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旅行記#7 世界一幸福な国

二週間前にデンマークに行ってきました。


Nyhavnにて

ヨーロッパ滞在中に必ず行きたかった場所で、企業研修が終わってから帰国する前日までのわずかな時間に無理やり詰め込んで行くことができました。

旅の目的はいつもの通り、大学を見ることと日本人と会うこと。

デンマークは「世界一幸せな国」と言われています。
一体何をもって幸せな国なのか、外国人としてデンマークに住むことはどのくらいハードルが高いのか、是非この目で見てみたかったです。

今回は3人の日本人と会って、お話をすることができました。

1.デンマークでの働き方

話を聞いたのは、建築事務所でインターンをしている人、デザイナーをしている人です。
まず、給与体制はプロジェクトのフェーズごとではなく、時給換算になっています。日本のブラックな現場とは違い、「デンマーク人は」16時に仕事を切り上げて帰っていきます。どんなに仕事が残っていても、仕事と家庭(自分の時間)はまた別の時間軸で動いているので、仕事が私生活に介入することはありません。
一方で、移民はその後も仕事場に残ってやる場合もあるそうです。仕事が残っている状態で帰るのは気が引ける、という心理が働いて、結局最後まで残って仕事をしているのだそうです。

デンマークにはこれと言って一大産業もないのに、給与が高く働かなくていい仕組みが出来上がっていて、話を聞いた二人も長く疑問に思っているようでした。
もしかしたら、彼らにとってはいくら働いても低い給料しかもらえない日本の仕組みが理解できないのかもしれません。

2.デンマークの物価高すぎ

今まで行った中で極端に高いです。


これはコペンハーゲンで食べた朝ごはんなのですが、これで1500円します。
しかもそこまでおいしいわけでもなく、普通のパンとコーヒーです。
ヨーロッパで食べた中でも1,2を争う非常に高い朝ごはんとなりました。


これはLidlというヨーロッパでよく見る安いスーパーで見たパンコーナーです。
通貨であるデンマークコロナ(DKK)は大体20倍すれば日本円になるのですが、同じ商品でもスペインと比べると2倍くらいします。

自炊をするにしても安くはなく、家賃もびっくりするほど高く、暮らしていくにはある程度覚悟が必要です。日本円がどんどん消えていく・・・
その代わり、デンマークの給料も高いので(インターンでも日本の初任給くらいはもらえていました)デンマーク人にとっては何の不思議もないことです。

3.移民として暮らすには

デンマークは世界一幸せな国と言われていますが、それは「デンマーク人にとって」という枕詞を忘れてはいけません。
移民として暮らしたり、デンマーク人と結婚したりするハードルは高いのです。
例えば、デンマークで就労ビザを得るためには、会社が月収約70万円を与えるに値する人間であることを示さなければならない、デンマーク語の能力試験に受からなければならないとのこと。
デンマーク人と国際結婚をすれば簡単に暮らせるのではないかと思うかもしれませんが、国際結婚をするには、一定期間付き合っていることを示す資料が必要です。それには、旅行先で取ったセルフィーなども含まれるのだとか。

また、何度も繰り返していますが、どんなに英語が通じようが、現地語ができないとコミュニティの面で非常に苦労します。
オランダでも、北欧でも、スペインでも、それは変わりはありません。
考えてみれば当たり前のことですが、なぜか日本にいる時には想像もつかなかったことでした。

4.Christiana - ヒッピーのまち


最後に、コペンハーゲンにある「自治区」について紹介します。


こんな地域がコペンハーゲンになんて、と最初は信じられない光景でした。
Christianaと呼ばれる、強力な自治権をもつ地域です。

中に入ると強いマリファナの匂いで頭がくらくらしました。
目を奪われるほどの落書き、あちこちで見かけるドラッグの店、場所に似つかわしくない観光案内所など衝撃的な光景が広がっていました。

月曜の雨の降る朝、観光客は私一人だけ。
大きい派手なマリメッコの鞄をもって入るんじゃなかった、と後悔しました。

この地域は民主主義のモデルとも言われているほど、平和で民主的な地域です。自主的に地域のルールを決めつつも、厳しい規制もなく、住民にとっては楽園のような場所です。
銃声も聞こえないし、喧嘩も見ない。街の真ん中には何やらライブ会場のようなものが設置されていて、屋外で食事が楽しめるカフェもたくさんあります。
しかし、住民からは明らかに私を歓迎していない視線を感じました。怖くて目を合わせることはできなかった・・・

そして最後に見た衝撃的な門がこちら。

Christianaという地域がユートピアの象徴のように思わせるような門です。
住民にとっては、ここが聖域であり、誰にも介入させまい、外部勢力を入れない、という強い意志を感じさせられます。

ラトビアの首都リガに行った時も、住民と話したわけではないですが、ロシアには屈しないという力強い意志が街のあちらこちらから伝わってきたのを思い出しました。



デンマークには約600万人(兵庫県と同じくらいの人口)しか住んでおらず、街中で見る「白人」の割合が非常に高いです。
最近、政治状況が右傾化し、ますます移民に厳しくなり閉じた国になっていることが、デンマークが安定している理由の一つなのかもしれません。

デンマークには3日間居ただけでしたが、なぜデンマーク人にとって世界一幸せな国なのか直観的に理解することができました。そして、外国人にとってはデストピアになりうることも。

私はどの国にいるのが一番居心地がいいと感じるのか・・・
どんなに辛くても、文化が違っていても、日本以外で何とか暮らせるということは分かりました。しかし、言語に時間を費やして、仲の良い友達と離れて、いつまでも外国人として生き抜く必要があるのか、そこまで欧州は魅力的なのかと考えると、私の答えは今はNoです。


デンマークで話を聞いた人が、こんなことを言ってくれました。

欧州で得た知見や、良いなと思った視点は、果たして東京で本当に探すことはできないのか。

私は、東京にずっと暮らしていましたが、自分が受動的に触れたものだけで判断し、日本に落胆していました。

しかし、帰ってきてから改めて東京を眺めると、本当にこの都市は面白い。行きつくせない観光地、人の多さ、面白さ、アンテナを少し立てればあちこちに多様なイベントが溢れています。
人口3000万人を抱える東京圏に、欧州のようなマインドセットを持った人たちやコミュニティがないわけがありません。
一度は放しかけた自分の持っていたものを、また大切に見つめ直す時期が来たと思っています。

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