見出し画像

ドイツから帰国して思うコロナ対策

2021年3月31日ミュンヘン発、パリ経由、4月1日羽田着のフライトで、5年間のヨーロッパ駐在から帰国しました。
ドイツでは誰しもがそうであるように僕もスターアライアンス派なので、本当はフランクフルト経由が良かったんですが、とある理由でやむなくパリを経由し、JALで羽田へ戻りました。マイル以外の理由に、パリよりもフランクフルトの方が印象がいいというのもあります。私個人としては、パリのシャルル・ド・ゴール空港の利用はお勧めしません。本題からそれますので、これはまた別の機会に。

シャルル・ド・ゴール空港上空

さて本題ですが、2021年4月1日現在、新型コロナウイルス変異株流行国・地域からの日本入国者は、出国前72時間以内のコロナ検査の陰性証明書の提出が求められています。入国時にも検査を受け、陰性であることを確認したあと、検疫所指定の待機場所で3日間待機となります。入国日の翌日から3日目(4月1日着の場合、4月4日)に再度検査を受け、陰性であることが確認できたら、ようやく「公共交通機関を使わずに」自宅や自分で手配した宿泊施設への移動が認められ、入国翌日から14日目まで自主隔離となります。その間、毎日健康状態を報告する必要があります。

出国前検査について

出国前検査の検査方法は鼻咽頭ぬぐい液か唾液を検体としたPCR検査とされ、証明書のフォーマットも定められています。要件を満たす陰性証明を提出できない場合、検疫所指定の待機場所での待機期間が3日間ではなく6日間に延び、3日目と6日目(4月1日着の場合、4月7日)に検査を受け、ともに陰性の場合は自宅等への移動が許可されます。僕自身では未確認の情報ではありますが、最近はさらに厳格化され、要件を満たさない場合は出発地での飛行機の搭乗を認められないとか、入国を認められず強制送還される、という話もあります。最新の情報を入手することを強くお勧めします。

ミュンヘン周辺にお住まいで、厚労省指定の検査と指定フォーマットでの陰性証明の入手方法をお探しの方はこちらをご参照ください(3/30現在)

空港での書類確認と検査

私の場合、4月1日に羽田空港に着陸してから空港を出発するのに、書類確認、検査、検査結果確認などで2時間半かかりました。飛行機から降りると、変異株流行国・地域からの入国者は腕にカードを付けられます。その後、事前にスマホで回答する厚労省の質問回答で得るQRコード、機内で渡される健康確認カード、誓約書、スマホへの指定アプリインストール同意書、出国前検査の陰性証明書をチェックされます。スマホに指定アプリがインストールされているかどうかは、実際にスマホの画面確認や通信確認が実施されます。スマホを持たない方はレンタルすることになります。その後、唾液での検査を受け、結果が出るのを待ってから、通常の出国手続き、預けに持つの受け取りを経て、指定の待機場所への移動となります。ここまでで2~2.5時間です。なお、移動用のバスに乗車するまでの間に自由な行動をとれるようなタイミングはなく、両替、ATMでの出入金、別送品の輸入手続き委託などは一切できません。トイレに行く場合も係員が同行します。

余談ですが、僕が機内で渡された書類のうち、健康確認カードが英語のフォーマットでした。内容は日本語と変わらないということだったのでそのまま英語のフォーマットに回答して用意していましたが、それを見せるなり「健康確認カードが英語になってしまっているので、今、日本語のものをお持ちしますね」と言われて日本語のフォーマットに再記入することになってしまいました。英語でも日本語でも内容は同じなのですが、日本語の方が処理しやすいようです。

着陸直後から検疫所指定の待機場所入館まで、日本語非ネイティブ、英語が微妙、という方との会話が多く発生しますので、可能であれば平易な日本語でコミュニケーションをとることをお勧めします。対応者の母国語ができる方はそれを試してみてもいいかもしれません。

