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お花との生活=幸せ

両親の共通の趣味は植物かというほど、植物好きの両親の元に生まれた私は、小さな頃からお花に囲まれて育った。家の中を歩けば玄関からリビング、トイレ、洗面所、至る所に四季折々のお花が飾ってあったものだ。母の影響で小原流の生花を10年学んだのだが、剣山も花器も鋏も持ってきていないので、ロンドンに住んでからは生花こそしないが、母然り、家の中にお花を飾るのがとにかく好きである。

先日近所を歩いていると、夫がたまに買ってくるお花の出店の前を通った。比較的割高なので私はそこでお花を買ったことがない。しかし目の前を歩いているとちょっと寂れかけたアネモネが目にとまった。お花屋さんは常連のお客さんと思える年輩の女性と長々と話をしている。しかし、私はアネモネから目が離れない。会話を終えた店主が私のところに来てくれたので

「このアネモネ、ちょっと古そうだけど1束ください。」と伝えた。すると、
「これ自分用?それならはい、これ全部持って行って!」と店主は3束紙に包んで私にくれた。
「え?お代は?」
「この子たち3日経ってるんだけど、たっぷりのお水とたくさんの愛を与えたら全然長持ちするから!必要なのは愛情、気にかけてあげることなんだ。全部あげるよ、プレゼント!」
と言って、全部私にくれた。
火曜日の朝の11時、綺麗なアネモネの花束を手にとても嬉しい朝となったのは言うまでもない。

私はきっとお花屋さんに通う回数が人より多いせいもあるのかもしれないが、たまにこんなお花絡みの幸福が舞い降りてくる。

まだまだグレイであと2ヶ月は気温も上がらないロンドンだけど、コモンを歩けば紫や黄色のクロッカスを目にするようになった。水仙も顔を出し始めた。小鳥のさえずりも聞こえる。春は確実に近づいている。



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