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【嘘のような、ホントの物語】#1 〜 不思議な力を持つ娘 〜 誕生まで 〜

しばらくの間、無料公開しています☆

∞ まえがき ∞

この物語は、ある家族に実際に起きた、嘘のようなホントの物語。

『自閉症の娘』や『ADHD疑惑のタイ人旦那』と、『カサンドラになりかけた日本人妻』のエピソードを描いた私小説的エッセイです。

他のエッセイに比べて、かなりプライベートな内容が含まれているため、書く決心がつくのまでに時間を要しましたが、

海外、国内問わず、育児に苦労している方や、大人のADHDの方の対応に悩んでいる方のヒントになれば…と思い、執筆することにしました。

この物語は、決して暗く悲しいものではありません。

困難に打ちひしがれる日もあれば、
文化の違いから、お互いを理解し合えず涙する日があったり、
バカバカしい事で、お腹がちぎれそうになるくらい笑ったり。

人生という旅路を、何故か一緒に歩くことになった、マイペースでトンチンカンな旦那さんと、不思議な力を持つ娘を中心に、日本人妻が翻弄されながらも、強く生きる物語なのです。

この物語のシリーズは、今後、有料記事にする予定です。

不特定多数の方へ、無料で届ける内容ではなく、本当に必要とされる方に、読んで頂きたいと考えているため、そうすることにしました。ご理解頂けると、幸いです。

それでは、しばらくの間お付き合いください!

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【嘘のような、ホントの物語】#1 〜 不思議な力を持つ娘 〜 誕生まで 〜


∞ 私、妊娠したよ

2009年8月のある日、私はタイの島にいた。

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当時、カンボジアで会社を起ち上げるチームに所属していて、チームの発足から、ちょうど1年が過ぎたころだった。

シェムリアップというアンコールワット遺跡がある街に、お土産店をオープンして、その資材調達のため、出張でバンコクに行くことになった。

3日間ほどの出張の予定だったが、1年間、ほぼ働きづめだった私へのご褒美だったのか、会社が3日間の休暇をくれた。

1年ぶりの休暇!

頑張ったら、そのご褒美があるんだなぁ、、

そんな事を思いながら、どうしようか考えた。

せっかく3日も休めるんだから、バンコクからバスで4時間ほどの島へ行くことにしようかなぁ。

その島は、この仕事を始める前にも訪れたことがあって、1週間ほど滞在したから、友人がいたのだ。

だから、サプライズで会いに行くことに決めた。


その友人が、今の旦那さん。


私達は、1年ぶりの再会を喜び、友人から恋人になった。

お互いの事は、まるで知らなかったけど。


知っていたのは、彼が島のゲストハウスのバーのバーテンダーで、

DJをやっていたこと、

映画や音楽の趣味が似ていたこと、

中学もろくに出ていないのに、英語を流暢に話すこと、

人を喜ばすことが好きで、みんなが彼を好きだったこと。

そして、右の眼の上に大きな傷があったこと。

あと、名前くらいなもんだったかな。


私達は、いつも、音楽の話をして、他愛のないことで大笑いしていた。

あっという間に、時間は過ぎ、再会を約束して、私は島を後にした。

∞∞∞∞∞∞∞∞

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カンボジアに戻って2週間くらい経った頃、妊娠に気がついて、病院で診察を受けた。