誓約書、健康確認カード、スマホへの指定アプリインストール同意書

検疫所指定の待機場所

羽田着の場合、検疫所指定の待機場所は都内のビジネスホテルになるようです。私の知る限りではホテルは2か所あり、どちらに輸送されるかは選べません。ホテルに到着しても他の便で到着した方のバスが順番待ちをしていたため、ホテル到着から部屋に入るまで1時間かかりました。バスの前の席から順番に呼ばれ、待機期間の注意事項について説明を受けて部屋に入ります。

部屋に入ると基本的には勝手に部屋の外に出ることは許されず、食事は決まった時間にドアの外側のノブにお弁当をかけられ、館内放送に従ってそれをとって食べるという形になります。アレルギーがある方は入館時に申告して対応してもらえます。お弁当は毎回中身を変えてくれますが、基本的にお米が半分、おかずが半分というものです。

宅配や差し入れの受け取りは可能で、受付が一括して受け取り、受付が受け取った日の翌日の午前中に部屋に運ばれます。冷蔵・冷凍保管する設備がないという理由で、生ものや足が速い食品は届けてもらえません。常備薬など急を要するものは相談に応じてくれるそうです。洗濯は館内にあるコインランドリーの使用が可能です。

2か所ある館内ではどちらもフリーWiFiが用意されていますが、スピードは、1か所は60Mbpsなのに対し、もう1か所は6~7Mbps程度とかなり差があるようです。60Mbpsは一般家庭のWiFiレベル、6~7Mbpsはその10分の1のスピードとお考え下さい。6~7MbpsではZoom等のウェブ会議もままならないと思います。私はラッキーなことに60Mbpsの方でした。

館内は全館禁煙のため喫煙は認められていません。そして、なぜか飲酒も不可とされています。理由は聞いても答えてもらえません。余談ですが、私が滞在を開始する数日前までは、館内放送で「入所者の皆様」と呼ばれており、入所・出所という呼称を不快に思っていたそうですが、今は「待機者の皆様」になっています。お勤めご苦労様です!

お弁当の例

待機終了後

ここからは僕も未体験ゾーンです。待機開始から3日目、または、6日目の検査で陰性であれば、再びバスに乗り、到着した空港まで移動となります。空港に到着したら「公共交通機関を使わずに」自宅や自分で手配した宿泊施設への移動することができます。移動後は入国翌日から14日間(4月1日着の場合、4月15日)までは自主隔離となり、その後、外出や公共交通機関の使用が認められます。監視がついているわけではないですが、位置を確認できるアプリのインストールが義務付けられているので、何かあった場合はそれまでの行動がわかるようになっています。

個人的に思うこと

日本の水際対策はかなりしっかりしています。出国前検査、入国時、入国3日目で検査をして陰性でないと、自主隔離に移行できません。私の理解では偽陰性(本当は陽性なのに検査で陰性となること)の確率は約30%ですが、1週間に3回検査をした場合、すべての結果が陰性となる確率は単純計算で30/100の3乗で、パーセントにすると2.7%です。入国6日目まで待機場所で待機し、検査を4回受けた場合は0.81%です。いずれにしても、変異株流行国からの入国者が、以上のプロセスを適切に通ったうえで感染者である可能性は、日本国内で出歩いている一般の人と比べるとかなり低いでしょう。水際対策が厳格化されたのは3月19日だそうです。感染者が他者に感染させるリスクがあるのは最大で1ヶ月程度のようですので、4月19日以降も感染拡大が収まらない場合、論理的には、3月18日以前に入国された方からの感染拡大か、国内で感染を広めているから、ということになると思います。3月18日以前からも入国制限はかなり厳しかったことを考えると、国内起因の感染が支配的なのではないかと思います(これは単なる推測)。様々なデータが入手できつつある今、合理的な原因分析と適切な対策を講じていただけたらと思います。

この記事は特定の個人や団体を否定するために書いたものではなく、一人でも多くの方が効率よく安全に我々が直面している危機を乗り越えることができたら、という思いで書きました。その点を汲んでいただけると幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?