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「子どものための制度がもっと横でつながれたら」#里親体験談 安藤茎子さん②

前回に引き続き、安藤茎子さんにお話を伺いたいと思います。
今回は、東京都豊島区のショートステイ事業についてと、実際に里親制度を利用してみての気づきについて伺いました。

▼安藤さんへのインタビュー第一弾▼


安藤茎子さんのプロフィール:
東京都豊島区在住。1999年に東京都で里親登録をする。その後、特別養子縁組、養育里親、フレンドホーム、ショートステイの担い手として活動。


ショートステイについて

ー東京都豊島区の子どもショートステイについて教えてください。


始めたのは10年以上前だと思います。正式名称は「子どもショートステイの協力家庭」です。豊島区の場合は里親経験や、ファミリーサポート援助会員としての経験があれば協力家庭に登録できます。これからはぜひ、ファミリーサポートの経験者が登録してほしいなと思っています。

豊島区の児童相談所が2022年10月に建物が完成し、2023年1月開所するので、里親登録が東京都から豊島区に移るので、そのタイミングで里親家庭も、できればショートステイの登録をしてほしいですね。子どもの社会的養護については、各制度が横でつながってほしいなと思っています

今年嬉しく感じたのが、ファミリーサポートの援助会員になるのに、里親家庭であれば研修の一部のみの参加で良いとされていたことです。それによってかなり登録が楽になった印象です。

*参考 豊島区のショートステイ事業について


*子どもショートステイ協力家庭の募集・登録について


*認定要件

以下アからカの要件をすべて満たす協力家庭
ア 区内に住所を有していること。
イ 年齢が原則として満25歳以上70歳未満であること。
ウ 心身ともに健全であること。
エ 次のいずれかに該当する者であること。

(1)次のいずれかの資格を有すること。
〇看護師 〇保育士 〇その他児童の養育に係る資格として区長が認めるもの

などになります。

ーショートステイを頼まれる時は、どのようなフローで実施されるのですか?


突発的な依頼は、契約している施設や乳児院に行くようで、うちの家庭にくる依頼は、あらかじめ割と先の予定(2,3週間前)として決まっている依頼が多いです。

例えば、冬休みに母親が検査入院をするのでその間ショートステイで預かってくれないか、とか。ただ、事前に準備することってそんなにないですよ。

平日も含んだステイの場合は、保育園や学童に行って普段通りの生活をしてもらうようにしています。その方が、子どもにとっても落ち着く環境になると思いますので。そうすると夕方にうちの家庭に帰ってきて、ご飯を食べてお風呂に入って眠るだけなので、子ども達も新しい家で戸惑うような時間がなく、負担も少ないと思います。週末は、一緒に遊ぶことを考えたりはします。

ーショートステイ中、休日はどのように過ごされますか?

コロナウイルスの影響で、最近は近隣の公園くらいしか行くことができないですね。幼い子であれば、家の中でゆっくり過ごしてもらうことも多いです。そのときは、夫が自分で考えて100円ショップで買ってきたおもちゃなんかを使って工夫して遊んでくれています。

実際にやってみての気づき


ー特別養子縁組や養育里親、ショートステイで来た子どもと接する中で何か気づきはありましたか?


里子の中には、里親(育ての親)に実親(産みの親)のことを聞くと、里親に何か不満があると捉えられるのではないかと心配して、実親のことを聞きづらく感じる子がいるようです。年齢が高くなるほどその傾向がありますね。

里子が高校生くらいになると、勉強や部活など他に話すことはたくさんあるので、意外と自分の生い立ちについて自然に聞けるきっかけが無いのですよ。本当だったら、例えばおつきあいする恋人ができたようなタイミングではしっかり話す必要があると思うのですが。

一方で、施設・里親家庭で暮らす高校生の子供には、自立支援プログラムに参加することができます。プログラムの中で自分の生い立ちについて話すことがあり、参加者同士の交流もあります。養子についても同様のプログラムがあっても良いのではないかなと思っています。


ー安藤さんは、特別養子縁組、養育里親、その他にもいろんな活動をされていますが、何か苦労されることややりがい、気づきはありますか?


2019年に、特別養子縁組の対象年齢が15歳に引き上げになりました。それに伴い、それまで養育里親家庭で暮らしていた里子についても特別養子縁組ができるのは17歳までとなったのですが、特別養子縁組に切り替えるケースが少ないのです。

理由としては、里子だと国や自治体からもらえる支援金や奨学金が、養子縁組をするともらえなくなってしまうのです。ですので、高校生時点で里子だった子を特別養子縁組にしたという話をほとんど聞きません。里子からも、「このタイミングで養子縁組にならないと、もうずっと養子にはなれないのか?」という質問がよくあるそうです。特別養子縁組でなく普通縁組であればできると知ると、では今でなくても良いと思うようです。

子どもにとって、特別養子縁組と普通縁組の違いについてはわかりづらいので、里子向けのプログラムを作って、この違いやメリット・デメリットについても話す機会を設けてほしいなと思っています。


***

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
次回は、これから里親をしたいと思っている方へ安藤さんからのメッセージをお伝えします!

▼安藤さんへのインタビュー第三弾▼

https://note.com/rac_foster/n/nacce0f7852ce




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