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映画『ムーンライト』感想:映像美と余韻

ずっと観たかった『ムーンライト』をNetflixで観た。ずっと観たかったけど観なかったのは、重い空気感の漂う映画な気がしていたからだった。が、結論から言うと、観た後、じんわりと心に染み入るような、温かい気持ちになるような映画だった。私の好きな映画TOP10に入ると思うし、今後も、またいつか観たくなるだろうな、と思った。

ムーンライトのあらすじは以下の通り。

マイアミの貧困地域で、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校ではチビと呼ばれていじめられ、母親からは育児放棄されている彼は、何かと面倒を見てくれる麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、唯一の友人のケビンだけが心の支えだった。そんな中、シャロンは同性のケビンを好きになる。そのことを誰にも言わなかったが……。

映画の好きだったところは、まるでドキュメンタリーのようにリアルな映像と、詩的で繊細な描写。美しいシーン。登場人物の表情の絶妙さと会話の間。

特に、夜の海のシーンは好きだった。波の音がゆっくり静かに聞こえる中、明かりは月の光だけ。ロマンチックな描写だけど、ロマンチック過ぎず、平凡に、かつ、詩的だった。私自身がまるでその場にいるような気持ちになった。話の中の世界は、私にとっては、馴染みのない文化だったけど、映画全編を通して、傍観者というよりは、その中に入り込んでいるような感覚になったので不思議だった。なによりも主人公の心情に、とっても共感できた。主人公の人生と私の人生は大きく異なるとは思うけど、すべての人が共通に持っているような大事な感情が丁寧に描かれていたので、最初から最後まで彼に寄り添っているような気分で観ていた。ときどき、ため息をついたり、ときどき笑ったり、ときどき涙したり。

それから、映画の終わり方もとても興味深かった。私が今まで観た映画史上、最も想像していなかった終わり方だった。というよりも、「え?そこで終わるとは思わなかった…!え、それでどうなったの?」みたいな感じ。エンドロールが始まっても、信じられなくて一瞬巻き戻したくらいだった。でも、大げさではなく、感傷的になりすぎず、いい終わり方だったなぁ。なんとも余韻の残る映画でした。


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