、パニック障害は知られてなくて病院に行っても異常無しで、ノイローゼになったと思っていました)、8年付き合った彼に「結婚したら治るかも」と言ったら「ノイローゼなんかにさせん」と言ってすぐに結婚してくれました。

ただし、お金も全然なくて彼のお家の二階に住まわせてもらいました。

離れにはお兄さん(独身ニート)、近くには嫁いだお姉さんが住んでいました(彼は三姉兄弟の末っ子)。

本家なので、回りに親戚も多く、今まで核家族でのほほんと過ごしてきた私は突然忙しい本家の嫁に。

朝は一番早くに起きて玄関から廊下まで雑巾で水拭き。夜はしまい湯に入るという博多の嫁の暮らしでした。
五人家族の三食の食事を作るため、一日中台所に立っていました(娘が生まれてからは六人家族)。

しかも、結婚してすぐに妊娠。
慣れない本家の嫁。
つわり。
お腹はどんどん大きくなる。
そして結婚して初めてわかったのですが、夫は仕事人間でした。

新婚でも夜の12時前に帰ることはなく(毎晩同僚と中洲で飲んで帰るのです)、私は寂しいと毛布にくるまって大きなお腹で玄関で待っていました。

義父が一度見かねて夫を客間に呼びつけて、
「たいがいにしときや」と言ってくれたことがありましたが、変わることはなく、、、何十年も夫が早く帰宅することはありませんでした(泣)

義父は「百点満点の嫁」と夫に言ったこともあるんですって。
義父母には本当に可愛がってもらいました。
バレエレッスンに行くことは出来なかったけど、毎週月曜日に義母が着物を着せてくれて日本舞踊を教えてくれました(完全に忘れてしまいましたが、、)
義母は日本舞踊を自宅で教えていたので、お稽古の日は畳を拭き上げ、お茶出しの用意をしました。

毎日考えないようにして、ただやるべきことを忙しくこなしていました(夫は毎日家でのんびりして幸せだね~と言ってましたね~)
けれど、だんだんお腹が大きくなり、パニック障害を抱えたまま、とても不安な気持ちに。そんな時に一冊の本に出会いました↓

妊娠中の私のバイブル

妊娠中、大切なのは、なるべくぼんやりしてのんびり過ごすこと。頭を使わないことと書いてありました(私の勝手な解釈かも)

ああ、これだわ。
私の生きる道はこれしかない(もともとボーッとしているし)と思いました。
妊娠中はこの本がバイブルに。

悩むのはやめよう。
考えるのもやめよう。
頭を真っ白にして白痴のように生きよう。
悩んだり考えたりしたら、またあの発作が起きて息が出来なくなり、お腹の赤ちゃんにも悪い影響が出るかもしれない。とにかく無事に出産したい。

私は「白痴戦略」と密かに命名し、とにかく、何にも考えないで、その日が無事に暮らせたらそれだけで幸せと考えるようにしました。
とにかく考えない。
考えそうになったら身体を動かす。
掃除をする。
頭を真っ白にする。

だから、「白痴」という言葉が好きなんですね。
他力本願というのかしら。
とにかく夫や回りの人にすべてお任せしました。
言われたことだけを一生懸命やりました。

パニック発作が出ることが何より恐ろしかった。
出産の時も、とにかく考えない。
赤ちゃんの笑顔だけを思い浮かべました。
難しいこと、悲しいこと、辛いことは、何にも考えない。

赤ちゃんが生まれてからも、全て夫や義父や義母の言うとおりに義実家の暮らしかたに合わせて暮らしました。

「あの頃のまりりんは、素直で本当に可愛かった。」とよく夫はいうけれど、「白痴戦略」だったんですのよん。

それだけが私が生き残れる道だったんですもの。

学生時代の友人には「全く自由がない暮らしね、、私は無理だわ」と言われたことがあるけど、私には自由よりパニック症状を出さずに娘と生きていくことが大切だったのです。

パニックを抱えながら、義父母と同居して子育てが出来たことは幸せでした。

そしていつの間にか、白痴戦略がそのまま私の地になっていったような、、ちょっとまずいかしら?

何も考えないまま、いつの間にか63歳になってしまいました。

「白痴とは何ぞや」と思いながら、いまドストエフスキーを読んでおります。


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