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MEV考えたヤツちょっとこい ~ 仮想通貨の現実に人の業を見るINFP

こんにちは。仮想通貨にはちょっとうるさい、るんるんです。
今回はその要素のひとつ、MEVについて真面目に語ろうと思います。
あ、MEV(最大Maximal抽出可能Extractable価値Value)ついては途中で簡単に説明します。

仮想通貨には大いに期待してた

るんるんは仮想通貨(暗号資産)には大いに期待していました。
それは巷に言われるような投機・投資という資産運用の意味合いではなく。
次世代の経済システムを構築するための基盤として、です。

しかし、時を下り、社会での受容と適応が増えるにつれ。
俗っぽさが増してきたとでもいいましょうか。
良くも悪くも資本主義2.0といった趣になってきています。

せっかく中央集権的でない経済圏を構築できる土台があったのに。
より身の丈にあった、相互の自由な意思に基づく経済圏が見えていたのに。
早くも世界観が汚れてきた…そんな印象です。

人がお金のほうを向かず、人のほうを向く社会。
それはまた、うたかたの夢、だったのかもしれません。

私をそう思わせたのには、二つの事由があります。
ひとつは、PoSが主流派となって決したこと。
もうひとつは、本日のテーマ、MEVが台頭したこと、です。

MEVとは記帳の仕方のハックのこと

PoS?MEV?なにそれ?って思うと思います。
そうですね、ものすごーくざっくり、仮想通貨の仕組みを言うと。

取引の記録を、持ち回りでノートに記帳していき、
参加者全員が同じ台帳を持つように、ノートを追加していく仕組みです。
宿題を手分けしてやって皆でコピーする。でも近いかもしれません。

より詳細には…
まず、時間を一定の細かい枠に区切ります。例えば6分。
その枠ごとに。特定の条件を満たした人。例えば、お金持ちに。
その時間枠の取引記録をノートに書き込む権利が与えられます。

その後、書き込まれたそのノートを皆で回覧し、
合意がなされると、晴れてノートが台帳に追加され、
歴史の一部になります。

言うなれば、選ばれし「書記官」に歴史を刻む権利が与えられる仕組み。
先の宿題の例でいうなら、数学担当の頭脳に皆の数学はかかっています。

この仕組みにおいて。
PoSとは「書記官」を選ぶ方法の一つ。今回は触れません。
MEVとは、この「書記官」が行う、「記帳の仕方のハック」です。

より詳しくは、専門的な説明がこちらに問題点も含めてあります。

MEVの何が問題?

さて。
「書記官」は皆の取引記録を歴史に残すんでしたね。
であれば、誰にとってもフェアであることが望まれます。

私は言いました。MEVは「ハック」だと。
はい。
この「書記官」、権利があることをいいことに、
自分に都合のいい取引を選り好みできたりします。
なんなら取引を見てから違う取引をすべり込ませるなんて芸当も。

ハァ?

思いません?
私は思います。

ただ。
構造的欠陥じゃないか!
と思われる方もいるかもしれませんが。
これは必ずしもそうではありません。

自分に、彼氏・彼女の候補が100人居て、
相手は誰もが自分のことを大好き。
という状況を想像してみると分かりやすいと思います。
さぁて。歴史から消えるのは何人かな~。

本質的に、取引は、相互の承認ができて初めて約定します。
それまではお互い希望を出しているに過ぎない。
この「時間差」を利用しているんですね。
見方によっては、時間停止能力を獲得したと言えるかもしれない。

あら~頭がいいですね~賢いわね~将来は大統領ね~。
なるか。ボケが。問題大ありじゃい。

MEVは中央集権の再来を危惧させる

Trustless、つまり(概念レベルで)信頼なし。だとか。
Decentralization、分散化、非中央集権化。だとか。
Permissionless、権限なし。誰もが取引できる。だとか。
そういった、暗号資産の根幹を成すコンセプトが。

まっさかさまですよ。逆さま。イカサマ。
極論、「書記官」サマに気に入られるかどうかが、歴史の全てになる。

ふむふむ…君はあの子に10万円貢いで…彼女もそれを受け取った…と…
つきましてはその記録をお願いしたい…と…
やーだね、お前キライだし。はい、ノーカン。
安心しな、10万あってもなくてもお前はフラれる運命だからさ。

現実には様々な力学があり。
また、早期からこの問題の解決に取り組まれてる方もいますので。
そこまでひどいことには、今はなっていないのですが。

概念のレベルではヤベーヤツが来てた、
というのは伝わったでしょうか。

MEVに群がる人々の有様に心が冷える

MEVはクソ、もとい、ゴミ、もとい、対応を要する課題ですが。
私の心を真っ先に冷やしたのは、
その仕組み的な欠陥ではありません。

やらなければソン。
と、我先にと群がってそれを実行している参加者の有様です。

先に少し言いましたが。たとえばですけど。
「書記官」は、卵を買おうとしていた人の列に割り込んで。
自分が先に買ったりすることができます。
すると、待っていた人は売り切れで買いそびれる。

取引は、ゼロサムゲームです。等価原理といってもいいです。
「書記官」が私利私欲を持ち込み利益をあげると、
しわ寄せは必ず、ほかの誰かに行きます。

それが実は、全体で見て歪みを正すように作用することもあります。
巷でアビトラ、裁定取引アービトラージと言われている行為がそう。
しかし、先の卵の例では、「書記官」が一方的に得をしています。

でも、どうでしょう。

利己的になるのも分からなくはないけど

たとえば、私が手をかざすと指からゴールドが噴き出す場合。
私は、たぶん好き放題、金を生むと思います。
インフレ?私一人に何いってるの?って感じです。

やれる以上はやる。
それも、分からなくはないのです。

そして、今ある現実の解決策も、そういう方向性です。
「参加者全員が、その機会を最大限利用できるなら、公平」と。
チートを取り締まるよりは、皆で平等にチートすればいいでしょ。
という発想で、これは理と現実には適ってると思います。

それでも。
やっぱり。

業の深い人間社会に心が曇る

ただ、あるがままに記録をつけていれば良かったはずの「書記官」が。
私利私欲にまみれてしまう結果。
その問題解決が必要になり、物事が、複雑化していく。
そして、今のところの現実解が、「皆で手を汚すこと」。

この図式が、人間社会の業を思わせてしまい。
どうにも私はスッキリしません。
奪い合いを趣旨とする、資本主義から、まるで脱却できていない。
そうまでした得た利益に、どれほどの価値があるのでしょう?

期待値は下がってしまったけれど

美しい社会の実現に、一役も二役も買いそうだな。
という私の期待は。
現実の有様を前に、汚され、落とされていくのでした。

やれやれ。理想には程遠い。
これだけの仕組みがあっても、現実の重力に引きずられていくのね。

それでも、私はまだ期待はしています。
先端にいる人たちは、賢い。

課題はあれど、前には進んでいる。
技術の進歩でここまでこれたなら。
仕組みの部分での、次の一歩もあることでしょう。

それを使う、人の方はというと…
うーん。
本当に頑張らないといけないのは、多分、こっち。


それではまた。ごきげんよう。

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