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日本のエンタメは絶滅危惧種なのかもしれない。の巻

ぷらすです。

「誰も知らない」(2004年)「そして父になる」(2013年)「海街diary」(2015年)などで知られる是枝裕和監督の最新作『万引き家族』で日本映画としては21年ぶりにカンヌ映画祭のパルムドールを受賞されたそうです。

そんな是枝監督2016年のこんなインタビュー記事がTwitterに上がってたんですよ。

読んでみると「ホントその通り」って思うし、この記事では日本映画の問題として語られてるけど、内容的には日本のエンターテイメント業界全てに通じる大事な話だと思ったんですね。

観客が「閉じて」いる?

近年アニメ業界のブラック具合が何度も話題になりますが、映画関係者が食えないという話も以前から聞こえていたし、それはマンガ家や小説家などクリエイター全員に言えることで、特に2000年以降はクリエイターを安く買い叩く傾向が強くなってると感じます。

とは言え、作り手の内情は外野である素人の僕に語れることなんてないんですが、一観客として言わせてもらえば、エンターテイメントに対して観客側がどんどん閉じてるように感じるんですよね。

例えば僕の地元だと、タランティーノの「ヘイトフル・エイト」や、デル・トロの「クリムゾン・ピーク」が東京での公開から2ヶ月後遅れ、しかも2週案くらいの期間限定での公開だったし、チャウ・シンチーの新作なんか公開すらされません。

じゃぁ、その時に地元シネコンで何が上映されてるかと言えば、テレビアニメの劇場版だったり、少女漫画原作のラブコメ実写映画ですよ。

映画ランキングだって、スピルバーグの新作やハリウッドの超大作や話題作を抑えて、「劇場版名探偵コナン」や「STAND BY ME ドラえもん」が1位だったりね。

それらの作品が全部悪いという話ではない(というか観てないので分からない)し、ファミリー向けのアニメ映画は子供を連れた親が行くから必然的に興行収入が上がるという仕組みも分かります。

ただ、劇場に足を運ぶときに、世界中で話題になっている作品より、半年もすればテレビで放映される日本映画をチョイスするのって、映画に対して「自分の知らなかった世界」じゃなくて、「よく知っている作品の続き」を求めてる部分もあるのかなと思ったり。

精神的鎖国

3.11以降の一時期、外国人に日本の良さを褒めさせるテレビ番組が増えてますよね。
それって3.11と原発事故や、不景気からのリストラだの就職不況だの重労働低賃金、将来への不安など。
そうした諸々の不安からアイデンティティーが揺らいだ日本人が、海外の人に褒めてもらって「やっぱり日本は最高!」って安心したいマインドから生まれた番組で、そのマインドがエンターテイメントのチョイスにも反映してるんじゃないかと。

だから、マンガやアニメで(暴力・エロ・欝展開など)自分を不安にさせるものは尤もらしい理由をつけて叩くし、知らない役者、知らない言葉、文化圏が違う、どんな内容か分からない洋画より、安心して観られる「よく知ってるマンガやアニメの続き」的な映画を(無意識に)チョイスしちゃう部分もあるんじゃないかと思うんですね。
で、「やっぱり日本はいいわー」と安心する、精神的鎖国状態っていうか。
しかも、日本の場合、国内マーケットだけで投資を回収できるから、安い資金で低リスクな(日本の)観客が求めるものばかりが作られていくわけです。

もちろん近年の日本映画にも良い映画はたくさんあるし、マンガやアニメ原作の作品にだって海外の作品に負けないくらい素晴らしい作品もありますよ。(僕が知らないだけでコナンやドラえもんだって素晴らしいかもだし)

でも、日本の映画だけ観ててもその真価は分からないし、世界と比較しないで「日本が一番!」は、ちょっと違うんじゃない? と。

作家と観客は双方向

翻って、そのマインドが蔓延すると日本のエンターテイメントでもオリジナルや作家性の強い作品は作られなくなり、確実に利益が見込める過去作の焼き直しや、一定のニーズが見込める他ジャンルとのメディアミクス作品ばかりになり、それを観て育った次の世代がそれらの作品の上澄みだけを真似た劣化コピーを作り、それを観た次の世代が……という負の連鎖によって、才能あるクリエイターが実力を発揮できる場はどんどん減って、このままではやがて日本のエンターテイメントが死んでしまうのではないかと思うのです。

観客を育てるのは作家であり、作家を育てるのは観客であり、エンターテイメントは作家と観客の双方向関係によって発展していくわけで、僕は観客側として日本・海外問わず「面白い作品」を正しく評価出来る目を持ちたいし、他の人たちもそうであってくれたら嬉しいと思うんですよね。

長々書いてきましたけど、結局何が言いたいかといえば、「邦画も良いけど洋画もね」っていう事ですw

「でも、どの映画が面白いのか分からないし……」というあなたのために、このマガジンのリンクを張っておきますよー!(ステマ)

ではではー(´∀`)ノ



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