見出し画像

地方公務員アワード2023受賞者に聞く、自分の描いたキャリアと「こうしたい」を実現するための心構えやこだわり

2013年に福井県坂井市に入庁し、2017年『ふるさとチョイスアワード2017優秀賞』受賞、2020年『ふるさとチョイスアワード2020チョイス職員大賞』受賞、『ふるさと納税自治体連合表彰』受賞、さらに2023年には『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2023すごい!地方公務員賞』を受賞するなど、数々の受賞歴を持つ⼩⽟悠太郎(こだまゆうたろう)さん。

今回のインタビューでは、小玉さんにこれまでの仕事の変遷やこだわり、さらにキャリアや働き方についてお話を伺いました。

—はじめに、これまでの経歴を簡単にご紹介ください。

小玉:福井県坂井市三国町出身の33歳です。2013年に坂井市役所に入庁して、現在12年目になります。

坂井市役所では、ふるさと納税を担当している企画政策課ふるさと納税推進室と、インナーブランディングや市の公式キャラクターを担当している移住定住推進課の2つの課に所属しています。

—2つの課に所属しているのは珍しいですね。

小玉:坂井市役所でも珍しいです。そのような柔軟な人事をしてくれた人事部局には感謝していますし、非常に高いモチベーションで働けています。

—もともと公務員志望だったのでしょうか。

小玉:元々、市の職員を強く志望していたわけではありません。なので正直に言いますと、入庁する前は、特に公務員としてやりたいこともありませんでした。入庁する前から志を持っていなくても、職員として働きながら気づくこともできるというのが私の考えです。

大学時代、なんとなく公務員を目指している私に対し、私の性格をよく知る友人からは「公務員っぽくない」と言われていました。その言葉に対して、逆に「公務員っぽい人だけが公務員になったら面白くない」「公務員っぽくない人も組織にいた方がよいだろう」と思い公務員への志望を強くしました。

—入庁後の経歴を教えてください。

小玉:現在の業務に携わる前、入庁最初の3年間は、財務部課税課で国⺠健康保険税、個⼈住⺠税などの税金に関する業務に携わっていました。4年目からふるさと納税を担当する課に異動し9年連続してふるさと納税を担当しています。移住定住推進課を兼務しているのは2023年度からです。

—ふるさと納税推進室での成果としては、単年ベースでの納税額が300万円から16億円まで拡大したという非常に素晴らしい実績がありますよね。

小玉:単に寄附額が増えたというのもありがたい話なのですが、その結果として寄附金を活用する形での市民が提案した事業を、70以上実現できたことこそ成果だと考えています。

もともと、ふるさと納税が始まった平成20年に、市民が使い道を提案し、クラウドファンディングのような形で寄附を募って事業を実行するという取り組みを坂井市が始めました。これは全国で唯一、坂井市が取り組んでいる制度です。

その後、平成28年から私がふるさと納税を担当するようになりますが、その時点では返礼品を導入していなかったが故に寄附が集まらないという現状がありました。坂井市としては、使い道で共感いただいて寄附をいただくというスタンスだったので、返礼品は不要と考えていたのです。

せっかく市民が提案してくださったのに、その事業が実行できないのは本末転倒だと思い、使い道だけでなく同時に地方の魅力ある食べ物や工芸品などを返礼品として、PRしていく方針を提案しました。

—長年維持していた方針を変えるのは大変ですよね。どのように実現できたのですか?

小玉:職場環境の力が大きいと思います。

私の経験上、坂井市役所では、新しい提案に対して頭ごなしに否定されたことがないんですね。その施策を実現するためには何をしたらよいか、というプラスの方向で皆で事業の改革を行っていくことが非常に多いです。

もちろん全て実現はできないですが、想いをもって提案すれば、上司の理解は得られやすい環境だと思います。できない理由を出すのでなく、提案を推し進めて合意形成を得るために、いつでも協力してくれています。

これは、市の規模感も影響しているとも思います。人口が8.8万人、職員数が800人ほどであり、小さ過ぎず大き過ぎることなく、新たなことを始めやすい。

—新しい事業を始めていくうえで、心がけていることはあるのですか?

