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低温調理の温度帯(38度~42度)メリット、デメリットを徹底解剖〜本当の理由を教えます〜

今回は低温調理の温度帯別で起きる変化を考察していきます。

まず初めに

低温調理とは、言葉通り低温で加熱する事を指します。

例えば、本来40度付近の低温加熱だった場合、タンパク質の変性は殆ど起こらないとされています。

Xie, S., & Modis, Y. (2019). Protein Thermodynamics under Crowded Conditions. Annual Review of Biophysics, 48, 303–321. doi: 10.1146/annurev-biophys-052118-115355

タンパク質熱変性の論文

しかしサーモンのコンフィなどは、38度から42度付近で頻繁に行われている調理法ですね。

実際に加熱されたような、大きな色の変色は、この温度帯付近では見られませんが(38から42度付近)、食感や味に違いを感じるのは確かです。

追記:タンパク質の熱変性=加熱と思ってください。タンパク質の熱変性が微細なものだと、加熱してないとも取れるし、加熱したけどあんまり意味がないともとれます。そうなると加熱とは何か?見たいな定義を説明する必要が出てきて、収集が付かなくなるので、今回はタンパク質の熱変性によって得られる、温度別の効果・効能についての話だと思ってください

冒頭でも述べたように、通常40度以下で加熱したときに行われる、タンパク質の変性は数値としては、微小なものです。しかし

一定以上の時間、加熱を続けた場合にタンパク質の変性が、比較的に多く起こる結果になります。

しかし例外的に30度帯、つまり40度未満の低温調理は、加熱グラフでみてみると数値は微小なものですからあまり効果は得られません。(タンパク質の変性は起きる)。これについても詳しく解説していきます。

38度付近での低温調理が頻繁に行われているのですが、この1度、2度の違いをわかっている人が少ないのでは無いかと思い、38度から解説する事になった次第です

これらを、『柔らかくなった』『おいしくなった』と感じるのは事実と、どう結びついているのかを解説していきます。

これはタンパク質の変性、それに付随したゲル化、コラーゲン分解、タンパク質のゼラチンなどが関係します。

何故そうなるのか、
要因について深掘りしていきましょう。

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