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絶望しきった先にしか、超人はいない【ドゥルーズ著『ニーチェ』】

ニーチェ哲学における『超人』とは

今、この時を強く肯定する存在
今、この瞬間を未来永劫
何度だって繰り返したい!

…とさえ言い切れる存在です。

私は非常に魅力的に感じています

この状態を
人生の目標としたい
と思っています。

さて、今日の話は
この「超人」が

絶望しきった先にしかない

という話です。

ニヒリズム勝利の諸段階

ニヒリズム…虚無主義に
捉われて

すべては空しい、
ただ消え去るまでの時間を
受動的に過ごすのみ

…といった状態になるまでには
5つの段階があると
ドゥルーズはいいます。

①怨恨:お前が悪い!おまえのせいだ!

自分が苦しいのはお前が悪い
人のせいにした恨む状態が
最初の段階です。

②疚しい心:私が悪い、私のせいだ

自分が苦しいのは自分のせい
①怨恨では他人に向いていた反動が
自分自身に向かうようになります。

③禁欲主義的理想

これは、②を突き詰めた先
といったイメージです。
生こそが背負うに困難なもの
生きることは重荷である…
受け入れている状態です。

キリスト教的な価値観
僧侶的…といってもいいでしょう。

④神の死

ニーチェの有名なセリフ
「神は死んだ」というやつです。

絶対的と思っていたキリスト教の神の教えは
本当は絶対的なものではなかった
科学が宗教の嘘を明らかにしてしまった

…という状態です。

⑤最後の人間と、滅びようと望む人間

信じるべきものなどない
絶対に目指すべき正しさなんてない
…という風に「一切は空しい」
だからあとは「受動的に消え去るのみ」

という状態になっているのが
「最後の人間」「末人」です。

こうなってしまうと
何で生きているのか
よくわからなくなってきますよね。

ですが、実は「この先」があるんです。

この最後の人間になってしまった
人の中で、更に滅びようとする人


つまり
ニヒリズムに囚われた自分自体を
さらに否定しようとする意志が
発生します

マイナスの状態を更に否定する…

マイナスを突き詰めた先に
価値を転換しプラスに転ずる…
ということが、超人への道
だと
いうことです。

本書の中では

ニヒリズムの克服、しかしニヒリズム自身による克服

というフレーズで紹介されています。

否定がついに反動的な諸力に叛旗を翻し、それ自身一つの能動となり、上位の肯定に奉仕するよう移行するためには、人間たちの最後の者にまで至らねば、そして次には滅びようと望む人間まで至らねばならなかったのである

P60 

今までの自分が信じていたものが
すべて無価値だと知り
すべてに絶望して
一切は空しいものだ…
=ニヒリズム を通らなければ
超人への道は開けない

ということです。

逆に言えば、
今、「すべては空しい」と
感じている人は
超人への道に近づいている

ということになります。



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