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牛乳と大豆と子宮筋腫、乳化剤と心血管疾患、騒音と認知症、ウコンと機能性ディスペプシア、早産児の多疾患罹患、カンガルーケアと脳容積、睡眠不足と疾患リスクと糖質摂取、豆乳と認知症、ペットの健康効果|9/28(木)〜10/3(火)医学論文&健康関連ニュースまとめ

9/28(木)〜10/3(火)にラハール公式X(Twitter)で紹介した、医学論文や健康関連ニュースをまとめました。

https://twitter.com/rahall_jp




【論文紹介】牛乳と大豆の摂取量と子宮筋腫リスク


『Frequent milk and soybean consumption are high risks for uterine leiomyoma: A prospective cohort study』

牛乳と大豆が子宮筋腫の発生率を増加させるかどうかを調べたら、これらの摂取量が多い女性は子宮筋腫のリスクが高かったよという論文です。子宮筋腫患者213人と対照群1060人が調査されました。

頻繁な牛乳と大豆の摂取以外に、頻繁なアルコール摂取や喫煙、頻繁なカフェイン摂取、子宮疾患の家族歴、BMI、頻繁な経口避妊薬の使用が、子宮筋腫の発症と相関がありました。
また、頻繁な牛乳と大豆の摂取と頻繁な経口避妊薬の使用は、子宮筋腫の独立した危険因子であることが確認されました。

尚、頻繁な牛乳と大豆の摂取と頻繁な経口避妊薬の使用を両方行っている群は、更に子宮筋腫の発生率が高くなっていました。

💭子宮筋腫を始め婦人科の症状がある方の中で、良かれと思って大豆製品をたくさん摂取している方は、実は珍しくありません。牛乳はともかく、大豆はもともとは体に良い食べ物ですが、体の状態によってはあまり摂らない方が適切と考えられます。食べ物は「今の自分の体にとって必要な物かどうか」を考えて選んでいただけると良いですね🥛

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【論文紹介】乳化剤摂取による心血管疾患リスク


『Food additive emulsifiers and risk of cardiovascular disease in the NutriNet-Santé cohort: prospective cohort study』

食品添加物である乳化剤の摂取量と心血管疾患の関係を調べたら、セルロースやモノグリセリドなど乳化剤の摂取量が多い人は、心血管疾患リスクが高かったよという論文です。フランスの18歳以上の95,442人が追跡調査されました。

これまでの研究で超加工食品の摂取量と非感染性疾患(がん、心血管疾患、2型糖尿病など)のリスク増に関連があることが示されていますが、超加工食品に含まれる食品添加物(及びそれに含まれる乳化剤)がその関連の理由なのではないかと考えられています。

また、乳化剤は腸内細菌叢に悪影響を及ぼし、腸に炎症を起こす可能性が示されています。

乳化剤の摂取元は、野菜などの加工食品(フリーズドライスープなど)が全体の18.8%、ケーキとビスケットが14.7%、乳製品が9.9%でした。
セルロースの摂取元はケーキとビスケットが43.4%、モノグリセリド及びジグリセリドの摂取元は脂質とマヨネーズなどが22.5%、ケーキとビスケットが22.0%でした。

この論文の著者は、「超加工品に広く使われている食品添加物の乳化剤は心血管疾患と関連があり、消費者を保護するために、添加物の規制を再考すべきことが示唆された」と述べています。

💭食品添加物にはさまざまな種類があり、多くの疾患との関連が報告されていますが、乳化剤についても心血管疾患に関わる危険性が明らかになりました。買い物をする際には原材料の欄を確かめて、なるべく乳化剤の入った食品は避けていただけると良いのではと思います🍪

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【論文紹介】交通騒音と認知症リスク


『Residential exposure to transportation noise in Denmark and incidence of dementia: national cohort study』

道路や鉄道による騒音と認知症リスクの関連を調べたところ、道路と鉄道の騒音の両方がアルツハイマー病の高いリスクと関連していたよという論文です。デンマークの60歳以上の成人193万8994人が調査されました。

道路の騒音は、血管性認知症のリスク増と関連していましたが、鉄道騒音は関連がありませんでした。また、道路の交通量とパーキンソン病には関連がありました。

結論として、交通機関による騒音は、全ての認知症のリスクを上げ、特にアルツハイマー病のリスク増と関連していることがわかりました。

💭住宅地に隣接する道路や鉄道などの防音壁の設置や、住宅地との距離を取った道路や鉄道の敷設は、単に快適な居住空間を守るだけではなく、長期的な住民の健康への悪影響を軽減する作用もあると言えそうですね👂

