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【アルコールで調理した食品】妊婦や子供への影響は?料理に残るアルコール濃度の研究結果について

料理の世界では、ビールやワインなどのアルコール飲料を使ったレシピが長い歴史を持ちます。

しかし、その調理過程で起こるエタノール(アルコール)の濃度変化については、多くのシェフにとってまだ謎が多い領域でした。最新の研究(2016)が、この興味深い話題に新たな新事実が発見されました。

今まで分かっているようで、分かっていなかった事実で、安全性についてセンシティブな場面では、『とにかくアルコールを避ける』という選択しかできなかった事実があります。

今後 料理業界の常識となるかもしれません。

今回紹介する論文では、ビールを使用して調理された様々な食品のエタノール濃度を分析しました。



この研究では、ビールを使用して調理された異なる食品について、エタノール濃度の変化を徹底的に分析しました。

対象となった料理

  1. ビネグレット

  2. パンケーキ

  3. ライ麦パン

  4. ニンジンスープ

  5. 蒸し魚

  6. スペアリブ

  7. 煮込みビーフ

  8. 小麦パン

  9. 酵母を使用したパン

これらの料理はビールの種類を変えて、伝統的なレシピに基づいて調理されました。各料理は、ビールの代わりに水を使用した「ブランクサンプル」と比較して、エタノールの濃度変化を調査しました。

■対象の料理と、調理方法について

ビネグレットソース

手持ちブレンダーで混ぜ合わせ、直後にサンプリング。

カールスバーグ100g/オリーブオイル(エキストラバージン)50ml/ライムジュース8g/ミントの葉3枚タマネギ40g/にんにく3g/シュガー4.5g食塩/3g/水2g

以下省略して記載….

  • パンケーキ生地を別々に混ぜ合わせ、最後に溶かしバターを加えて混合。各パンケーキはプレヒートしたフライパンで片面1分ずつ焼きました。カールスバーグ50g/卵3個/牛乳(脂肪分1.5%)400ml/バター100g小麦粉 125g/シュガー30g/塩2g

  • ライ麦ホリッジビールに浸したライ麦パンを砂糖と共に調理。沸騰後3分間と、その後の8分間でサンプリング。カールスバーグ150gパンを水に2時間浸し、ビールと砂糖を混ぜ合わせました/水200ml3/ライ麦パン150g/粉砂糖16g

  • ニンジンスープ: ビールとその他の材料を使用し、沸騰後0、2、10分でサンプリング。カールスバーグ330g/野菜ストック濃縮物27ml/水573mlにんじん300g牛乳(脂肪分1.5%)100ml6/小麦粉 10g/30g etc…..

  • 蒸し魚: 野菜と共にビールで30分間蒸し、液体と魚肉を別々にサンプリング。

  • スペアリブ: ビール入りマリネ液に24時間漬け込み、オーブンで焼いた後、30、90分でサンプリング。

  • 煮込みビーフ: ビールまたはワインで煮込み、60、120、180分でサンプリング。

この研究では、ビールや他のアルコール飲料を使用して調理された様々な食品のエタノール濃度を測定しました。調理プロセスにおけるエタノールの減少率を予測するのは単純ではないものの、熱処理された食品では一般的にエタノール濃度が減少することが確認されました。それぞれの食品におけるエタノールの測定値と理論値が比較されました。

アルコール濃度の結果について

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