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わたしたちの台所はどこへ行くのだろう?〜シェアキッチン勉強会vol.6より

こんにちは!おやさい料理研究所の所長で栄養士のたかはしかよこです。

シェアするキッチンの立ち上げと研究も行っています。先日2月11日に国立のシェキッチン「おへそキッチン」さんで開催した「シェキッチン勉強会」について遅ればせながらのレポートです。

当日の資料は、SlideShareにアップ。
https://www.slideshare.net/pstynet/vol6-0190211

1. キッチンとはなんだろう?

キッチン(=台所)は、住居という生活空間にある物理的な空間であり、家族が生きるための栄養摂取としての機能をも現します。

かつてはここを取り仕切るのは家の中の「お母さん」もしくは「奥さん」という主婦が居てその人が家族みんなの「食生活」のマネジメントの役割を社会的暗黙の了解のもとに果たされてきていました。

2. お母さんはもういない=家族の多様化

しかし、女性の社会進出と共にこの30年間で着実に「外で働く女性」の増加とともにその役割が分散され始めています。また、単身世帯も着実な右肩上がり傾向を示しています。
※数値についてはSlideShareの資料ご参照ください。

また、まだまだ少ないものの、共助・シェアリングエコノミーの文脈でシェアハウス・コレクティブハウスなどあたらしい生活スタイルが少しずつ出現し始めています。

3. 外食の役割・家の食事の役割

かつては、外食は「家庭で身体が生きるために必要な栄養のバランスがとれた食事をしている」という前提のもとに「楽しみの食事」「とにかくお腹を満たすための食事」という位置づけでなんの問題もありませんでした。

しかし、近代においてはそのお母さんが果たしていた機能をアウトソースしないと回らなくなってきています。

4. 日常の食事がアウトソースされる時代へ

そこで、家で主婦が担っていた「日常の食事」が様々な形でのサービスが社会に求められてきています。

内食・中食・外食の市場規模は、外食率は2009年から下降し、中食率が内食を超えるようになりました。

最近ですと、食事作りの代行サービスも増えてきていますね。

5. 台所という「私(Private)」の機能が、共(Commn)、公(Public)へと重心が変わりはじめている

ここからは法制度の側面で、「公」は既存の飲食店や飲食販売でここは、保健所の許可を得て営業しています。

「共」にあたるのが、料理教室、こども食堂、コモンミール、ミールシェア、シェアキッチンで、ここは保健所の営業許可がグレイな領域になってきます。プライベートなキッチンの延長線上にあるのです。

6. 食品衛生法は「公」に向けた規制


食品衛生法の目的
「食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する危害の発生を防止し、よって国民の健康の保護に図る」

基本的に不特定第三者に飲食提供・販売をする場所とサービスが規制対象であり、国がその食品販売・流通の安全保障として施行している制度です。

なので、おうちでつくる食事は規制対象にならない。家単位で衛生に責任をもつ・管理するとしてきていました。

7. キッチンをシェアする

いま、私達が取り組んでいる「シェアキッチン」は、食品衛生法にのっとった衛生基準をクリアしたキッチンを複数人でシェアするという新しいモデルです。

このキッチンでつくられたお菓子は一般に販売が可能です。

通常の保健所が許可する対象は「一人の衛生管理責任者のもとで営業される飲食店もしくは、飲食物の製造設備」です。しかしシェキッチンはそれぞれシェアしている一人ひとりが個別に「サービス」を持っていて実質は、1箇所に複数の責任者がいることになります。これは、今まで保健所が想定してきていなかった形なのです。

8. 生きかた・はたらき方としてのシェアキッチン

少し前までは飲食店・飲食業を営むにはまず調理師や製菓衛生師の資格を学校で取得し、関連のお店で修行し、銀行から多額のお金を借りて自分のお店を持ち独立するというのが道でした。(小さなお店でも東京だと2000万くらいは必要)

いまとても興味深いのはインターネット・ソーシャルメディアの発達とともに「自分が作った食事・お菓子」を渡せる先が広く見え始めていて、料理が好きな人にとっては「自分が作った料理をお菓子を誰かに食べてもらいたい」という機運が非常に高まっています。今までは、そのアウトプットの先は家族や友人だけだった、のがです。

しかし、一般に販売するためには「飲食許可」「製造許可」を持ったキッチンでそれを行う必要がある、でも数千万も投資はできないよというところで出てきたのが「製造許可・営業許可を持ったキッチンをシェアする」=シェアキッチンです。

人生設計として資格をとって借金してという道のりではなく、お菓子つくるの楽しから誰かに喜んでもらえるのが嬉しいからと小さくスタートできる生きかた・働きかたの選択肢です。

9. 安心してキッチンをシェアできるルール作りを

飲食営業がなぜ保健所の規制を受けるのか?といえば、食は一つ間違えば人の生死に関わるからです。

家庭の外でキッチンをシェアは、許可のあるなしに関係なく安心・安全なキッチンの維持管理が実行され、第三者に保証できることが必要と私達は考えています。

・衛生管理 :食中毒・アレルギー事故を防ぐ
・安全管理 :オペレーション事故を防ぐ
・リスク管理:事故の想定と対処法

大手の事業者は、その事業継続のために衛生管理のための設備も制度も投資して整備しています。が、小商いとして小さく始めているシェアキッチン施設(こども食堂も含め)そこまで投資する余力はなかなか持てません。

このように存在として必要だけど、衛生管理の整備はまだまだこれからなキッチンがこれからどんどん増えていくであろうと私達は考え、それらの施設に対して持っている衛生管理のナレッジをシェアしながら、それぞれが安心で安全にキッチン運営ができるガイドラインを提示していきたいと考えています。

10. シェアキッチン協会の設立準備中・参加者募集中!

この活動は、任意のシェアキッチンのオーナー&関係者で集まって始めています。安全で安心なシェアキッチンの運営に興味がある方・利用している方・利用してみたい方はお声がけくださいませ。

今後、少しずつ活動の様子も報告していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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