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#102 人事と管理職の仕事は人材発掘【1/2】 24/3/7

みなさん、こんにちは。
人材育成を人材発掘する、人材を生かすに分解して考えてみます。

人事やラインの管理職・ミドルマネージャーが果たす仕事から人材育成は外せないと考えています。それぞれの立場では、人材育成のスコープも変わります。

まずラインの管理職・ミドルマネージャーは、事業のしくみを使って社会課題の解決を実行することと、現場のプロセスを最適に維持すること、この2つを実行主体者として両者をバランスすることがスコープです。

事業のしくみと現場のベクトルを合わせ、アラインメントをとるセンターピンです。
もっとも難しく、影響力の大きいポジションです。

次に人事は、経営の思想・哲学(MVV=ミッション・ビジョン・バリュー)や事業戦略を咀嚼し、これに資する従業員行動を根付かせ、組織カルチャーに昇華することがスコープです。

その活動を基点に、経営と従業員のベクトルを合わせ、かつ従業員のキャリア開発とのアラインメントもとっていくコミュニケーションパートナーです。

それぞれのスコープや位相は異なれど、ミドルマネージャー、人事の両者に期待されることは共通しています。
「発掘する、育てる、活かす」です。

「発掘する、育てる、活かす」の中でも、ドライバーになる人材、が第一ターゲットです。
全従業員の人材育成に責任を持つことは前提ですが、現実論として優先度や重心のかけ方は濃淡が出ます。その意味でドライバーになる人材を、と表現しています。

まず最初に、そのドライバー人材を「発掘する」ことです。
そのターゲットがなく、網羅的に育てて、活かしても、人材育成の生産性は上がらないからです。ミドルマネージャー、人事も有限なリソースですから、発掘したターゲットから手をかけることが一番手の順番です。

発掘の仕方は、リーダーシップ行動を実践していることの観察を通じてです。たとえば、自分の意見を表明している、自分で(決めてよい範囲のことは)決めている、顧客・経営・課長・メンバー当事者、と複眼的に課題を捉えている、などです。

注意点は、とかく上長はバイアスを持っています。
地頭の良さ、主体的、能動的、視座が高い、良いことを言う、素直さ(ホンネは上長たる自分の言うことを聞く)を「発掘」の基準にしてしまいがちです。バイアスがあることを前提に、それを避けるようにドライバー人材を選定することです。

それを発掘するしくみは、MBO目標管理を使った評価レビューやタレントマネジメントの取り組みがあれば、それを通じてです。
当社はタレントレビュー会議があります。今後でいえば、人事のオペレーショナル情報(属性的情報)、エクスペリメンタル情報(職務経験などの情報)をAIに食べさせることで人の目利きによる発掘ではない、しくみも取り入れることができそうです。

発掘したら、その人材を「育てる」が2番目です。
まず所属部門における職務(≒テクニカルスキル)を中心に、その部門の中心的業務の生産性を上げる企画=課題解決までの経験を提供することです。その過程では、経験学習サイクルを回すのが良いと考えます。

短期の小さなPDCAは、主にミドルマネージャーがリアルな仕事を中心にタイムリーに支援します。中期のPDCAは、その現場での仕事経験の積み重ねを一段俯瞰した立ち位置から、人事の提供する研修等の場を通じて大きなPDCAが回るように支援します。

そうして大小&長短のPDCA(しかけ)と、ミドルマネージャーと人事(ラインとは異なる第三者)を通じて、「育てる」サイクルを確立します。どちらも、仕事の経験を、どう自分に意味づけるか、何を学んだか、がアウトプットイメージです。

なお、わたしは、この2つの役割をごっちゃにして「育てる」を実行していることが、人材育成に関する課題の原因だと考えています。当社もまだまだ及第点には達していないのですが。

最後の3つ目が「活かす」です。
2番目の「育てる」と、3番目の「活かす」は実際には交錯することが多いと考えます。
どの部門の業務にも、濃淡はあれど特徴や成果を出すポイントの違いがあります。ですから、その仕事にジョブアサインメントをする際に、そのメンバーの個性にあったポジションや仕事を任せたいところです。

メンバーの個性とジョブアサインは、たとえば以下の2×2マトリクスで考えられます。
軸は「得意/不得意」×「楽しい/退屈・飽き」です。
      楽しい    退屈・飽き
得意    自己効力感  成長鈍化 or 実は価値が高く意味がある 
不得意   成長実感   必要な壁 or 自己肯定感低下の判断(重圧)

特に、本人が得意と自覚しているけれども、それを活かす業務は習熟しているから飽きた、退屈してしまう、のセグメントが重要と考えます。その業務セグメントが、本人にとっても、チーム・組織にとっても、価値が高いケースが間々あります。ここに意味づけをできるかどうか、が「活かす」腕の見せ所です。

もう1つは、不得意×退屈・飽きのセグメントです。
ここは、メンバーの長期的なキャリア志向と成長に向けて、絶対に必要な仕事であれば、つぶれないよう注意しながら、同様に意味づけをして任せることです。プレッシャーが強すぎたり、成果を出せない時間が長くなりそうな場合は止める判断を早めに行うことも備えが必要です。これも上長や人事の「活かす」腕の見せ所です。

なぜなら、人は誰しも持って生まれた(発達段階で身につけたものも含め)ものがあります。だから、それを発揮したらよいとの前提に立ち、その点を見抜くのは上長や人事の手腕にかかっています。

さて、みなさんの会社の人材育成は、どのようなしくみで回っていますか。
それでは、また。

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