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【論文紹介】ウコンで機能性ディスペプシア改善


『Curcumin and proton pump inhibitors for functional dyspepsia: a randomised, double blind controlled trial』

https://ebm.bmj.com/content/early/2023/07/26/bmjebm-2022-112231

ターメリック(ウコン)に含まれるクルクミンが、機能性ディスペプシア(胃痛・胃もたれなどの症状があるものの検査では異常が見つからない病気)の治療に使われる薬のオメプラゾールと、同等の治療効果があったよという論文です。

機能性ディスペプシア患者206人が、クルクミン群とオメプラゾール群とクルクミン+オメプラゾール群の3つのグループにランダムに分けられ、効果が比較されました。
結果、ディスペプシアの重症度の尺度「Severity of Dyspepsia Assessment(SODA)」で、どの群においても有意な改善が見られました。

尚、効果に関して3群に有意差は無く、クルクミンとオメプラゾールの併用には相乗効果は無いことが示されました。

💭ターメリック(ウコン)といえばポリフェノールの一種であり、肝臓を助ける働きが有名ですが、胃に対してもその働きを助け消化を促進するということで、古くから生薬として用いられて来ました。胃が弱い方や、今は胃に症状はないけれども予防したいという方は、ターメリックを日々の料理に取り入れて、定期的に摂取していただくと良いのではと思います🍛

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【論文紹介】早産児の多疾患罹患


『Preterm birth and the risk of multimorbidity in adolescence: a multiregister-based cohort study』

https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(23)00145-7/fulltext

早産児の多疾患罹患(多疾患併存 複数の病気に同時に罹患した状態になること)について調べたところ、満期産児に比べて10〜18歳の時点での多疾患罹患リスクが高かったよという論文です。

フィンランドの118万7610人とノルウェーの55万5431人が分析対象でした。
満期産児と比べてリスクが1.2倍以上だったのは、以下の20の疾患でした。

腎癌、甲状腺疾患、糖尿病、下垂体疾患、知的障害、心理的発達障害、てんかん、頭痛、睡眠障害、脳性麻痺、高血圧、心臓弁膜症、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、喘息、血液と造血組織の疾患、眼疾患、耳疾患、泌尿生殖器疾患、先天異常

在胎週数がより短い児ほど、多くの疾患が併存するリスクが高いことが示されました。
このため著者は、早産歴のある小児の多疾患罹患リスクを周りの医療者や学校関係者が理解し、対応することが重要だと述べています。

💭「未熟児は弱い」とは昔から言いますが、早く生まれた子は、やはり様々な病気のリスクが高いようです。早産が発生しないよう予防に取り組むことは大事ですし、また一方で、既に早産で生まれてしまった子には、その子の状態に合わせたケアを行っていけると良いですね👶

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【論文紹介】カンガルーケアで脳容積増加


『Preterm birth and the risk of multimorbidity in adolescence: a multiregister-based cohort study』

https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(23)00145-7/fulltext

カンガルーケアを行った早産児は、行わなかった早産児と比べて、その子が20歳になった時点の脳の容積が大きくなっていた(神経発達が進んでいた)という論文です。カンガルーケア群97人と対照群81人が比較分析されました。

カンガルーケア群は対照群より、灰白質、基底核、小脳の体積が大きくなっており、白質はよりよく組織化されていました。これは知能や記憶などの能力向上に関連しています。
また、カンガルーケアを行った期間が長いほど、脳容積が大きくなる傾向が示されました。

これらの結果から著者は、カンガルーケアは早産児の神経保護効果があり、その効果は成人期まで続いていると結論しています。
尚、この研究はカンガルーケア発祥の地である南米のコロンビアのボゴタで行われました。

💭カンガルーケアとは、赤ちゃんが生まれてすぐに母親の胸の上に乗せて抱っこすることで、神経発達に良い影響があることが知られています。早産児は満期産児と比べて、脳疾患を含めた多くの疾患の罹患リスクが高いため、よりカンガルーケアの重要性が高いのではと思いますね🤱

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睡眠不足による疾患リスク


『女性の方が睡眠不足になりやすい、仕事や勉強に及ぼす悪影響とは』
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/092900506/

✅睡眠に問題を抱える人は男性よりも女性が多い(ホルモンに関連)
✅睡眠不足は、心臓病、肥満、2型糖尿病、うつ病と関連し、学習の妨げにもなる
✅睡眠不足の大学生は成績評価値(GPA)が低い傾向

