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「きっかけは、子どもとの関わりを生活の中に入れたくて。」#里親体験談 安藤茎子さん①

今回は特別養子縁組や里親、ショートステイ等の担い手として長年活動されている安藤茎子さんにお話を伺いました。

子どものために何かできることはないかと思っている方に、色んな形で関われることをお伝え出来たら嬉しいです。

安藤茎子さん(RACイベントゲストで登壇されたときのもの)


—安藤さんの自己紹介をお願いします。


安藤さん:
里親登録したのは1999年です。翌年に1人目の里子を迎え、その子とは養子縁組をしました。その後、養育里親として長期(1年以上)の里子を3人迎えました。

最近では豊島区の子どもショートステイが活発になり、何人か数えられないくらいの子どもを預かっています。中には毎月来てくれる子もいます。母子家庭で母親が検査入院するときや、下の子の出産のために上の子を預かるようなケースが多いですね。もしかすると、コロナウイルスの影響で遠方のご実家を頼れない方がショートステイの仕組みを利用されているのかもしれません。

コロナウイルスによるステイホーム期間、家庭内の子どもの虐待が増えたことをきっかけに、厚労省の支援対象児童見守り強化事業が始まりました。これを豊島区でも導入。子どもへフードギフトを配りに行くことで安否を確認していて、そちらにも参加しております。

それ以外に、区内のNPO法人が行っている月一度、お米を中心とした食品を取りに来てもらう事業にも参加しているし、ファミリーサポート制度にも登録しています。


ー安藤さんが以前代表を務められていた、グミの会について教えて下さい。

https://www.tvac.or.jp/special/selfhelp/stories_gumi より


グミの会は、特別養子縁組の親子のための団体です。最初は、特別養子縁組の里親が何組か集まって任意にお互い相談していたのですが、人数がどんどん増えてきて、活動場所を借りるために団体として立ち上がったものです。

当時は国や自治体から特別養子縁組家庭への支援が無く、そこに集まっている子ども達の様子は非常に落ち着きがない状態でした。発達障害や知的障害を持っている子達も多かったですね。二葉乳児院で会場を借りられることになって、そこから本格的に活動が広がって、親向けの研修を実施しています。

ー何がきっかけで里親登録されたのですか?


子どもに関わることを生活に取り入れないと、地域の中での自分たちの感覚がずれてしまうような気がしたのが最初のきっかけです。

社会的養護の必要な子どもたちには、児童養護施設のボランティアで関わり始めました。そこから東京都のフレンドホームを始めて、その後、里親登録をしました。夫婦そろって30代だったので低年齢児の受け入れを始めたのですが、里親になった理由はもう少し大きくなったときに子供達の進路選択の支援をしたいと思ったからです。


ーフレンドホームから里親に切り替えた理由はなんですか?


フレンドホームになったときも、里親登録したときも、紹介された子どもは断らないということは決めていました。

児童養護施設にボランティアに行っていたときに、そこにいる子どもたちが進学するときには、家庭復帰できない子は新聞奨学生のような形で奨学金を獲得する選択肢しかないように見えました。実は夫自身が貧困家庭の出身で、そのような厳しい環境下での進学資金の獲得については経験や知識があったのですが、ボランティアの立場ではなかなかアドバイスがしづらかったのです。私も苦学生としてアルバイトの探し方には知見がありましたし、ふたりで里子の養育をしながら進路へのアドバイスができればいいなと思って里親登録に踏み切りました。

現在、社会的養護児童を対象とした給付型の奨学金が増えたので、新聞奨学生になる話は聞かなくなりました。


ーいまは、何人の里子さんと暮らされているのですか?

いまは、里子はいないです。養子縁組した子は大学生になり、うちを出て一人暮らしを始めました。この子が発達障害を持っていて、中学生のときに「自分の世話に手間がかかるのだから、ほかの里子は当分迎えないでほしい」と言ってきて、それをきっかけに子どもショートステイでの預かりだけをするようになりました。


ー里親になったことについて、自分の家族に与えた影響はありますか?

夫婦で話す時間は増えました。里親になるまでは、共働きで、正直あまり話すこともなかったのですが、里子を迎えてからは子どもについて必ず話すようになりましたね。

周りに与えた影響としては、里親を始めたころ社宅に住んでいたのですが、同じ社宅に住む人が、私がいきなり2歳の里子を迎えて始めての子育てで大変だと思ったようで、おさがりの三輪車をくれたり、色々とアドバイスをくれたりしましたね。

ー周りの方へは、里子についてオープンにしていましたか?

はい、していました。

里子になる前のお泊まりをしたりする期間に、その経緯やこれからのことについて立ち話で経過報告したり、実際に里子になったときもご連絡はしました。こじんまりした社宅でアットホームだったので、話しはしやすかったですね。社宅以外の地域の人とは、以前までは共働きでほとんど接する機会はなかったのですが、子どもを通じて接する機会は増えました。

地域の人へは、あえて里子のことを「里子です」とは説明していなかったですね。例えば、ステップファミリーで、再婚した相手の連れ子についてあえて近所の人に「連れ子です」と説明しないのと同じような感覚です。


ー親戚や実家からの反応はいかがでしたか?

親戚については、最低限の範囲に説明しました。こういった話をすると、反対しないまでも必ず「よく考えたの?」といったコメントをしてくれる方がいらっしゃるので。実家の母に話したときは、「不妊治療は徹底してやったの?」と言われましたが、すでに里子のお泊まりなども始まっていた時期で私たちにしっかりとした意思があったので、反対意見は受けなかったです。


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ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回は安藤さんも担い手である豊島区のショートステイや、実際に特別養子縁組や里親をしてみての気づきについてをお伝えします!


▼安藤さんへのインタビュー第二弾▼



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