見出し画像

映画『シド・バレット「ひとりぼっちの狂気」』を観て

5月7日に映画『シド・バレット「ひとりぼっちの狂気」』の先行上映に行って来ました。

今回はその映画を観てからの、Syd Barrettについて、当日あったトークショウについても書こうと思います。

【予告編】映画『シド・バレット独りぼっちの狂気』5.17(金)公開


Syd BarrettというとPink Floydの創設メンバーで、その後のPink Floydや、音楽シーンに多大な影響を与えた人物です。

音楽活動は短い期間で、ミステリアスな存在だけでなく、「ルックスがよく、ギターも弾けて、歌う。ファッションもオシャレで、インテリで、ちゃめっ気がある」など、才能にも恵まれ若くして成功した超人だからではないでしょうか。

本名はロジャー・キース・バレット、1946年1月6日ケンブリッジ生まれ、長らく開業医の息子と言われていましたが、病理学者の息子と映画で知りました。

芸術に理解ある家族からロジャーは絵画を描いたり、仲間と音楽を聞いたり、普通だけどちょっと尖った青年期を送ります。今回の映画を誰に観て欲しいということに、実妹であるローズマリーさんが映画内で「若い方に見てほしい」語っていましたが、確かにロジャーの青年期は今の若者でも共感できる空気感を持っています。


私がSyd Barrettに興味を持ったのはまだ私が小学生の頃で、Sydは既に引退状態でしたが、色々な記事からユニークな人物であり、風変わりではあるものの魅力的な人物であることを知ります。

そこでアルバムを買いに行くのですが、Floydの1stは廃盤でSydの作品はどこにもありませんでした。お店の人にも、周囲の大人に聞いても、全くそれらはわかりません。

最終的にソロ時代の2枚をカップリングした『The Madcap Laughs & Barrett(邦題:何人をも近づけぬ男)』を取り寄せで購入するしかありませんでした。解説文を読んでも意味不明な箇所も多くあり、また聴いても恐ろしいと思う曲(「Maisie」)もありました。

しばらくすると雑誌でSydの未発表の音源がリリースされるという記事を見ますが、それ以降、全く、この件を忘れます。

時代は流れ、80年代の終わりにあるアルバムがリリースされます。

Opel(オペル〜ザ・ベスト・コレクション・オブ・シド・バレット』という、タイトルが編集盤に見えますが、未発表曲の「Opel」も収録されていました。

4人はアイドル


映画では実妹のローズマリーさんやSydの友人らが協力したこともあり、デビュー前までの詳細は今まで色々な文献を読んでもわからない内容がより「若者」Sydを浮き彫りにしたという感じがしました。

特に絵画について、あまり見たことがなかったSydの作品が見れます。赤や青の抽象画はサイズの大きいもので、彼の父の理解がなければ10代で大きい作品を制作する資金やスペースを家庭で得る事はそうないと感じました。

友人らの多くも裕福な家庭でハイクラスな人物が多く出てきます。「ミドルクラス」についてトークショウでピーターバラカン氏が「言葉が違う」と「英語のそれなりの階級の人達ばかり」と夢中で語っていました。

ピーターさんは日本に来る前には英国にいましたが、さすがにUFOクラブには通ったことがないと、ただ当時のFloyd人気やサイケデリックについてのリアルな体感を話されていたことはとても面白く聞かせていただきました。

現存する映像が少ないのは当然ですが、それでも綺麗で鮮明な映像が残っているのも、彼らが裕福な家庭の子供達であったことがわかります。

ピーターさんが一番気にしていたのが「登場人物が多い」ということです。確かに多くの友人が登場し証言するようなドキュメンタリーですが、Sydの"彼女"だった人も3人ほど登場します。

その他の登場人物として、洋楽ロック好きの者が見て、気づくのは「70年代を撮った男」写真家のMick Rock。MickSyd Barrettの1stソロアルバムのジャケットの写真を撮影しました。

Mickは2021年に72歳で亡くなれていますが、映画では本人がインタビューに答え、よくDavid Bowieを撮ったように言われるが自分は最初はSydなんだと、Syd Barrettから始まったキャリアを誇らしく語ります。

またThe WhoPete Townshendは、Eric Claptonと一緒にSydを観にUFOクラブ行った事を語っています。

そしてSyd本人をどこでどうしてと言う話もなく登場するBlurGraham Coxon、そしてAt The Drive-In・The Mars VoltaCedricが登場します。


SydはFloyd脱退の後、ソロアルバムも2枚ほど、ライブを少し行います。このStarsと言うバンドはPink Fairiesのメンバー(TwinkJack Monck)で結成されました。演奏はわずか30分ほど。その後、Sydはステージに2度と戻ってくることはなったとされています。

この後、John Leckieと11曲レコーディングをしたとありまして、これ本日になって気づきました。まだ以下のインタビューも聞いてませんので、この件は後日、記事にします。

John Leckie Part 2: Working with Syd Barrett, Radiohead, and Pink Floyd


その一方、Pink Floydはいくつかの修正をしがら、活動を進めます。またFloydはこの頃、1972年に日本の箱根アフロディーテに出演します。

映画では全く「日本」と言う国は出てきませんが、Floydのデビュー曲「Arnold Layne」のMVで着ていた法被、Sydが楽屋でペンを持っている写真などは日本の雑誌の取材での写真です。

またSydは仕事の内容について、John Lennonのことを引き合いに出していたことなどもあり、Sydは日本と言う国に対しては嫌悪感がないように受け取れます。

ちょうどSydが亡くなった頃、日本では小泉純一郎元首相が実家で下宿をしていたと言われていて、確かに1968年頃には既にSydは家を出てロンドンに住んでいたので部屋は空いていると。

