ローズメイカー 奇跡のバラ（2020）
天才ローズメイカーが育てたのは人との絆
バラ色に染まった美しくて、爽快なヒューマンドラマ
フランス郊外のバラ園を舞台に、人生につまずいた《はみ出し者》たちが再起をかけて、世界でたった一つのバラづくりに挑戦します――。
新緑がまぶしく、バラが美しく咲き誇る季節にぴったりの、明るく、爽やかなヒューマンドラマです。
【ストーリー】
フランス郊外で小さなバラ園を経営するエヴ（カトリーヌ・フロ）は新種の白バラを世界最高峰のバラコンクールに出品しますが、賞を逃してしまいます。
かつて数々の賞に輝く新種のバラを生み出し、“天才ローズメイカー”と呼ばれていたエヴは、巨大バラ企業ラマルゼル社の社長にバラづくりの腕を見込まれてスカウトされますが、亡き父が遺したバラ園を守るため、その申し出を断ります。
ところが、バラ園は破産寸前で、スタッフを雇うことができませんでした。
すると、ただ1人の従業員ヴェラ（オリヴィア・コート）はエヴに内緒で職業訓練所から3人の男女、前科者の若者フレッド（メラン・オメルタ）、移民で初老のサミール（ファツァー・ブヤメッド）、そして、異様に内気でコミュニケーションの取れないナデージュ（マリー・プショー）を雇い入れてしまいます。彼らは社会復帰を目指していることから格安で雇うことができたのです。
バラの知識はもちろん、就労経験さえおぼつかない3人でしたが、エヴはフレッドの“前科”の経験を活かした突飛な計画を思いつきます。
なんとラマルゼル社が独占している希少価値のバラをこっそりと持ち（盗み）出し、新種のバラを作り出して翌年のコンクールで優勝しようと考えたのです。
更生中のフレッドに“盗み”をさせてしまうエヴは、農園を守るためなら一歩も引かない頑固者。彼女に振り回されながらバラ園で働く3人と、エヴとの日常がコミカルに描かれます。
さまざまな品種のバラが咲き誇る農園の美しく、壮大な景色や、花の品種改良の過程など、花やガーデニング好きにはたまらないでしょうが、花に興味が無ければ、ちょっぴり地味に映るテーマかもしれません。
でも、“バラを育てる”という物語が伝えるのは、“人との絆を育む”ことの大切さ。一番、問題児のフレッドは実は両親から見捨てられており、そんなフレッドをエヴはさりげなく支え、立ち直るきっかけを与えます。
人との“繋がり”を説く物語は多いですが、繋がりを“育てる”というところまで踏み込んだ物語はあまり無いような気がします。
立ち直ったフレッドが美しいバラの花束とともに贈る心からのメッセージが胸を打ちます。
個性的なキャラクターたちともに、映画のもう一つの見どころである、色とりどりのバラはフランスの超一流のローズブランドが監修。フランスの大地に広がるバラ園の壮観な眺めに心が癒されます。
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