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一対一だけでなく、市民に向けた健康増進活動へ〜民間から行政&地方から都市部で働く神奈川県藤沢市の保健師〜

神奈川県藤沢市で保健師として働き、教育担当の先輩・教育を受ける後輩の関係性でもあった田中さんと神之浦さんに、働くことになったきっかけや、働く環境・保健師としての経験ややりがいなどをお伺いしました。

—まずはお二人のご経歴やご経験を簡単にご紹介ください。

田中:私は新卒で、大学病院に看護師として9年ほど勤めていまして、その後結婚を機に夫の地元である藤沢に引っ越して市内の病院で3年間働いていました。そこから保健師になって、今6年目です。

神之浦さんが入庁した当時は健康づくり課の成人保健担当の中で神之浦さんのOJTを担当していまして、今年度から健康づくり課の母子保健を担当しています。

神之浦:私は大学院卒業後に新卒で入ってそのまま保健師をしております。地元は長崎で、大学は兵庫です。

祖母が保健師をしていたこともあって、保健師がわりと身近な職業であったのと、病院に通院する前の予防医療に関わる機会があるというのに魅力を感じて保健師を志望しました。

最初は健康づくり課で田中さんに指導していただき、入庁した年の9月からはコロナ担当として保健予防課に在籍し、今年度からまた健康づくり課の母子保健の担当をしています。

—田中さんはなぜ看護師から保健師にキャリアチェンジされたのですか?

田中:看護師の仕事自体にもやりがいを感じていたのですが、子供も生まれて家庭との両立という面を考え保健師となりました。

夜勤があったり休みが少なかったりして看護師だと良い職場がないなと思い、土日が休みで働きやすいところを探している中で藤沢市の保健師の試験を受けた形です。

—神之浦さんはなぜ地元・長崎や大学から離れた藤沢市の保健師として働こうと思われたのですか?

神之浦:単純に地元が田舎だったので(笑)。都会に出たいという気持ちが強かったです。

関東圏で受験したのは藤沢市のみだったのですが、大学2年生のときに藤沢近隣の病院に見学をしたことがきっかけです。その時に「藤沢、結構いいところかも」と思って。

関西とはまた違う時間の流れ方をしていて、ゆったりした安心感が自分に合っているなと感じました。

—では、お仕事についてお話いたします。神之浦さんが新卒で入庁されたとき、田中さんがOJT(教育)担当を務められていたんですよね。どういった仕事だったのですか?

田中:我々は、健康づくり課で成人保健を担当していました。保健師が6人在籍しており、私が教育担当です。

成人保健の仕事はウォーキング教室や藤沢市オリジナルの体操、講習会の開催など、健康増進を中心に業務を行っています。電話での相談や来所での相談はありますが、訪問して保健指導をすることは殆どないんです。

あとは健康づくりサポーターと呼ばれるボランティアさんたちの養成講座や、その方達が市のイベントで活動してもらう際のサポートをしています。

講習会等は業務委託をしているので、直接私たちが運営しているものは少ないんですが、委託の管理や企画の部分で調整をするので、通常の保健師とはまたちょっと違った仕事内容かもしれません。

神之浦:そうですね。学生時代の実習等では委託の部分は触れてなかったので、「こういった仕事もあるんだ!」と驚きました。

田中:逆に直営だとたくさんの講習会を主催することは難しいので、業務委託で講習会を実施しているのは藤沢市ならではかもしれません。また、成人保健分野とは言っていますが、講習は平日に行うことが多く、高齢者の方がメインで来られるので高齢者支援課とも連携しています。

—教育の手法はどういった形なのですか?

神之浦:基本的には田中さんが担当されている仕事に一緒に入り、どういう仕事をしているのかというところを見させてもらっていました。

田中:基本的に初めての現場では見学をしてもらい、2回目は新人さんにメインでやってもらってフォローしながら進めていく感じです。ただ講習や教室も年に何回もやるような仕事でもないので、そのあたりは難しいなと思っています。

神之浦:わからないところも多かったのですが、その度に田中さんが助けてくださって、そのおかげであまり大きな失敗もなかったのではないかなと。

田中:本当は隣の席でフォローをしたかったんですけど、業務の関係で席が隣になれず、斜め向かいだったんですね(笑)。

なので、神之浦さんの隣にはOJTをフォローしてくれる監督官の先輩にいてもらって、細かなことを教えてもらいながら3人体制で業務を行っていました。

ー市としての教育方針もあるのですか?