Pink Floyd、特に日本嫌いは、実はSydが好意的だったので嫌いだったとか?など、またも「RogerSydを虐めた!酷い!」説を持ち出してみました。

Pink Floyd - Arnold Layne (Official Music Video)


話を戻しまして、映画は、Pink Floydメンバーの同窓会のような和気あいあいの話と相反し、Sydはひっそりとロンドンから故郷のケンブリッジに戻ります。この後はとても寂しく、悲しい話となります。

この話は実妹のローズマリーさんをはじめ、バレット家族の見た「ロジャー」、学生時代からの友人やFloydメンバーなどからの「シド」の2つの視点がハッキリ出ている箇所だと思いました。


そのほか、Floydのレコーディング中にSydがやってきた時のことです。これも長らく「Sydが曲を作ったから見てくれ」と言われていたのですが、この映画で初めてSydがギターを手にした写真を見ました。(少し前にネットで出ていたかも)

破産したと言う話も、最近になって出てきました。

レコードが長らく廃盤だったと言うことからも、何かの理由で契約をしなかった、できなかったのかなと。

その後、Sydがケンブリッジに戻ってからパパラッチがやってきて写真を取られたり、懸賞金をかけてたと言う酷い話がありました。この事からも、マスコミが流していた極端な憶測ばかりが日本でも流れていて、それは当時の雑誌の質なのか、長年、私などはよくわからない話を見ることがあり、前後の脈略のない不可解な言動などとか。

家族にとってみれば不快ですが、70年の終わりになると、Punk・New Waveが流行り、「反体制」のアイコンとして、Sydを再び再認識する風潮が出てきた気もします。Sydの先端的な発想や、歌詞や曲のユニークさは、Old Waveから脱したサウンドでしたし、Sydをアイドルと思う人達もPUNKバンドの人達も、またそれ以降も多くいました。

ここまで広げると、さらに登場人物が増えてしまい、Ellery Queenの推理小説みたいです。(多分犯人はRogerってことに落ち着くかも?)


以下の記事は私がSydに関心を持っていた頃に「こんなことがあったな」と思い出して書いている記事です。

上記の記事は映画を観る以前、これまでずっと疑問に思っていたことについて書いてあります。

Rogerが虐めていたんじゃないか」という嫌疑はネットで議論であったのは事実なので、記事に書いてあります。


こちらはSydの音楽活動について書いています。Pink Floydからソロ時代、引退までの音楽活動について。そのほか、80年代以降のSydの音楽活動についての再認識ブームの作品などを紹介しています。

Soft Machineもありますが、その辺は書いてないです。(また登場人物が)

今回の映画で、私が当時見聞きしていた事の検証よりも、Sydの境遇が可哀想というか、酷い!という印象は拭えません。

Dave Gilmourhは映画の中で、ケンブリッジに引きこもってしまったSydに全く会わなかったことを深く心残りにしている話をしていました。何十年も誰も会わない上に亡くなってしまったわけで、そのあたりは、涙ぐんでしまいそうになりましたので、皆さんも映画を観て泣いてください。

映画はHipgnosisStorm Thorgersonの映像はとても綺麗で現実とも思えない世界で構成されていて、より気高い孤高の天才・Sydのドキュメンタリーに相応しい世界になっています。

他に残念なことに、Richard Wright(Rick Wright)も、一度も登場しません。2008年に亡くなっていますから映像化の前だったのでしょう。

2013年にStorm Thorgersonが亡くなり、映画の上映はそれから10年後。そのため、3人のFloydのメンバーが最後に一緒のステージで演奏しているシーンが登場し、「この演奏も2度とないんだなー」って感慨深いものを感じながら、確かに登場人物の多い、エンドロールを眺めました。


最後にふとこの映画を観た後、Sydの未発掘な音源を探していた頃を思い出していました。あの頃にあった後楽園で行われた相当大きい中古レコードフェアがあって、そこで、私は海外から来たディーラーからお店からの見本市に行ったと。

そこに1人「Scorpio」と名乗る米国人がいまして、そうその人こそ、CD時代になってから高音質の音源をリリースしていた人物ですが、その人とLed ZeppelinThe Whoの音源がすごく良かったなど話をした時に、Sydの話が出て、それを出す予定があると言っていたんですが、かなり後になって何かリリースされましたが、あれはちょっと残念だったなと。


そんな時代を思い出しながら、シド・バレット「ひとりぼっちの狂気」とありますが、本当の狂気は前々からRoger Watersの方だ!っていう話が多いのも、Flyodって言えばFlyodだなって事で今回はこれで終わります。


映画『シド・バレット「ひとりぼっちの狂気」』17日(金)から公開です




これなに?

3種類のポストカードがランダムで!入場者プレゼント
全国の『シド・バレット 独りぼっちの狂気』公開劇場にて初日から、数量限定で入場者プレゼントの配布も決定!
3種類のポストカードのうち、ランダムで1枚をプレゼント。

https://lmusic.tokyo/news/248868


マイクに向かうシド、ヨガのポーズをとるシド、そしてピンク・フロイドメンバーでのショットなど、思わずコレクションしたくなるラインナップをお届け。


↑ これ楽しいだろー



次回予告ですが、Kula Shakerのスピンオフの記事、そして、ジョンとリアムの新譜からの現状か、夏フェスは夏に書くので、再びメタルとか、ランキングもの、英国ロックなどを書こうと思っていたのか、まだランキングなどの企画ものもありますし、Syd Barrettの音源も調査したいです



ということで、この先もまだまだ続きます



最後にメンバーシップも始めています


ご清聴ありがとうございました!


この記事が参加している募集

映画感想文

よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポート費は今後のクリエイター活動に役立てていきますので、宜しくお願いします!!