「クリスマス・キャロル〈角川文庫〉」(著:チャールズ・ディケンズ、訳:越前敏弥)

あらすじ

 初老の商人スクルージは冷酷で守銭奴です。スクルージにとってクリスマスは得にならない不快な日でした。クリスマスイブは〈スクルージ&マーリー〉商会の共同経営者だったマーリーが死んだ日です。そんな日に7年前に死んだマーリーが幽霊になって現れました。

 マーリーは生前の罪によって鎖につながれ、死後は悲惨なものだとスクルージに伝えます。スクルージが自分と同じ運命を辿らないように機会を手に入れてくれたようです。これから3人の精霊が訪れることを伝えてくれます。

 マーリーが言ったとおりに過去、現在、未来の3人の精霊がスクルージのもとを訪れます。精霊によって不思議な経験をします。スクルージの子供の頃、マーリーが死んだ時期、自分が死後などの光景を見ることになります。

 不思議な経験によって人生観が変わったスクルージは精力的に善行を行うようになります。人が変わったようなスクルージを笑う人もいましたが本人は気にしませんでした。やがて誰よりもクリスマスの正しい祝い方を知っている人物と言われるようになりました。

感想

 〈スクルージ&マーリー〉商会の名前を変えなかったことが気になりました。私はスクルージがマーリーと経営していたことを大事にしていると思いました。マーリーの幽霊が現れたときにも恐怖で平静を保つためとはいえ砕けた口調になっています。マーリーとは友人として関係性も良かったように思います。心がないのではなくて過去に何かがあったのだろうという印象でした。

 人が変わったように善行を行うスクルージが、笑われることを受け入れながら行動を続ける所は少し守銭奴の頃と重なっている気がしてクスリとしました。


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