小玉:市役所に入庁した最初の上司で、今も一緒に事業を進めている上司から、「考えは1枚の企画書にまとめる」と指導いただき、今も必ず実行しています。

企画書にまとめることは、自分の考えを整理し言語化し、施策の背景・目的・ターゲットなどをすべてまとめていく作業です。それ自体が企画を考え深めていく業務であり、できた企画書はそのまま上司や周囲の方々に提案することができます。

あくまで企画書はたたき台なので、それをもとに上司や他職員と一緒にさらにブラッシュアップすることができます。そうして施策を進める習慣を最初に教えてもらえたのは大きいですね。

そうやって、自分で考えて提案してはじめていく事業は、熱量も高くなると思うんです。自ら企画して進めていける職員が、もっと増えていくとよいと思っています。

—実際に自ら企画する方や新しいことを始める職員は増えていったのですか。

小玉:兼任しているインナーブランディングの事業は、立ち上げた時に「若手職員による政策提案制度」という枠組みの中でチームメンバーを募集したのですが、5人集まった内、新入職員が3人も立候補してくれました。自ら何かをやりたいと言ってくれる職員とプロジェクトをすすめることができたのは嬉しかったです。

「若手職員による政策提案制度」では、その職員たちも、週4時間以内という形でプロジェクトに業務時間を割き、所属課業務と兼任して業務を進めていけるようになります。

例えば保育課や、上下水道課など、全然違う課に所属していても、全く違う考え方に触れて業務に臨めるのは非常に良い成長の機会だと思います。

—今後の展望について教えてください。

小玉:最近は、「坂井ほや丸」という坂井市の公式キャラクターの立ち上げを担当しました。キャラクターは、住民や関係人口とのコミュニケーションツールであり、かつ情報発信ツールでもあるので、すべての施策と結び付けることができます。                    

情報を拡散して認知してもらうことは非常に大事で、まずは話を聴いてもらうきっかけとなるツールとして運用しています。今後は、その部分を育てていきながら影響力を高めていきたいです。それによって、既存業務や新規業務の事業効果を増幅できると思っています。

—一般的に公務員のキャリアは異動ありきですが、小玉さんご自身は今後のキャリアをどのように見据えているでしょうか。

小玉:異動の可能性は当然あります。公務員なので、来年からは、全く畑違いの担当になる可能性だってあります。

ただ、配属についての希望を出すタイミングがあるので、私は別紙をつけるくらいの文量で、びっしりと自身のキャリア希望を書いています。

自分がどのようなキャリアを描き、いま何をすべきで次にどのような展望があるのか、その結果として市役所にどのような成果をもたらすことができるのか、それを主体的に伝えることは大事なことだと考えています。自分の想いを組織に伝えるチャンスに何も伝えないのはもったいないです。

ただ、それでも想定していない課に異動になったらそれはその時に考えますね。

—最後に、坂井市役所のアピールポイントはどんなところでしょうか。

小玉:都市部から地方に目が向けられる機会が増え、まちづくりに関わりたいという方が近年増えていると思いますが、それを達成する上で公務員は最強だと思っています。公務員はまちづくりに没頭できる一方で、民間ではどうしてもマネタイズ(収益化)を考えなければならないからです。

公務員だからこそできることが山ほどあるので、まちに関わって何かしたいという若者の選択肢として当たり前のように公務員があってほしいです。

また、坂井市には、主体的な思いを行動に移せるような組織基盤や制度があるので、まちづくりに生き生きと関わることができると思います。

ふるさと納税の担当として外部と接触する機会が多くなった時に気付いたのですが、市役所職員には絶対的な信頼感があります。当然、その信頼を損ねないような働きをしないといけませんが、信頼感を存分に活用してどんどん地域に出ていくことをオススメします。

やりがいも出てくると思いますし、見えてなかった景色が見えるようになりますよ!

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年5月2日にパブリックコネクトに掲載された記事です。
坂井市役所の採用情報はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?