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「自分の『怒り』と向き合う本」まとめ

最近、様々な局面で、「怒り」は難しい感情だな、と痛感しています。とても複雑で、怒りが激しいと人間関係や生活にも直接影響が出ることが多々あり、怒っている人も、怒りを受ける人も、苦労することが多いからです。自分のためにも、仕事のためにも、「怒り」について、整理していきたいと思っています。まずは、とても分かりやすかった「自分の『怒り』と向き合う本」をまとめます。

1.なぜ人は『怒り』を感じるか

怒りのきっかけは以下の通り。
●パーソナルゾーンや感情の境界線が侵された怒り
人と人との間には見えない境界線(パーソナルゾーン)がある。自分の境界線を他者が超えると不快感が生じ、怒りにつながる。

●セルフケアをしていないことで生じる怒り
セルフケアをしていないと、ストレスに圧倒され、苛ついてしまい、怒りが生じやすくなる

●誤ったプライドがもたらす怒り
過保護、過干渉で育てられてきた人は、誤ったプライド、自尊心、「特権意識」があり、周りからの自分の扱いについて不満を抱えてやすいことがある。

●喪失感による悲しみが怒りに変わる
誰かと別離したり、誰かを失った人は、悲しみを怒りに変えて生きていくしかないことがある。悲しみは生命力を奪っていくものだが、怒りはエネルギーがわいてくる感情である。ただし、喪失感による怒りには、周囲の理解が必要である。

●自分の気持ちを怒りで表現してしまうケース
自分の気持ちをうまく表現できないことが怒りにつながることもある。

●傷つけられた怒り、挫折感から来る怒り
怒りがある、ということは、何かに「傷ついている」ということ。怒っている人に対しては、どこかが、何かが傷ついたのだ、とその人を理解してあげることが必要である。挫折感も怒りに結び付くことがある。

2.抑圧された過去の怒りが“地雷化”する

●怒りの根源にある「生育歴」
「抑圧された過去の怒り」はけっこう多くの人が持っているものである。そのような過去の怒り、傷つき等で解決していない問題のことを「未完の仕事」と呼ぶ。抑圧された過去の怒りが多ければ多いほど、「未完の仕事を抱えている」と言える。下記の例えがとても分かりやすかった。

【未完の仕事と現在の怒りの関係についての例え】
混んでいるエレベータへ乗り込んだ時にブザーが鳴ったらどうするか。または、自分はもうエレベータに乗っていて、あとから来た人が乗ったらブザーが鳴ったとする。その時どのように思うか。最後に乗った人が下りるべきだ、と思うのではないだろうか。
でも、ブザーがなったのは、最後にエレベータに乗った人のせいではない。それは単なる「きっかけ」にすぎない。
人の「未完の仕事」も、このエレベータにすでに乗っている人たちのようなものである。エレベータは許容量が決まっていて、それを超えてしまったらブザーが鳴る。最後の人が下りればブザーは止まるが、最後の人でなくて、別の人が降りてもよいはずだ。

つまり、未完の仕事で感情の容量がすでにいっぱいになっているところに、何かが起こると、すぐ激怒につながるかもしれない。そして、その出来事が、その強い怒りを引き起こしている原因と思うだろう。でも、それは単なるきっかけにすぎない。もし、「未完の仕事」を少しでも消化していたら、何かが起こっても、激怒には至らないだろう。

●怒りの地雷を多く抱えている人の生きづらさ
怒りの爆発の元となる「未完の仕事」は「地雷」のようなものである。怒りを抑え込んでためていくと、いくつもの地雷が埋め込まれ、爆発しやすくなる。1個や2個の地雷なら、注意して避けて通ればなんとかなるが、たくさん地雷を抱えている人は、ほんのささいなことでも頭にくる。

3.怒りの連鎖

地雷(未完の仕事)をいくつも抱えている人は、地雷を踏まれるたびに、傷つけられた時代に戻ってしまう。そのため、過去に戻ったかのように幼稚な行動(退行)をとってしまうこともある。退行を確認するサインは以下のとおりである。
・状況よりもはるかに大きい反応をする
・実際の本人の年齢よりずっと若く感じられる
もし自分が退行していると感じたら、すぐに立ち止まり、以下を行う。

1. 何が起きているかを述べ、いまここでそのことについてどう感じているか行ってみる
2. 現在起きている出来事は、自分の過去のどんな出来事を思い出させるか確認する
3. 「その時言いたくても言えなかったことは何か」確認する
4. 「その人になんて言ってほしかったか?」「どうすればよかったか」自分に尋ねてみる
5. 「今はどんな気分か」「過去のその人に何かまだ言う必要があるか」自分に尋ねてみる
6. 「この感情を引き起こした人に、何か言ったり、聞いておいたりする必要はあるか」自分に尋ねてみる

4.怒りとの付き合い方

怒り自体を感じたり、怒ることはまったく間違いではない。ただ、その表現を上手くしないと、その人自身が損をすることになる。

●責任をもって自分の怒りを感じ、それを表現する
怒りに無責任なのはよくない。自分の怒りを理解し、それを率直に、責任感を持って表現することは、自分自身を大切にすることになる。
一方、激怒はほんとうの感情ではない。激怒は怒りの感情に対処するための“不健康な行動”である。激怒すると、本来の怒りや状況を感じるのをシャットアウトしてしまう。激怒はパワフルだが、人をコントロールしてしまう虐待的な行動である。激怒は、他者を自分の思い通りにすることができるが、他者を傷つけ、自分の真の問題にも対処していないことになる。



本書には、後半部分で、自分の感情を確認し、上手く表現するためのエクササイズがいくつか載っています。ここにはまとめませんが、気になる方はぜひ本を購入してみてください。明日から使えそうなテクニックも多く載っていて、さくっと読めて、怒りに対する理解も深まる良い本でした。



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