スマホの使いすぎが子どもたちの学力を破壊している?①

最近気になったネット記事


 先日公開された「研究者が思わずゾッとした『子どものスマホ使用時間と偏差値の関係』小中学生7万人調査でわかった衝撃の事実」というネット記事が、当塾界隈では話題になっています。記事は、東北大学加齢医学研究所の研究に基づいています。その研究結果は、書籍(榊浩平著、川島隆太監修『スマホはどこまで脳を壊すか』2023、朝日新聞出版)になっていて、再編集されたものが記事内容になっていました。記事タイトルにあるように、スマホと偏差値の関係を明らかにするために、仙台市の小中学生合わせて7万人(!)を対象にするという大規模な調査が実施されていました。しかも、2010年度から毎年行われているとのことで、かなり大きなデータが扱われているようです。
 

何が研究者をゾッとさせるのか!?

 記事タイトルにあるように、「子どものスマホ使用時間と偏差値の関係」を調べたところ、研究者はゾッとしてしまったとのことです。研究者をゾッとさせるのですから、よっぽどのことだったのでしょう。

 ここからが問題です。私が最初にこのグラフを作って自分で見たときに、正直ゾッとしました。…略…スマホ等の使用時間が長くなればなるほど、平均以上の成績を表す灰色の棒の数が明らかに減っていく様子が見てとれます。 
 衝撃的なのは「3時間以上」の結果です。灰色の棒が1本も残りませんでした。この結果からわかることは、スマホ等を1日3時間以上使用している子どもたちは、どれだけ勉強を頑張っていても、きちんと睡眠時間を確保していたとしても、成績が平均未満に沈んでしまっているということです。
 つまり、スマホ等を長時間使用している子どもたちは、勉強時間や睡眠時間が削られてしまうから学力が低いという、私たちの最初の仮説は証明されませんでした。この結果から、スマホ等の使用は子どもたちの学力に直接的な悪影響を与えているという可能性が高まってきたのです。

https://president.jp/articles/-/69373?page=4

 グラフの灰色とは、偏差値50以上のこと。その灰色が、スマホ等を1日3時間以上使用している子どもたちのグラフには、1本たりとも残らなかった。これは問題だ!と研究者は述べています。
 この問題は、単に、スマホ3時間使用×勉強時間「全くしない」×睡眠時間「5時間未満」と回答した(スマホはめちゃ使うけど、勉強時間も睡眠時間も確保しない)生徒の偏差値が50未満だという(あまり勉強&睡眠せずにスマホを使っていれば、成績は悪くなりますよねという)話に留まりません。スマホ3時間使用×勉強時間「3時間」×睡眠時間「9時間以上」と回答している(スマホをめちゃ使い、よく学び、よく眠る)生徒でさえも、偏差値が50を超えない…というのです。
 スマホの使用時間が長くなればなるほど、勉強時間や睡眠時間が減るので成績が悪くなるという話(研究者が検証しようとした仮説)であれば、スマホの使用時間が3時間以上であっても、勉強時間と睡眠時間を確保できている生徒の偏差値が50未満になるはずがない!のに、事実50未満になっていることが研究者を「ゾッと」させていたのです。

もっと知りたい!

 脳科学を専門にしている研究者にとっては、一般人よりも衝撃が大きいのかもしれません。とはいえ、研究者でなくとも、たしかに「ゾッと」する話です。この調査に関しては、もっともっと知りたくなります。記事だけを読んだだけですが、どんどん興味関心が広がります。

小中学生の学習に、スマホのどんな機能が関係するのか?
 スマホに備わっている機能が学力に影響を与えているのであれば、小中学生だけでなく、高校生、大学生、それ以上といった人々にも影響が及んでいるかもしれません。ひょっとしたら、既に私も影響を受けているのかも…と考えると、一度この点を十分理解しておきたいと思わされます。

スマホの影響といっても、どんな影響があるのか?
 スマホの影響といっても、いくつか考えられます。直接学習に与える影響、スマホから別の何かに影響が及ぼされ、その影響を受けた何かから間接的に及ぼされる影響などなど。小中学生だからこそ受けやすい影響が、脳科学の知見を使うことで、部分的にでも明らかにされているのかもしれません。気になります。

勉強時間、睡眠時間以外に踏まえておくべき要素はないのか?
 この調査は、スマホの使用時間と成績との間の相関関係を確かめるために行われたようです。そのため、筆者たちが因果関係を特定するようなお話をしているのかはわかりません。しかしながら、もし別の何かが先にスマホの使用時間に影響を与えているとしたら、スマホの使用時間は間接的な影響となるかもしれません。一見すると、スマホの使用時間と偏差値との相関であっても、実は別の何かと偏差値との相関(あるいは因果)ということもありえます。

 残念なことに、実は私、ネット記事を読んだだけで、まだ書籍に目を通すことができていません。amazonや楽天などでは売り切れとなっています!すごい反響!早くこの本を手元に取り寄せ、調査の詳細などに目を通してみたいです。


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