見出し画像

【読書感想文】ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

インプットしたらアウトプットもしないと...ということで、まずは読んだ本について。


『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』


昨年から気になっていたものの、なかなか手に取る機会がなく、
無償に本を読みたくなって立ち寄った本屋で迷わず購入した一冊。

ページをめくりながら何度か目に涙がたまったり、
その直後にクスッと笑えてきたり、
読むスピードが止まらずに、するすると内容が入っていくる。
私にとって間違いないく面白い本だった。


画像1

優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜのイカした「元・底辺中学校」だった。ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり……。何が正しいのか。正しければ何でもいいのか。生きていくうえで本当に大切なことは何か。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子と パンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。連載中から熱狂的な感想が飛び交った、私的で普遍的な「親子の成長物語」。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』公式サイト
今なら四章無料で読めます!


「学校から家に帰ったときに、家にママがいないと可哀想なの?」

子供に聞かれたときに、私だったらなんと答えればいいだろうかと、
本を閉じながらふと思った。子供の予定もないのに。実にはやとちりな悩み。

だけど、都会の共働き夫婦の間ですくすくと育った私が何度も感じた気持ちを、
自分の子供もいつか感じるだろうし、そのための予行練習は大切だなと思い、
本を読み終えて手持ちぶさたな電車内で悶々と考えた。


本のなかでは、アイルランド人の父と日本人の母を持つ"ぼく"が、
日々学校で起こった事件や悩みを、
著者である母に相談して一緒に悩むシーンが何度も描かれています。

母ちゃん(著者)が色々と頭を抱えている間に、
息子や彼の仲間たちは既に問題を解決して拍子抜けしたり...
人種や世代、貧富の差やLGBTQといった、
自分達の時代は目をつぶってきたり気にしないようにしていた問題とも
向き合わないといけない。


一つ一つの問題に、
「世の中なんてそんなもん」
「しょうがない」

といった言葉ではなく、著者である母ちゃんが息子と向き合い、
どういった言葉で説明するのがよいのかを考えていくところが、
この本のなかで一番すきなところ。


ルールや常識だからというワードでは本質的に解決できない悩みを、
子供にしかっりと説明していく母ちゃんの物語を読みながら、
私も同じように母ちゃんになったとき
子供の悩みに一緒に頭を抱えられる母親になりたいなと思った。



「新しい時代の教育本」

というポップが本と一緒に飾ってあったけど、
本当にその通りだった。
過去に何度もこすってきた教育論には想定されていない問題の多くがこの本にある。

もっともっと広がる日本の貧富の差や、
どんどん様々な国の人が経済に加わって多種多様なっていく日本の社会、
LGBTQなど、子供だけでなく大人もどうのようにとらえていかなくてはいけないのか、
本を読むことで考えるきっかけになるかもしれない。



私は自分の子供が、
私が働くことで「自分は可哀想なの?」と聞かれてたときに、
なんと答えればいいんだろう。

まずは、「かわいそう」と思った理由を聞くことからスタートしようと
今のところ決めている。
だいたい、誰かに言われた言葉から湧いてきた感情であるところまでは予想できるので、
"可哀想"の定義を一緒に考えるところから始めようかな。



この本を好きな方、他におすすめがあれば教えてください。




【memo】

■イギリスの用事教育カリキュラムには
「コミュニケーション&ランゲージ」という指導要領があり、
4才までに「言葉を使って役柄や経験を再現できるようになる」というゴールを掲げている。「これはどんな顔?」と色々な表情の絵を見せて、
どんな気持ちの時の顔かなどを理解させ、相手や自分の感情と表情を結びつけさせる

■階級によって流れる時間の速度が違う。
昔は差別用語だった単語を上流階級では親しみと愛をこめた言葉として使っていても、
下級階級では現在でも差別用語である。

■子どもたちにとって養育とは外界から安心した心の基地のようなもの
■僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。......罰するのが好きなんだ

■マージナライズド:隅っこに追いやられているような感じ
 ※最後のマージナライズドのラップが最高によい

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?