田中:市の保健師としての人材育成の指針や活動目標があり、目標達成に向けた行動計画等もあるので、それに基づいての振り返りをチェックシートで行っていきます。

コロナ禍のときはバタバタしてしまうこともありましたが、自己評価でチェックしてもらいつつ中間評価や面談なども行っていきます。

—働く環境についてはいかがでしょう?

神之浦:残業は日によりますね。緊急で訪問が入るケースもあるので、その対応で多少残ることはあります。

田中:私の場合は子供が小学生でお迎えがあるので、「この仕事は絶対今日終わらせないといけない」というものは終わらせますが、基本的には定時で帰宅しています。

休日は土日祝ですが、担当している業務によっては年に数回休日出勤があります。

神之浦:有給も取れています。北保健センターは保健師が7名しかいないので、他の保健師さんの予定も伺いつつ自分が有給を取得したい日があれば相談するという感じです。

—田中さんはこれまで大学病院や民間の病院で看護師としてのご経験もありますが、行政と民間で働く環境に大きな違いはありますか?

田中:事務仕事や書類仕事が多くなったことが大きな違いでしょうか。病院は、カルテと看護サマリー程度で、公務員になって起案文書を作ったり、伝票を切る仕事には最初はわからないことが多く戸惑いました。

あとは、職場でも藤沢出身・在住の人が多いように思います。中には神之浦さんのように遠いところから来る方もいますが、ほとんどは地元出身者ですね。

ただ大きい市ではあるので、あまり人間関係に窮屈さのようなものや働きづらさのようなものは感じません。

—藤沢市で働く良さややりがいはどこにあると感じますか?

田中:成人保健の担当の時に、健康政策に関わる事業で民間企業の方と一緒に「ふじさわ歩くプロジェクト」というのをはじめたのですが、そういった市民向けに大きなプロジェクトを行えるのが行政で働く醍醐味かなと。

一対一の活動だけでなく、対市民に向けて健康増進を図れるのが保健師ならではだと思います。

病院に勤めていると、病院の「中」にいることが多いので、そうではなく地域から「外」に向けて発信できるというのは良いことだと思います。

神之浦:私はもともと母子保健に興味があったので、今希望の部署で働けているのを嬉しく思います。今働く中での醍醐味は、お子さんの成長をママさんと一緒に見守ることができることでしょうか。

また、相談を受ける保護者の方から「神之浦さんに相談できてよかった」と言っていただけることを嬉しく感じます。

田中:まさに昨年の2月に「伴走型支援」というのが始まったんですね。妊娠中から保健師が関わることで、妊娠出産の支援を行うというものです。

出産子育て応援金などの補助金や、制度が新しくなったこともあって健康づくり課でも新しい業務が増えています。

—神之浦さんにお伺いします。藤沢市の保健師として、今後さらにどのような形で業務に携わりたいなど展望はありますか?

神之浦:今関わらせてもらっているママさんたちがしんどくなったときなどに、気軽に相談してもらえるような保健師になっていけたらなと思っています。

母子相談自体は今持っているケースだけで100名いらっしゃって、地区によって差はあるんですけど、今まさに関わりを持っている方は10名以上いらっしゃいますね。

—藤沢市での暮らしはいかがですか?

神之浦:これまでずっと関西に住んでいたので、関東の人は「冷たい」「怖い」というイメージがあったのですが(笑)。「無理やったら関西帰ろう」という気持ちでいたのですが、地元の人も温かく今の所帰らずに済んでいます。

都会すぎず田舎すぎず、湘南台もいろいろな電車が停まるので出かけることもできています。

田中:駅から徒歩圏内に畑があったり、のどかな風景が広がっていたりするので子育てするにも過ごしやすいですね。神之浦さんが言っていたように交通アクセスも良いですし。

—最後に、今後藤沢市の保健師に求める人材についてイメージがあればお願いします。

田中:公務員であることが苦にならない方ですかね。保健師の仕事だけでなく、公務員としての事務作業もあるので、人と直接関わることに対して柔軟性を持てる方が良いのかなと。

神之浦:そうですね。保健師として相談を受ける立場としては、相談してくださる方や対象の方に先入観を持たず対応できることは重要ではないかなと思います。

田中:藤沢市の保健師は年齢層が幅広く、新卒で入られる方もいれば看護師など色々な経験を積んでから保健師として入庁される方もたくさんいます。今までの経験も活かしながらお仕事ができる環境ですので、ぜひ興味とやる気がある方がいれば一緒に働けたらと思います。

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年4月5日にパブリックコネクトに掲載された記事です。
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