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人間商店。

もう10年近く前の話だから今は事情が違うかもしれないが。

会社で仲の良い秘書さんが婚活をしていた。
社内外でも評判の美人で、家柄も良く経歴も申し分なく人柄まで良いという、同じ人間とは思えない!人でしかもまだ20代。まさに引く手数多状態。
なのにいい人がいないと常に言っていた。理由は簡単で、相手に求める条件が厳しすぎるのだ。それは本人も分かっているので何も言うことはなく、今日はこんな人と会ってきた、今日の人はとんでもなかった、などの話を面白く聞いていた。
私は婚活とか出会い系とか今で言うとマッチングサイト?の類は全く利用したことがなかったので、ある時その人に婚活サイトというものを見せてもらった。

絶句した。
人間がまるで商品のようだったから。
何これ、人がまるで、物みたいに……と、つい呟いてしまった。
その人は気まずそうに、そう、ですかねぇ……と、言った。

私は、異性を、他人を、そんなふうに見たことが無かった。
年収とか、肩書きとか、学歴とか、容姿とか、身長とか、そういった条件、本当に本当にどうでもいい。若い頃からそうだった。でもこれが婚活会のスタンダードなのかとがっかりした。これでうまくいく人って本当に一握りなんじゃないのか?と思った。

相手に条件つけないと言うと、じゃあどうやって相手を選ぶんだよ、とよく聞かれるが、そんなの私が好きになるかどうかだけに決まってるじゃないか。そして好きになった理由はわからないんだよ。

誰かを愛するって言うのは、条件をつけるとかそういうことじゃ無いんだよ……。相手に求めず、自分で自分を満たせるようになってからなんだよ……。
人を好きになる気持ちに条件つけたりして蓋すんなよ。この人なら私を満たしてくれる、という条件を付けるな。

その秘書さんも、そんなこと本当は分かっていたんだけど、今までの人生やら周囲の人間関係やらプライドやらがどうしても邪魔をしているようだった。それでもだんだん条件を落としていき、婚活以外の趣味関係で出会った人と結婚しました。めでたし。

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