妊娠9週目。

季節は、9月に入っていた。


初めての妊娠。来年40歳になるというのに。


カンボジアで高齢出産かぁ。


そう思うと、ひとつの懸念が、頭をもたげた。

高齢出産では、ダウン症で出産する確率は、数段に上がると聞いたことがあったから、、、

もし、ダウン症で生まれたら、カンボジアでの育児は大変だ。

でも、その可能性が判るのなら、テストを受けたい。

今のうちにダウン症と判れば、心の準備もできる。 

生まれてくるまでに、最大限の準備をしてあげたい。


そんな気持ちが、あっという間に芽生えていた。

不思議だった。

私は、あんなに子供を持つことを、拒んで生きてきたのに。

親になるのが怖くて、子供ができないよう気をつけて生きてきた。

そして、それまで一度も授かることが無かったのだ。

そんな、私が妊娠した。

何故か、どこか冷静で、優しい気分だった。


タイの彼に、とりあえず連絡してみた。

私、妊娠したよ。

彼は、ビックリした様子だったけど、笑っていた。

大丈夫。私、カンボジアで産むから。

心は、もう決まっていた。

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∞ どっちに転んでも、希望しかない出生前診断

私が住んでいた、カンボジアのシェムリアップの街のハズレには、タイ資本の私立病院が進出していた。

観光客の多いこの街で、不慮の事故や病気の際、海外旅行保険で診療してもらえるホテルのような病院。

もちろん、地元の富裕層や在留外国人も受診するが、費用が高額だから、私は、ほとんど行ったことが無かった。

そこには、日本人のコーディネーターが駐在していて、医療の専門用語がわからなくても、安心できるという事だった。

それならと、出生前診断の取り扱いについて相談してみたのだ。。。

シェムリアップの病院では、マーカー検査は実施しているが、羊水検査の取り扱いはしていない。

もし、羊水検査が必要になった場合、バンコクの病院での対応になるため、

マーカー検査の結果がわかるまで、約2週間かかることも踏まえ、

こちらでマーカー検査を受けるより、最初からバンコクに行って、検査をすることをおすすめします。

という、回答だった。※2009年の事です。

マーカー検査とは『母体血清マーカー検査』のことで、
『クアトロテスト』とも言われている、採血での検査のこと。

妊娠15週から18週までが検査可能期間と言われている。
(検査で判るのは、あくまでも確率のみ)

マーカー検査は、体へのリスクはないが、検査結果によっては、羊水検査への可能性がでてくる。

羊水検査は、子宮に直接針を刺して羊水を取り出して検査する方法。
羊水には胎児の細胞が混ざっているので、それを検査する。

妊娠15〜16週検査可能期間と言われている。

100%正しい結果は出ないが、マーカー検査より精度は上がる。
極まれに流産のリスクもある。
結果がわかるまで、約3週間程度かかる。

対象となる疾患は、下記3つ。

・21トリソミー(ダウン症候群)
・18トリソミー(エドワーズ症候群)
・神経管閉鎖不全症

検査の時期が重なるため、マーカーテストを受けてからのバンコクへの移動だと時間的に余裕がない、と言うことになるのだ。

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∞ 病院選び

病院からのアドバイスの通り、バンコクの病院に行くことにした。

ただし、予約や費用など、バンコクの病院と本人で、直接やり取りして確認して欲しい、と言われたので、連絡先のメールアドレスを貰った。

『自分で問い合わせするなら、他の病院も当たってみよう。』

バンコクの病院のホームページを調べ、いくつかの病院へメールで問い合わせをかけた。

メールの回答が早く、親身で、費用が安い方の病院に決めることにした。しかもそこにも、日本人の担当がいたのだ。

保険が効かない検査。日帰りでできるという。

費用の見積もりは、当時、約17,000〜20,000バーツ(約5〜6万円)だった。
※2009年の事です。

ただし、状況によって必要に応じた処置をした場合は、これ以上になりますと書かれてあった。もし流産を引き起こした場合という事だろう。

会社に事情を説明して、了承を頂き、妊娠15週を迎える頃の10月の下旬にバンコクに向かうことになった。

ある程度のスケジュールが決まったので、タイの彼に連絡をしてみた。そしたら、バンコクにいる、という。

実は、最近、島を離れたんだ。バーのオーナーが代わって、仕事が続けられなくなったんだよ。それで今、バンコクで働いてるんだ。

バンコクにいるんだ!そう思ったら、こう言っていた。

私、バンコクの病院に検査を受けに行くよ。検査が終わったら、会おう。


【嘘のような、ホントの物語】#2 〜不思議な力を持つ娘の誕生まで〜 に続く

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