✅CDCは、成人は7~9時間、10代は8~10時間の睡眠を推奨
✅十分な睡眠は、テストの得点、問題解決能力、学習の質、さまざまな行動の意欲、ひらめきや名案の思いつきやすさ、情報の吸収力の向上と関連

✅睡眠不足は認知機能を低下させるため、集中した状態を保ち、作業に意識を向け、実行するのがより困難に
✅記憶の固定化は睡眠中に最も強く起こる

✅睡眠の質を高めるには、①規則正しい睡眠スケジュール、②暗くて邪魔されない睡眠環境を整える、③寝る前の食べ過ぎやアルコールやカフェインの摂取を避けることが重要
✅ブルーライトの刺激と概日リズムの乱れを抑えるため、就寝の45分間前からパソコンやスマホの画面は見ないことを推奨

💭睡眠時間は脳と体の回復する時間ですから、その長さや質が不十分であれば、悪影響があるのは当然です。より良い睡眠のために、1日のスケジュールを調整したり、飲食物の摂取に気をつけたり、出来るところから取り組んでいけると良いですね😴

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【論文紹介】睡眠不足で糖質摂取促進


『Losing sleep by staying up late leads adolescents to consume more carbohydrates and a higher glycemic load』

「短時間睡眠だと糖質を好んで食べやすくなる」という論文です。
93人の12〜20歳の青少年が、短時間睡眠(6.5時間)と長時間睡眠(9.5時間)をそれぞれ5晩ずつ取った場合の、摂食行動(食物摂取の種類と量とタイミング)が比較調査されました。

実験参加者は、同じ人物が短時間睡眠と長時間睡眠の両方を体験しました。
短時間睡眠の場合に、より多くの炭水化物・砂糖・血糖値が上がりやすい食品・甘い飲み物を摂取しました。
また、午後9時以降の脂肪や炭水化物などを含む食品の摂取量が増えました。

これらの結果は、睡眠時間の短い青少年は非健康的な食事パターンになることを示唆しています。

💭日本では一般に、6.5時間の睡眠時間はさほど短いと思われておらず、不健康な睡眠時間だという認識が無いかもしれません。が、実は糖質の摂取量が意識しなくても増えてしまうという、リスクのある睡眠時間です。健康管理には睡眠管理も大事ですね😴

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【論文紹介】豆乳で認知症予防


『Different types of milk consumption and the risk of dementia: Analysis from a large-scale cohort study』

豆乳をよく飲む人は、牛乳や加工乳やその他の代替乳をよく飲む人より、認知症リスクが低下していたよという論文です。30万7271人が約12年追跡調査されました。

研究参加者が最も摂取しているミルクの種類(全乳、無脂肪牛乳、豆乳、その他の代替乳、ミルク摂取なし)を比べたところ、豆乳摂取者のみで、全ての原因による認知症リスクが有意に低下していました。
また、豆乳摂取者は特にアルツハイマー型認知症のリスクが低いことが示されました。

この効果が豆乳の摂取量や摂取頻度によってどのように変化するのかについては、さらなる研究が必要だ、と著者は述べています。

💭豆乳は植物性ミルクとして世界でも広く飲まれている健康的な飲み物であり、認知症予防にも効果があるというのは嬉しいですね。閉経前の女性によっては、豆乳(及び牛乳)を摂りすぎると婦人科疾患のリスクが上がることはあるので、量に注意して適量を摂取していけると良いのではと思います🥛

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ペット飼育の健康効果


『ペット飼育で介護費が半額に?~医療費は差なし』
https://medical.jiji.com/topics/3079

✅65歳以上の約1万人を対象に、ペット飼育と健康状態に関して3年半追跡調査
✅要介護や死亡のリスクが、ペット飼育経験がある人は12%減、現在飼育している人は29%減、特に犬を飼育している人は54%減

✅別の460人を対象とした調査で、ペットを現在飼育している人は飼育していない人と比べて、月額介護費が半額以下
✅ペット飼育は、運動による身体的効果と、心の安定や社会との繋がりを強化する効果があり、介護サービスのあまり使わずに済む健康状態が保たれやすい

💭ペットを飼うにはその動物の命を預かる責任を伴いますが、それを負っても余りある幸せと、更に健康をも齎してくれます。経済的なことも含めて動物を飼える環境かつ飼いたいと思っている方は、ぜひ前向きに検討していただくと良いのではと思います🐶🐱

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